2022年10月14日の『日本の鉄道開業150周年記念日』に因んで連載を開始した本シリーズですが、ようやく今回を以て最終回を迎える事となりました。その間他の話題の記事を挟んだりなどの諸事情で執筆が大幅に遅れ、全シリーズを完結するまで1年2ヶ月余り掛かってしまいました。「じれったいゾ!いい加減にしろ!」と苦情の声も聞こえてきそうですが、執筆に時間が掛かり過ぎて大変申し訳ございません。

それでは、最終日2022年8月9日の旅程をどうぞ。

 

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「白いかもめが翔ぶのもあと45日」

34ランナー

長崎本線 2003M かもめ3号(博多発)

佐賀 7:12→長崎 8:35

 

・乗車距離:100.3㎞ ・表定速度:72.5㎞/h

編成表:長崎←①(G/指)クロハ884-1 ②(指)モハ885-101 ③(指)サハ885-101 ④(自)サハ885-1 ⑤(自)モハ885-1 ⑥(自)クモハ885-1→博多(本ミフ 885系SM1編成)

 

◆ホテルの朝食に満足!

前回の記事でお伝えした通り、宿泊先の『東横INN佐賀駅前』はトレインビューが楽しめるテツにはたまらないホテルだ。写真は唐津線のキハ47形2連だが、屋根のサビ具合が廃車同然という有様…。

 

 

 

東横INNの無料朝食は、どこも似たり寄ったりのメニューだが(無料と謳っている以上文句を言うワケにはいかないけど…)、ここのホテルはオカズのメニューが充実しており、味も美味しかった。¥3950の宿泊料金でこのクオリティは特筆に値する。

 

 

 

今回からは、西九州新幹線開業に伴い在来線特急としては廃止されてしまう特急かもめ号を2本続けて紹介する。身支度を済ませ、佐賀駅に向かう。

 

 

 

◆在来線特急かもめ、最後の活躍…

駅舎内には『ありがとう特急「かもめ」』のポスターが掲示されていた。新幹線開業に伴い風光明媚な車窓が犠牲になるのはどこも同じ事だ…。

 

 

 

みどりの窓口前にあった「西九州新幹線開業まであと45日」のカウントダウンボード。

JR九州は開業ムードを盛り上げようと必死だが、佐賀県民、特に県庁所在地の佐賀市周辺は西九州新幹線に対して冷淡だ。博多までの距離が短く、新幹線による時短効果が薄いからであるが、フリーゲージトレインの開発が潰えたからには、長崎県もJRTTも武雄温泉~新鳥栖のフル規格整備は諦め、落としどころとして未整備区間については在来線の3線軌条、または標準軌線増を含むミニ新幹線規格での整備で既存の九州新幹線と接続する案はどうだろう?あとは佐賀県の出方次第であるが…。

もし実現した場合、現在運用されているN700Sは鹿児島ルート用車両の置き換えとして転用すれば良いと思う(※あくまでも私個人の意見。但し、ミニ新幹線規格にすると既存区間ではホームドアを改修する必要があるのが欠点)。

 

 

 

改札口を抜けて、かもめ3号が発着する2番ホームに上がる。

 

 

 

◆またもトップナンバー車に遭遇!

2番ホームの反対側である1番ホームには、813系R001編成、つまりトップナンバー車を含む3両編成が停車していた。当駅始発門司港行の4830M(みどり3号と同じ7:12発)だが、前回記事にも述べたようにトップナンバー車を見ると心躍るのはテツの性である。

 

 

 

2番ホームに、今回乗車するかもめ3号が到着。

コチラもまた、885系トップナンバー車のSM1編成なのであった!

 

 

 

885系も、883系ソニックと同様にユニークな仕掛けが施されている。3枚目写真のフリースペースは気分転換用だろうが、混雑時にベンチが役に立つ?

 

 

 

私は⑥号車に乗車したが、朝の列車という事もあってビジネス客を中心にそこそこの乗車率。それでも最後尾の席が空いていたのでそこに座らせてもらう。

885系のシートは当初本革張りだったが、流石に経年劣化が目立ってきたせいかリニューアルの際平織り生地に張替えられている。ただ黒基調のシートカラーは不変だ。シートそのものの座り心地はソニックの883系より大幅に良くなった。

 

 

 

最後尾、つまり背後には乗務員室があるのだが、仕切りがガラス張りのためご覧の通りシースルー。ただ、前頭部が流線形で先すぼまりのデザインのため、カブリツキはあまり楽しめない。最後尾には車掌が乗務しているため、座席を後に回転させて後面展望…というのは控える事にした。尚、ガラス張りの仕切りは停車時(ブレーキが非常の位置)に不透明になる仕掛けが施されている。

