【ぼくのかんがえた】能勢電鉄が親会社に吸収される可能性は? 吸収後はどうなる?(2023年版)

のせでんコラム

 

<最初におことわり>

鉄道ファンには「撮り鉄」「乗り鉄」「音鉄」「収集鉄」など様々なジャンルがありますが、今回は実在しない鉄道を扱う「妄想鉄」に該当します。

苦手な方は回れ右ください。

 

目次



前置き

2023年12月20日、
関西じゅうの鉄道ファンが震撼するニュースが流れました。

南海・泉北高速、2025年度に経営統合へ 泉北高速の吸収合併、運賃値下げも予定 – 鉄道コム

南海電鉄、泉北高速鉄道と経営統合へ 25年度早期 – 日本経済新聞

 

泉北高速鉄道は大阪府の堺市~和泉市を走る鉄道。
親会社である南海電気鉄道との相互直通運転を行っていますが、
2025年度にその親会社に吸収合併されるというニュースです。

 

また少し前の10月31日には、
関東・千葉県の新京成電鉄が同じように
親会社である京成電鉄に吸収合併されて消滅予定というニュースが流れていました。

京成、新京成を2025年4月に吸収合併へ – 鉄道コム

 

これらの2つのニュースを受けて
鉄道ファンの間で憶測が飛び交っているのは

『能勢電鉄もこの流れで親会社に吸収合併されてしまうのでは?』

というところ。

そこで本記事ではそうなってしまう可能性と、
もしそうなった後にどうなってしまうのか好き勝手に放言してみます

(※実際に今後どうなっていくかについては、当サイトでは一切の責を負いません。)

 



能勢電鉄が吸収合併されてしまう可能性は?

先に申し上げておきますが、
本記事では「される!」「されない!」という
明確な結論は提示しません。

それぞれの論拠のみを客観的に並べて、
「されるかもしれないし、されないかもしれない」
というスタンスで行きたいと思います。

ではそれぞれの論拠をどうぞ。

 



①過去の前例について

過去に能勢電鉄の系列会社が親会社の系列に買収された前例は……

ありました。

保険業務などを扱っていた能勢電産業株式会社が、
2004年7月に吸収合併されて消滅しています。

 

【参考:能勢電産業 沿革(概略)】

  • 1956/10 能勢電鉄の100%出資で設立
  • 1982/04 のせでんスイミングスクール多田(1979/04開業)の業務を受託
  • 1990/06 能勢電鉄の100%出資で「能勢電ツーリスト株式会社」を設立
  • 1995/10 能勢電ツーリストを吸収合併
  • 2004/07 親会社系列の不動産会社に吸収合併され消滅

 



②能勢電鉄の少数株主への配慮について

先に挙げた新京成さん・泉北高速さんは、それぞれ
親会社が株式を100%保有する完全子会社となっていましたが、
能勢電鉄さんは現在の所は完全子会社ではありません

能勢電気軌道(設立当初)は、能勢妙見山の参詣客輸送と、
沿線で産出される三黒三白や炭酸水など特産物の輸送を目的として設立されました。
(※三黒三白:北摂・能勢の名産の総称。「三白三黒」とも。
  三黒は栗・炭・黒牛、三白は米・寒天・高野豆腐をさしています。
  炭酸水は現在の三ツ矢サイダーの元祖にあたるものでした。)

親会社が住宅地分譲のため路線を伸ばしたのに対して、
能勢電気軌道は地域の人たちがお金を出し合って作られた会社なのです。

そういう経緯があって、親会社の持ち株比率は98.5%
残りの1.5%は、115年前に能勢電気軌道の設立に尽力した
沿線の方々(の子孫)や商店といった少数株主達で構成されています。

※能勢電鉄さんの会社概要によれば、
 発行済み株式総数は205,600,000株。
 その1.5%なので、合計約308万株が少数株主達の保有分となります。

まれに金券ショップに売りに出される能勢電鉄の株主優待も
そうした少数株主さんが放出したものでしょう。
(完全子会社なら、親会社側の株主優待一覧に無ければこういう代物は存在しないはず)

