急ピッチで終末へと向かっている『特急にっぽん縦断』シリーズ。前回紹介しきれなかった2022年8月8日の行程の続きです。

 

 

『九州新幹線の速達版』

31ランナー

九州新幹線 610A みずほ610号(新大阪行)

鹿児島中央 16:45→熊本 17:33

 

・乗車距離:158.6㎞※実キロ 表定速度:198.2㎞/h

編成表:鹿児島中央←①(自)781-7015 ②(自)788-7015 ③(自)786-7015 ④(指)787-7015 ⑤(指)787-7515 ⑥(指/G)766-7015 ⑦(指)788-7015 ⑧(指)782-7015→新大阪(幹ハカ N700系7000番台S15編成)

 

◆Myルールからは外れますが…

最南端の旅を終えた私は、西九州新幹線開業に伴い大きな変化を迎える長崎本線特急の旅を目指すため、九州新幹線で鹿児島中央駅から新鳥栖駅に向かう。

ただ…本シリーズは「新幹線は各駅停車便を利用する」という掟を定めていたが、次の各駅停車便は17:32発の5328Aつばめ328号まで待たねばならず、それまで無為な時間を過ごす事となり、どっちみち8月2日に新函館北斗→仙台にてはやぶさ28号に乗ってしまったのでもうこだわらない事にした。

そんなワケで、鹿児島中央駅からは610Aみずほ610号で熊本まで向かい、そこからは5326Aつばめ326号に乗り継ぐ事にした。

 

 

 

左が今回乗車するみずほ610号。右の13番線に停車中のN700系7000番台(S19編成)は16:10に新大阪から到着したさくら555号だろうか。

 

 

 

みずほ610号はJR西日本所有のN700系7000番台による運用。

 

 

 

九州新幹線のさくら・みずほに乗車する際、私は2+2アブレストの指定席を好んで利用するが、今回は乗車時間が短いため自由席の①号車に席を確保した。自由席でも側壁側にコンセントが付いており、スマホの充電ができるのは助かる…。

 

 

 

鹿児島中央駅を発車。自由席①号車の車内はガラガラ…。お陰で「あずましく」新幹線の旅を満喫できたが、JR九州にとってはお気の毒…。

 

 

 

JR西日本所有編成という事で、車内チャイムは『いい日旅立ち(・西へ)』のメロディが流れる。

作詞作曲をされた谷村新司さんは亡くなられてしまったが、彼が創り出した美しいメロディは不滅だ。これからもずっと使い続けて欲しい。

 

 

 

さて、切符だが、枕崎から長崎までの連続乗車券(1)と、熊本乗継で新鳥栖までの自由席特急券は指宿駅で予め買っておいた。

 

 

 

列車は鹿児島本線と並走しながら熊本市内へ入り、緑川を渡る。向こうに見える山々は宇土半島。

 

 

 

『いい日旅立ち(・西へ)』のサビのメロディが流れ、熊本への到着を告げる。

 

 

 

つばめ326号との乗換駅である熊本駅12番線に到着。

駅名標の下にはJR旅客6社共同による『鉄道150年』のポスターが掲示されていた。

 

 

 

 

『水戸岡デザインの新幹線』

32ランナー

九州新幹線 5326A つばめ326号(博多行)

熊本 17:40→新鳥栖 18:16

 

・乗車距離:71.9㎞※実キロ ・表定速度:119.8㎞/h

編成表:熊本←①(自)821-1 ②(自)826-1 ③(自)827-1 ④(指)827-101 ⑤(指)826-101 ⑥(指)822-101→博多(幹クマ 800系U001編成)

 

◆トップナンバー車に当たる!

熊本駅からは当駅始発、各駅停車便のつばめ326号に乗り換える。対面乗換なので階段やエスカレーターの上り下りがなく便利だ。

今回私は初めて800系新幹線に乗車するが、その編成番号はU001、つまりトップナンバー!特に初めて乗る車両でトップナンバーに当たると嬉しくなる。テツの性とでも言おうか。

 

 

 

821-1の車内。JR九州オリジナルの新幹線だけに、水戸岡デザインの特徴が随所に現れている。西陣織が表地のリクライニングシートは自由席も2+2アブレストで居住性が良い。

 

 

 

洗面所は落ち着きのあるデザイン。自動水栓式の手洗いせっけんは装備されている。鏡に映っている松のイラストがシブい!