 

 

 

◆大きく変貌する長崎本線

佐世保線が分岐する肥前山口駅。9月23日からは町名に合わせた『江北』に改称され、伝統ある駅名は消滅した。

 

 

 

さて切符だが、佐賀からの自由席特急券は肥前山口駅を境に分割購入した。『肥前山口』の駅名を記した切符を手元に残したいからという理由もあるが、実は佐賀~長崎の自由席特急券(※100㎞を若干オーバーするため¥1800となる)を1枚で買うよりも¥100安くなるのである。コレをセコイとは言わないで頂きたい…(汗)。

 

 

 

9月23日からは特急『かささぎ』の終着駅となる肥前鹿島駅。隣の肥前浜駅より先の区間は海沿いを走る風光明媚車窓だが、皮肉にもそこからは非電化となり、電車列車は乗り入れなくなった。ダイヤ改正以降、肥前浜以遠に乗り入れる特急列車はキハ40系を改造した観光列車『ふたつ星4047』のみとなる。

 

 

 

◆定期特急が走らなくなっても車窓は変わらず

肥前浜から先は有明海、そして諫早湾が望める海沿いの区間に入るが、長崎からの復路で乗車するかもめ14号の中でも紹介するため程々にしておく。特急かもめは廃止されたが、風光明媚な車窓はいずれまた『ふたつ星4047』で存分に楽しむ事にしよう。

 

 

 

◆白いかもめの旅も終盤へ

最後の途中停車駅・諫早に到着。大村線と島原鉄道線が接続する交通の要衝だ。

2分停車のため、一旦外に出て最後尾⑥号車を撮影。

 

 

 

諫早から19分で、終着・長崎駅3番線に到着する。

 

 

 

かもめ3号が到着してしばらくして、5番線からは博多行の2010Mかもめ10号が出発していく。

 

 

 

◆高架化で面目一新

長崎駅は2020年3月に高架化され、かつての被爆後復興した後の面影は消えた。

真新しい電化設備も、わずか2年半という短い期間で使用停止となる。

 

 

 

さてコチラは西九州新幹線の行き止まり地点。在来線とは異なりATCがあるためか、コンクリート製の車止めがない。

 

 

 

完成した新幹線駅は在来線の東側(旧在来線駅の西側)に設置されている。駅名標も見えるが、鹿児島ルートの駅に見られる紺色白抜き文字ではなく、在来線に近い仕様となっていた。

 

 

 

広々とした改札内コンコース。新幹線乗換改札口も既に完成、あとは開業の日を待つのみだ。在来線のLED発車標は、新幹線開業後に表示が変更されたであろう…。

 

 

 

この8月9日は、長崎市に原爆が投下されて77年というちょうど節目の日であった。世界情勢が不安な現代ではあるが、長崎が最後の被爆都市であって欲しい。

 

 

 

私は駅舎内にある土産物店『長崎街道かもめ市場』で自宅へのお土産(角煮まんじゅうetc…)を買い、クール宅急便で送ってもらった。

 

 

 

◆再開発進む駅周辺

駅前に出てみると、被爆後再建された旧駅施設は跡形もなく消え去り、駅前広場や新しい駅ビルの工事が進められていた。ただ…長崎電軌の路面電車の停留所はJR駅から遠くなってしまったのは残念だ。駅前側に出て新駅の全景を撮りたかったが、相変わらず痛む脚のために断念せざるを得なかった。

 

 

 

次の最終ランナーであるかもめ14号に乗るために改札を抜け、ホームに上がるとちょうど3番線に9月23日以降の普通列車で使用される青いキハ47の試運転(何故か回送幕)列車が入線してきた。このキハ47は後にラッピングを施されているため、スッピンの姿は貴重な記録となった。

 

 

 

 

『最後のシメはDXグリーン!』

35(最終)ランナー

長崎本線・鹿児島本線 2014M かもめ14号

長崎 9:48→博多 11:53

 

・乗車距離:153.9㎞ ・表定速度:73.9㎞/h

編成表:①(DXG/G/G個)クモロ787-5 ②(指)モハ786-203 ③(指)サハ787-110 ④(指)サハ787-205 ⑤(自)サハ787-5 ⑥(自)モハ787-9 ⑦(自)クモハ786-5→博多(本ミフ 787系BM5編成)

◆『特急にっぽん縦断』の旅もラスト!

