いよいよ、別れの時がきた。
改めて万感の思いを抱き、いざ秦野駅の改札を抜ける。
ここでも、小田急社員の
おもてなし
が最後まで炸裂していた。
そういうことを喜んでできる社風、認めてもらえる社風はとても大事。
こんな姿を見続けていて、何故強引に引退させてしまうとかどの口が言えるのだろうか?
動かすのはあくまでも同じ人である、ということをしっかり見直しておきたいもの。
引退が悲しいのは皆同じ、気持ちを慮って発言したいものである。
…だからと言って自分は、マナーを外れた言動と行動に屈するつもりもないがね。
そのあたりもまた、改めて立ち位置を確認しておきたい。
そして新宿方は、大変な人の密でとんでもない状態になっていた。
ただその中でも心を強くしたのは、秦野駅ではまだ奇声や罵声が起こらなかったことである。
そのあたりは、新宿駅や後刻の成城学園前駅とは、全くもって違うところであった。
やはり地域柄や利便性の問題も大きく関係するのだろうか?
…そしてこの時、あることに気づく。
新宿方面に出るぞ??
思っていたよりも余裕が残っていたので、小田原方にも移動。
新宿方よりも多少は余裕があったが、やはり撮影は至難の業。
撮ってからもなかなか動かない人も居て難儀はしたが、それでもなお穏やかだったのである。
そして、撮りながら次善の策を練り始める。
実は、3回目のツアーでは、箱根湯本に最後の入線をする前に海老名車両基地へ立ち寄ることを
すっかり見落としていて、帰りしなにもう一度撮れることをここで掴んだのだ。
なんだ、まだ撮れるのか!
そんな気持ちが、さらに身体を動かし…
上りホーム新宿方に移動。
こちらもそれなりに混んでいたが、ここから発車を見届けることに。
…そして、16:12。
いよいよ、最後のツアーが始まった。
上りホームが極めて冷静な雰囲気で、周りの音が聞こえておらずに気付いていなかったらしいが
後からYouTubeを見直すと、やはりそれなりに歓声が上がっているのが確認できた。
その音声を聴き比べてみると、やはりその声の主のほとんどが子供達なのであろう。
様々意見はあるのだろうが、自分はやはり声を出して騒ぎ立てるのは良しとしない考えだ。
VSEに対する思いこそ否定はしないが、周囲からは決して感動的なシーンには見えない。
悪戯に周囲の雰囲気に容易く飲まれてしまうのは、群集心理の愚の骨頂とすら思うのである。
…ただまだ、まだ新宿駅のように奇声が無いだけ、まだマシだったとだけ書いておく。
もしここで聞こえていたら、怒りに震えそのまま真っ直ぐ帰路についていたかもしれなかった。
とりあえず、まだ心穏やかに。
ひとまず見送り…
ホームから、沿道から…
たくさんの見送りを受けて、VSEは最後の旅へ踏み出した。
そしてここから、VSEを巡って内も外もどんどん熱が上がっていく。
過去最大になった引退劇の熱量、その行く末は如何にー。