「能勢電鉄」が、吸収合併される可能性はありますか? – Yahoo!知恵袋

しかしながら、
『この1.5%の少数株主さん達が首を縦に振らないから
 買収されて完全子会社になることは無いだろう、
 だから吸収合併されることもない!!』

と考えるのは早計です。

1999年に商法改正で導入された
株式交換という制度を適用すれば、
子会社の少数株主の同意を得ずとも完全子会社化が可能になります。

この制度が適用されれば、
少数株主が保有していた子会社の株式は
同程度の価値を持つ親会社の株式(等)にすり替わります。

また、株式交換に反対する株主がいた場合は
その株式を買い取るという強引な手法が一定の条件下で認められています。

 

ここまで長々と株式の話をした理由。
新京成さんは2022年に、上記の株式交換によって
京成電鉄の完全子会社化がなされているのです。

京成電鉄株式会社による新京成電鉄株式会社の完全子会社化に関する株式交換契約締結(簡易株式交換)のお知らせ(PDF)|新京成電鉄

こちらの資料によれば、完全子会社化される前の
京成電鉄の持ち株比率は過半数に満たない44.64%
それに対し、資料に記載されていない、
1人1人の持ち株比率は1%にも満たない少数株主達
保有していたと思われる株式の累計が約42%を占めていました。

今後どうなるかはわかりませんが、
こうした完全子会社化の動きが能勢電鉄でも出てくれば
吸収合併カウントダウンと取れるのかもしれません。

 



③能勢電鉄の負債ごと吸収するリスクについて

能勢電鉄HPで公開されている決算資料。

第170期(2022年4月1日から2023年3月31日まで)貸借対照表及び損益計算書(PDF)

これによれば、細かい所は抜きにして
『負債計』の項目が「236億9845.4万円」となっています。
(流動負債45億1066万円、固定負債191億8779.5万円)
※バブル崩壊のあおりで受けた不動産の負債などがかなり残っています。

対する親会社の方は(決算資料PDF
『負債計』の項目が「約9104億1800万円」となっています。
(流動負債約741億5900万円、固定負債約8362億5900万円)

もちろん会社規模の桁が違いますし、
資産の部では合計が約1兆1296億5200万円とあるため
経理上の問題は軽微と思われますが、
子会社の買収を行うにあたってこの約237億円を甘受するのか?という所が不透明です。

 



もし吸収されたら、その後はどうなる?

ここからは、考えたくもありませんが
実際に吸収合併が起こってしまったらどうなるのか妄想してみます。

 


①運賃体系について

のせでん利用者の中には
「運賃が安くなるから早く合併してほしい」
と言う方は少なからず存在するようです。
(※神戸市営地下鉄北神線のような値下げ&利用者増が起こった例もあります)

確かに2023年12月現在、たとえば
「大阪梅田~川西能勢口 ⇒ 280円」
「川西能勢口~日生中央 ⇒ 320円」
合計運賃600円となっている区間(28.0km)が、
合併して大阪梅田~日生中央となれば
親会社の運賃規則上は330円となり大幅値下げになります。

では先の2つの吸収合併ではどうかというと……

いずれも運賃が統合(安くなる)ではなく
現在の運賃を引き継ぎ、据え置くという話が出ているのです。
(※乗継割引の拡充などはありますが、片道切符の運賃として)

新京成さんについてはこちらで詳しく記されています。
同じ京成グループである北総鉄道との乗継の運賃事情が複雑に絡んでいるようです。

「新京成電鉄」京成に吸収合併へ 約80年で歴史に幕 車両や運賃はどうなる? | 乗りものニュース

新京成の運賃はなぜ統合できないのか|Kyoské OKA/厚沢部 煮切様(note)

 

いっぽうの泉北さんでは公式に発表されています。

南海電気鉄道㈱と泉北高速鉄道㈱との経営統合に関する基本合意のお知らせ(PDF)|泉北高速鉄道

こちらの資料では、きっぷの運賃は据え置かれるものの
乗継割引を拡充して定期券の運賃はだいぶ安くされる予定とのこと。

 

