今年最後の記事は、JR四国が12月15日に発表した、2024年3月ダイヤ改正についてです。はっきり言ってJR四国、すごいです、本気です
https://www.jr-shikoku.co.jp/03_news/press/2023%2012%2015%2003.pdf
※記事中の図は、JR四国プレスリリースから引用しています。
0.「パターンダイヤ」とは
JR四国の2024年3月ダイヤ改正を読み解くキーワードは、「パターンダイヤ」です。「パターンダイヤ」とは、列車の運転間隔を等間隔にしたダイヤのことをいいます。
パターンダイヤが導入されていると、列車の間隔が等しいので、特定の列車が混雑するリスクが低くなります。また、毎時決まった時間に発車(例えば、1時間間隔の路線であれば、10:20,11:20,12:20,…と発車)するので、乗客にとって覚えやすく使いやすいというメリットがあります。
1.パターンダイヤの導入・拡充
(1)土讃線
土讃線では2021年に高知~土佐山田間でパターンダイヤが導入されていますが、今回新たに高知~伊野間に導入されます。
現在のダイヤでは、上下線ともに1時間25分程度、普通列車の運転間隔が空いている時間帯がありますが、改正後は1時間に是正され、運転間隔が均等になります。発車時刻が概ね統一されていて、覚えやすいですね
(2)高徳線
高徳線では2022年のダイヤ改正で、板野~徳島間にてパターンダイヤが導入されましたが、今回新たに高松~引田間に導入されます。
改正前後で本数や運転間隔に極端な差はないのですが、現行ダイヤは発車時刻が時間によってバラバラで、使いづらさは否めません。改正後は毎時1本(+2時間ごとに1本)、概ね30~60分間隔となり、分かりやすくなります。
(3)徳島線では2021年3月に徳島~穴吹間でパターンダイヤを導入しましたが、さらに便利になります
現行ダイヤでは、徳島~阿波川島間は1時間ほど列車の設定がない時間帯がありますが、普通列車の増発も併せて行われ、日中も毎時2本の運転となり、運転間隔も概ね30分間隔に揃えられます。また、阿波川島~穴吹間は、現行では約2時間列車の設定がない時間帯がありますが、こちらも増発により毎時1本設定されるようになります。改正前後の時刻表を見ると、見違えるほどわかりやすく、便利になっていることが分かります
ちなみに、よく見ると既にパターンダイヤ化されている時間帯についても、運転時刻ががらっと変わっているのですが、その理由については後述します。
2.特急列車
(1)土讃線の特急「あしずり」5号・10号が新たに旭・朝倉の2駅に停車します。これにより、観光列車と「あしずり」1号・6号を除く特急列車が全て旭・朝倉に停車となります。
(2)高徳線の特急「うずしお」について、讃岐津田駅は2往復、勝瑞駅は1往復が、通過に変更となります。これにより、讃岐津田・勝瑞は朝夕のみ特急停車となります。
上記2駅を特急通過とした理由については、「利用が少なかった」「パターンダイヤ導入のため、特急の停車駅と運航時刻を揃える必要があった」などが考えられます。
(3)特急「南風」の自由席の一部(18席)が、指定席に変更となります。
(4)特急「しまんと」8号は、高知始発から宿毛始発へと変更になります。
実質的には、現行の宿毛19:26発特急「あしずり18号」を1時間ほど繰り上げたうえで、既存の「しまんと」8号とくっつける形となります。
「あしずり18号」は宿毛から高知まで向かう最終列車なので、その点でいえば最終列車繰り上げなのですが、その代わりに最終の特急列車で高松、さらには乗り継ぎで岡山まで到達できるようになります。
3 パターンダイヤの進化系!?~徳島エリアで「タクトダイヤ」導入~
このたび、徳島駅に「タクトダイヤ」が設定されることとなり、さらに便利になります「タクトダイヤ」については、JR四国プレスリリース内で下記の通り分かりやすく説明されています。
徳島駅は、JR高徳線(鳴門線直通列車含む、以下同じ)・徳島線・牟岐線の3路線が乗り入れており、いずれも徳島駅を起点(終点)としています。改正後のダイヤは、「高徳線・徳島線・牟岐線の列車が同じようなタイミングで徳島駅に到着」→「相互に乗り換え」→「同じようなタイミングで発車」というような流れを踏みます(下図参照)
既にパターンダイヤが設定されている徳島線で、時刻が変更となっていることは前述しましたが、それはこのタクトダイヤを設定するためだったのです。
これにより、どの方向からどの方向へ乗り継ぐ場合でも、20分以内に乗り継ぎが可能となり、とても便利になります
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。今回の改正内容はパターンダイヤの導入が中心であり、普通列車の利便性を極力上げる施策が数多く進められることとなりました。
中でも画期的だったのは、徳島駅に設定された「タクトダイヤ」でしょう。徳島エリアでは2019年の牟岐線を皮切りに、高徳線・徳島線でパターンダイヤを設定し、徳島駅に乗り入れる路線は全てパターンダイヤ化されました。だからこそ、「タクトダイヤ」の導入が可能となったわけで、「タクトダイヤ」はいわばパターンダイヤの進化系といっていいでしょう。パターンダイヤ化の集大成が日の目を見ることになりそうです。
これで高松・徳島・高知エリアでパターンダイヤが導入されたことになり、残るは松山エリアのみになりました。松山エリアについては、令和6年度まで松山駅周辺の高架化工事が行われる予定であり、この工事が完了したタイミングで、パターンダイヤ化を含めたダイヤの見直しがなされるものと思われます。
パターンダイヤ化の推進で、日常利用にますます使いやすい鉄道へと進化したJR四国、今後の展開から目が離せません