 

 

 

さて…熊本駅を発車したつばめ326号だが、夕刻にも関わらず気の毒な程ガラガラ…。6両編成でも輸送力過剰なのだろうか。

尚、JR西日本編成のチャイムは『いい日旅立ち(・西へ)』だが、JR九州の新幹線車両は向谷実氏作曲のオリジナルチャイムが流れる。在来線特急にも採用できないモノか?

 

 

 

新玉名駅付近。遠くに雲仙の山並みが見える。

 

 

 

新大牟田、筑後船小屋、久留米…と各駅にこまめに停車、そして長崎本線への乗換駅である新鳥栖駅に到着する。

 

 

 

駅舎内には西九州新幹線開業をPRするポスターがズラリ。

本来ならば西九州新幹線は当駅で分岐するハズなのだが…着工の見通しは全く立っていない。全線開通はいつの日になろうか…。

 

 

 

閑散とした駅舎内だが、駅ピアノが置いてあった。右に見えるサロンパスの広告…久光製薬の本社はここ、鳥栖市である。

 

 

 

さらに駅舎内を見渡すと、「江北発」のポスターが…。この後9月23日ダイヤ改正で『肥前山口』が『江北』に改称される事をPRするためなのだが、伝統ある駅名が失われた事を残念がる鉄道ファンも多かっただろう(私もその中の一人)。

 

 

 

脚の痛みに耐えながら外に出て駅舎を撮影。『STATION STAMP』にも紹介されているように「未来に向かってはばたく駅」という事で鳥の翼をモチーフにしたデザインとなっている。

 

 

 

JRブランド初の特急型電車』

33ランナー

長崎本線 4023M みどり23号(佐世保行)

新鳥栖 19:02→佐賀 19:15

 

・乗車距離:22.1㎞ ・表定速度:102.3㎞/h

編成表:早岐←①(G/指)クロハ782-504 ②(指/自)モハ783-304 ③(自)モハ783-201 ④(自)クハ783-107 ⑤(G/指)クロハ782-110 ⑥(指)サハ783-203 ⑦(自)モハ783-108 ⑧(自)クモハ783-8→博多・佐世保(※①~④は本ミフ CM22ハウステンボス編成、⑤~⑧は本ミフ CM12みどり編成)

 

◆中途半端な旅ではありますが…

新鳥栖から先、この日の最終目的地である県庁所在地の佐賀へ向かうのだが、本来長崎を目指すべきなのに佐賀になったかというと、長崎駅周辺で適当な宿が取れなかったのと、さらに言えば列車のバリエーションを増やすという目的もあった。

すぐに佐賀方面へ向かう列車としては18:42発の2037Mかもめ37号だが、コレは『白いかもめ』こと885系による運転で、同系は翌日長崎へ向かう際に乗る事にしたので見送り。次発のみどり23号JR初の新系列特急型電車・783系で運転なので、短い旅ではあるがソチラに乗る事にした。

 

 

 

◆ホームで撮り鉄

目的の列車までの間無為に時間を過ごすのも何なんで、早めに改札口を抜けてホームに出て行き交う列車の撮り鉄をしながら過ごした。

まずは先述のかもめ37号(本ミフ SM11編成)。

 

 

 

お次は415系1500番台(分オイ Fo1511編成)の肥前山口発博多行2872M。

 

 

 

連絡通路を渡り、2番線ホームに移る。

2034Mかもめ34号(本ミフ 787系BM-5編成)。

 

 

 

その次にやって来るのが、今回乗車するみどり23号である。

ハウステンボス編成とみどり編成の混成8連だが、全車佐世保まで直通する。

783系の基本デザインは水戸岡鋭治氏ではないが、デビュー当時はSFの世界から出てきたような斬新な印象を受けた。

 

 

 

私はみどり編成の最後尾⑧号車に乗車。壁にはローレル賞受賞プレートが燦然と輝いていた。JR九州の歴代特急型車両(800系新幹線も含む)は同賞もしくはブルーリボン賞のいずれかを受賞しており、内外からの評価が高い事が窺える。