旅の終わりはDXグリーン…というワケで、本シリーズ最後の列車は787系のかもめ号に乗ると最初から決めていた。佐賀~長崎が重複区間となるが、ここは番外扱いとせず最終ランナーとさせて頂いた。

 

 

 

長崎から博多へ向かう乗車券も前日に指宿駅にて購入。旅のシメとして乗る事にしたDXグリーン席はえきねっとセルフ10時打ちで予約したが、何故かJR九州ネット予約ではDXグリーンの予約に対応していない。

(※この当時は200㎞までのDXグリーン料金が¥2720だったが、2023年4月1日からの料金改定に伴って現在は¥4760と大幅に値上げされてしまった。それまで割安だったJR九州の一般のグリーン料金も他社並みの水準となったのは残念だ。ちなみに博多~武雄温泉は100㎞以内のためDXグリーン料金は¥2080となるが、乗車時間がわずか1時間と短いため豪華な設備のメリットを感じにくいのではなかろうか…)

 

 

 

◆コスパ最強のDXグリーン!!

今回乗車したクモロ787-5は1992(平成4)年につばめ号用として新製された車両で、車齢はちょうど30年を迎えていた。流石に各部の古さは隠せなくなってきたが、JR在来線特急の中でも最高傑作であると私は思う。

 

 

 

コレが、DXグリーン席。つばめ号の運転開始当初はこのスペースに『トップキャビン』という4人掛け+2人掛けのそれぞれBOX席区画が設けられていたが、リレーつばめの転用を機に通常のグリーン車の設備を上回るDXグリーン席(2+1アブレスト)に改装された。何といってもリクライニング角度が深く、レッグレスト(オットマン機構)も備えた座席は豪華そのもので、私から言わせれば新幹線のグランクラスよりも居住性に優れコストパフォーマンスに優れていると感じた(※あくまでも値上げ前の話)。尚、かもめ号にて有明海などの風光明媚な車窓を望めるのは2人掛けのAB席のほうだった。

 

 

 

最上級の設備に相応しく、シートの操作は全て電動。

 

 

 

定員6人のトップキャビンを改装したスペースであるため、DXグリーン席の足元は広々としている。天然木を使用した荷物置き台の下と、側壁には充電用コンセントの設備を備えている。ちなみに一般のグリーン客室にコンセント設備はない(※クモロ787形の場合。『にちりん』『きりしま』などに使用のクロハ786形には装備されている)。

 

 

 

テーブルは引き出し式で、もちろん天然木製。壁には「和」をテイストにした絵が飾られており、木目調の乗務員室仕切りにはハンガーまで備え付けられている。

 

 

 

◆最後の旅、出発!

西九州新幹線の高架を見ながら、長崎駅を後にする。

 

 

 

諫早駅までは20分。やはり振り子式の885系『白いかもめ』との性能差は隠せないが、787系かもめ号はまた違った魅力がある。

 

 

 

◆雲仙と諫早湾とともに

諫早あたりから、島原半島にそびえる雲仙の山並みが見えてくる。

 

 

 

その後見えてくるのが、何かと物議を醸した諫早湾干拓事業の水門である。

 

 

 

湯江駅にて運転停車し、同じ787系(BM-3編成)の2009Mかもめ9号と交換する。

 

 

 

湯江駅から先は諫早湾と、その向こうに見える雲仙の山並みを見ながら進む。

 

 

 

長崎本線で最も海に近い駅・小長井を通過。当駅は2022年夏の青春18きっぷのポスターの図柄にもなった。

 

 

 

肥前大浦から先は有明海の美しい海岸線に沿って進む。

 

 

 

やがて有明海ともお別れし、9月23日以降は特急『かささぎ』の終着駅となった肥前鹿島駅にて、2013Mかもめ13号と交換する。コチラは787系のトップナンバー車を含むBM-1編成だった。

 

 

 

有明海に注ぐ塩田川を渡るが、渇水期のためか水嵩が少なく泥で濁っていた。

 

 

 

かもめ14号は肥前山口駅をあっさり通過。そしてこの日の出発地となった佐賀駅に停車。

 

 

 

佐賀駅発車後に見える旧佐賀線の高架跡…。

 

 

 

そして新鳥栖、鳥栖と停車、鹿児島本線に入る。いよいよ旅のフィナーレが近づいてきた。

 

 

 

新幹線の高架と合流し、終着駅を告げる車内放送が流れる。

「かもめ14号をご利用頂き、ありがとうございます。次は終点の博多です。」

 

 

 

◆ついに旅の終着駅に…

長崎から2時間余りの旅を終えて、終着・博多駅3番ホームに到着!