対して、能勢電鉄の親会社に関しては
『先の2つの前例があるから』
と、競合路線も無いのに、大した理由も付けずに
現在の運賃を据え置く可能性が高いと考えています。
(※あくまで筆者の独断と偏見です)

歌劇問題への対応や妙見の森の切り捨てなどで
イメージ低下が止まらない親会社の上層部ですが、
その守銭奴ぶりはここでも遺憾なく発揮されるでしょう。
(※あくまで筆者の独断と偏見です)

以前は鉄道ファンの間(※要出典)では
『二重運賃には出来ないだろうし、生かさず殺さずで能勢電鉄は別会社のまま存続すると思うよ』
という考えが主流でしたが、前出の2社の吸収によって
そのジョーシキが通用しなくなってしまいました。

 



②路線の今後について

路線については2022年のダイヤ改正などで
既にだいぶテコ入れされているため、
これ以上の減便は無いと願いたいのですが……

ただでさえ早まっている終電がさらに早まったり、
夜間ガラガラの時間帯の運行間隔が広がったり、
山下~妙見口の本数が減らされたり、
多少の変化はあるかもしれません。

最も混雑する平日朝ラッシュについても、
特急の減便など利用者が割を食うダイヤ変更があるかもしれません。

また、平野車庫の使用が最小限になり
車両の入出庫が平井車庫メインになるかもしれません。
(※あくまで筆者の独断と偏見です)

 



③車両の今後について

車両については、短期的には
そこまで変化が起こらないと考えています。

時代の流れで1700系(元初代2000系)が淘汰されるのは
仕方ないとして、5100系や7200系については
(泉北3000系以来の)親会社への譲渡、さらには
「一度子会社に売却した車両を親会社が買い戻し」
という全国でも稀に見る事象が、
吸収合併されればほぼ必然的に起こります。

5100系や7200系の置き換えについては
多額の費用をかけて専用のワンマン改造をしたこともあり
そこまで急がず、時間をかけてゆっくりと進められると考えられます。
(※あくまで筆者の独断と偏見です)

 



他にも全国にある、大手の子会社化している地方民鉄

当サイトは能勢電鉄のファンサイトなので
そこに特化して解説しましたが、全国を見渡すと
これだけの「大手の子会社(あるいは完全子会社)となっている地方民鉄」が存在しています。

それぞれの鉄道のファンの皆様は同じように戦々恐々とされているかもしれません……

<一覧>
※連結子会社や孫会社も含む。太字は準大手私鉄。
※能勢電鉄の親会社のグループは除く
※「★」印は完全子会社(孫会社)、それ以外は順不同に記載

  • JR東日本→東京モノレール
  • JR東海→東海交通事業★
  • JR西日本→嵯峨野観光鉄道★
  • 西武→近江鉄道、伊豆箱根鉄道
  • 東急→伊豆急行★、上田電鉄
  • 小田急→江ノ島電鉄★、箱根登山鉄道★
  • 京成→新京成電鉄★、千葉ニュータウン鉄道★、北総鉄道、関東鉄道
  • 名鉄→豊橋鉄道
  • 近鉄→養老鉄道、伊賀鉄道、四日市あすなろう鉄道、奈良生駒高速鉄道
  • 南海→泉北高速鉄道★、阪堺電気軌道★
  • 京阪→叡山電鉄★、比叡山鉄道、京福電気鉄道
  • 西鉄→筑豊電気鉄道

 



編集後記

気が付きましたか?
いちおうの配慮として、本記事内では
親会社の名前を一切出しておりません。

本記事公開から1週間程度は、
サイドバーなど本文以外の所にも一切親会社の名前が出ないように設定しています。
その間はページ内検索しても全くヒットしません。
はて、親会社ってだれのことだっけか。しらないなぁ。

 

さて、ここまでいかがだったでしょうか。
では最後に、大阪人お決まりのあれで締めます。

知らんけど。

 

 




(NOSE KNITs – 能勢電鉄と沿線を応援するサイト!)

鉄道コム

 

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