 

 

 

乗車時間が短いため、ゆっくり車内観察…というワケにもいかず車内の写真はそこそこに…。座席は国鉄型車両最高傑作であるR55リクライニングシートの改良版で、34年も前の車両だが、包み込まれるような感触ですこぶる快適だった。床はセミハイデッカー構造で座席の肘掛と窓台の高さが揃っており、JR東海のキハ85系も同様の構造となっている。

座席モケットやカーテン、床のカーペットは水戸岡デザインにリニューアルされている。

 

 

 

JRブランド初の特急型電車ではあるが、コート掛けのフックは485系電車やキハ40系気動車などで広く使われている国鉄型車両標準のモノで、このフックはJRになった後もしばらくの間新型車両に使われていた(JR北海道のキハ150形など)。

 

 

 

新鳥栖からの自由席特急券も指宿駅で購入。

 

 

 

たった1区間、13分間の乗車だったが、佐賀駅2番ホームに到着。

 

 

 

佐賀駅には、かつて国鉄時代に佐賀線が発着していた。その行き止まり式ホームが柵に囲われているが現在も残っており、同線の名残を感じる。長崎本線上り方には僅かではあるが高架橋の跡も残っている。このあたり、志布志線(奇しくも佐賀線と同じ1987年3月28日に廃線)の高架跡が残る西都城駅に似ている。

 

 

 

◆36ぷらす3と遭遇!

佐賀線のホームを撮っていたら、同業者の青年に声を掛けられた。彼は福島の郡山から来たとの事で、夜行バスと18きっぷを駆使して九州へ来たらしい。彼は私にこう言った。

 

「36ぷらす3が来ますよ」

 

そうだ…時刻表の巻頭特集を開くと、この日8月8日(月)は長崎本線ルート上りの運転日だ。佐賀駅には19:49に到着し、20:05まで停車する事になっている。それまでの間絶好の撮影タイムというワケだ。

 

その『郡山クン』とテツ談義を話し込んでいたら、2番ホームに吉塚発早岐行2945Mが到着。415系1500番台(編成番号不明)と普通鋼製100番台(分オイ Fo103編成)との混成で、100番台のほうは肥前山口で切り離すらしい。大分の415系100番台も、肥前山口の行先も9月23日ダイヤ改正で過去のモノとなった。

(隣の3番ホームには817系の早岐発鳥栖行2942Mが停車中)

 

 

そして長崎からの8120M『36ぷらす3』が黒光りする車体を輝かせながら3番ホームに到着。

外観は素晴らしいのだが…側窓にハメ込まれた障子が眺望をスポイルしており、この辺り残念ではある…。

尚、36ぷらす3の長崎ルート(月曜日運行)は9月23日のダイヤ改正後に途中、肥前浜経由の佐世保ルートに差し替えられている。

 

 

 

そして、博多からのノーマル787系による2039Mかもめ39号が2番ホームに到着。36ぷらす3と並ぶ。このBM-3編成は側面の行先表示がフルカラーLEDに交換されていた。

 

 

 

『郡山クン』に別れを告げて改札口へ降りる。エレベーターがあるのは脚の悪い私にとって大変便利だ。

 

 

 

コンコースには「ありがとう特急かもめ ようこそ新幹線かもめ」の文字とそれぞれの車両をデザインした顔ハメ看板が…。

 

 

 

すっかり夜の帳が降りた佐賀駅。ウッカリ、この日の宿(背後に写っている『東横INN佐賀駅前』)のある南口と反対の北口に出てしまった…。

 

 

 

オープンして間もなかった『東横INN佐賀駅前』。そのため「サンキューゴメンネ」(¥3950)価格で泊まる事ができた。部屋の雰囲気も従来の東横INNとは異なり明るい。しかもトレインビューという最高のロケーション!

(1番ホームには唐津線のキハ47形2連が停車中)

 

 

 

この日の夕食は、鹿児島中央駅で予め買っておいた『うなぎと鹿児島黒毛和牛弁当』(松栄軒謹製)。私にとってまさに最強の組み合わせの駅弁だ。

 

次回は、いよいよ最終日である2022年8月9日の長崎本線特急乗車記~帰還篇を紹介します。

 

つづく