札幌からスタートし、日本最北端の駅・稚内からの総乗車距離5390.9㎞(※札幌→稚内の送り込みは含まず)、8泊9日の日時を費やした『特急にっぽん縦断』としての全行程を終了した。私自身史上最大の乗り鉄もこれにて完結。DXグリーン席の快適な旅もゴールするには惜しい程ではあった。

 

 

 

最後にグリーン席の車内を撮って、列車を後にした。

 

 

 

旅のゴールとなった博多駅。途中幾度かのアクシデントにも見舞われたが、何とか全行程を終わらせる事ができて安堵…。

車両基地へと回送されていく787系を見送り、ホームを後にした。

 

 

 

駅連絡通路内にあった「博多からかもめにエールを」のメッセージボード。西九州新幹線の全線開業に向けたエールを期待しているのかもしれないが…。

 

 

 

◆九州最大のターミナル・博多駅

脚が痛むのを我慢して、ゴール地点という事で駅舎撮影のため駅前に出てみた。博多口には巨大な駅ビルが建ち、威容を誇る。

 

 

 

博多駅前はバス天国でもあり、各方面からの一般路線・長距離バスがひっきりなしに行き交う。西鉄は九州最大のバス事業者で(かつての保有台数は日本最多だった)、自社系のボディメーカーの西日本車体工業(西工)を傘下に持っていたが、同社ボディを架装していた日産ディーゼル工業(現・UDトラックス)のバス事業の事実上撤退もあって西工は解散してしまった。

(後姿ではあるが1974年以前の車両に施されていた2世代前の復刻塗装車に出会った)

 

 

~これより『返却回送』の旅~

 

日本縦断の旅を終えた私は、旅の余韻に浸る間もなく福岡空港から一気に新千歳へ渡道する。まずは地下鉄博多駅から空港線に乗る。

 

 

 

私が乗った電車は姪浜発。博多駅を12:49に発車する便だ。福岡市交通局1000N系03編成の⑥号車1506号には1982年ローレル賞受賞プレートが付いていた。

 

 

 

福岡空港駅には12:57に到着。搭乗する飛行機まで時間があるが、余裕を持って行動するに越した事はない。

 

 

 

チェックインと手荷物検査を済ませ、14:25発のJAL3515便に乗る。当初予約していたのはエコノミークラスだったが、搭乗口カウンターでクラスJの当日アップグレードを申し込んだ処、見事席をゲットする事ができた。比較的長時間のフライトなのでコレは有難い!

 

 

 

福岡空港を離陸…さらば!九州!また来るぜ!(10日後にはまた九州入りしたが…)

 

 

 

2時間余りのフライトを終え、16:45に新千歳空港に着陸。

尚、機体(ボーイング737-800)の写真は撮れなかったので何卒ご了承を…。

 

 

 

昼食を摂っていなかった私は、空港内の『天丼てんや』にて天丼と蕎麦のセットを注文。

 

 

 

食べ終えた私は、地下のJR新千歳空港駅に向かい札幌へ帰路に就く。17:42発のエアポート177号にも間に合ったのだが、混雑を避けるため次の便である17:54発3931Mエアポート179号小樽行に乗る事にした。

 

 

 

快速エアポート179号は、721系F-4102+F-4202による運転。私はuシートは取らず、最後尾①号車に席を確保した。

 

 

 

18:33、札幌駅2番線に到着。

 

 

 

道外各地は比較的天候に恵まれたが、この日の北海道は各地で大雨による影響で特急列車が軒並み運休という悲劇に…。

 

 

 

札幌駅では一旦改札を抜け、駅直結の大丸のデパ地下に立ち寄った後、学園都市線の当別行627M(札サウ733系B-119+731系G-114編成)に乗り、自宅への帰途に就いた。

 

 

 

札幌駅では10月16日から、それまでの1番線廃止に伴い共用開始される11番線ホームがほぼ完成していた。

 

 

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こうして終わった『特急にっぽん縦断』の旅だが、私自身セミリタイアという身分だからできた事であり、社会人だとこれだけの長い休暇も取れず実行できなかった。私は来年から再び社会復帰するため、こんな長期間の旅ももう二度とできないであろう。「今しかできない鉄道旅」を鉄道150年記念のタイミングで実現できた事を幸運に思うと共に、変わりゆくJR各社の実情を知る良い機会となった。

 

最後になりますが、長期間にわたる連載記事に長々とお付き合い頂き、誠にありがとうございました。

 

『鉄道150年記念・特急にっぽん縦断2022』の旅

おわり