インド最後の大型蒸気旅客列車に乗る(1994年3月) | 旅一郎のブログ

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国鉄(日本国有鉄道)が、最後の全盛期を迎えた昭和47年ー53年までをテーマにした、汽車旅のブログです。

旧型客車亡き後、日本の鉄道旅行は本当につまらなくなりました。そのため海外ネタも載せています。

当時の雰囲気を伝えるものは鉄道にかかわらずアップします

テーマ:


最後の本線旅客用大型機関車WP


インドの鉄道路線図


デリー付近を拡大。デリーから左上のMORADABADまでが今回乗る区間。



インドまでの行き方(東京発)  データは1994年3月

1Rs(ルピー)=3円


○のりかえ便

MS エジプト航空+IC インディアンエア

バンコク乗継 ¥88000(往復)

16:00→23:05 バンコク

翌日14:00→カルカッタ

火土出発60日 OPEN

○直行便

A1 エアインディア ¥117000-

12:20→18:25 カルカッタ 土

12:00→17:25 デリー 水木日


◯バンコクで格安航空券を買い直す

PKパキスタン航空かBGビーマン

バングラディシュ航空でタイまで

¥46000-〜

タイのカオサンロードでIC インデアンエアの

バンコクーカルカッタ往復6100B

(25000円) 合計 7万円強


インドの生活費

1万~2万/月

合計100000円弱


航空券はアクロス・トラベル 03-3299-3851


★インドレイルパス

2等用💲80 (15日有効)

1等 用💲165(15日有効)があるがよほどのことがない限り、もとを取ることはできない、その度、買う方がよい。

例えば本文のデリー〜モラダバード (161km)は22Rs(70円) 特に蒸気目あてから先行等に乗ることも少ないので必要ない。


☆風前の灯といわれるインドの本線蒸気

2年前までは4000両はあったというのに94年の時点で1700両(レイルマガジン調べ)になってしまった。これはナローやメーターゲージを合わせた数なのでブロードゲージの蒸気は本当に少ないのではないか? 

94年3月に私の見たところではデリー近郊のモラダバードに20数両、

バラナシに僅か見ただけである。もっとも北部しか行かなかったので他にもあるかも知れないが。


首都デリーに残る蒸気旅客列車

メインバザールのゲストハウス140RS(約400円/2人用)からリキシャーに乗りデリーの駅に着いたのは9:30を過ぎていた。モラダバード行

308列車客駅停車は9:45発で時間が迫っている。窓口を見つけたが電気が消えていて人がいない。客は10人ほどいるというのに!

9:40頃、ようやく駅員がやってきた。しかし前の2人がもめて全く進まない、切符を買えたのはなんと9:44 だった。走って列車を探す。

▲308列車の編成


しかし蒸気列車が2本並んでいるためどちらがわが308列車かわからない。サボはあるがヒンズー語なのでわからないと全て困った状況で「とりあえず9:45に発車する」と

いうポイントだけがたよりだった。何とか乗りこんだ列車は9:45 ポー」という古風なヨーロッパ風の汽笛も高らかにオールドテリー駅をすべり出した。


▲黒煙を上げてデリー駅を発車する308レ(前日撮影)


車内は席がないわけではないが混んでいる。50m ほど走ってすぐに停車。切符を買うのに手こずっていた人達が乗りこむためだろうか。

全てがインドのアバウト風の中ではじまった。このすきに空いている両を探す。1分ほどで再び汽笛が鳴り出発。ブラスト音が駅構内に響きわたる。こんな恐怖をおぼえるほど迫力のある蒸気はひさしぶりだ。

大地をゆるがすと言っても過言ではない。中国の前進型など比べるに値しないと言えばわかってもらえるだろうか。

ゆっくりと前進し、大きな鉄橋を渡る。レンガの橋脚の下にはバザールが広がる。

右手には赤色のデリー城も見える。

デリー シャーダラ駅に着く、近効区間といった感じの高架駅である。湘南色の電車がすれ違う。いきなり20分も停車。既にに25分の遅れである。後続の10:00発、WP型蒸気

の引く普通列車が追い着き先に発車。インドのブロードゲージの蒸気は大きく2種類あり、1つは我が308を引くWG型 1D1の貨物用でもう一つが先のWP型2C1の旅客用である。私としては型 はWGの方が好きだが、世界レベルで本線用大型旅客蒸気というのは WPしかないであろうと思われるので乗ってみたかった。

電車駅のビベカビアルを通過。といっても貨物用WGの足は遅い。

サヒババードに20分遅れで到着、DLの引く列車、そしてEL客レと交換3種そろい踏みだ。車内は8割ほどの入りだが、「屋根まで人の乗るインドの列車」のイメージとはほど遠い。ガーシアバードで電化の本線と立体交差で別れ、緑の多い湿地帯を走る。しばらく本線を右に見て左に大きくカーブする。


ムザッファルプル発デリー行4649列車とすれ違う。

大きなドラフト音が右手の建物に響き空が割れるようだ。スピードはとまりそうなほどのろい。

遅れをとり戻す気はないようだ。街はとぎれ広い草原になった。木々のみが立体物である。右手には国道が並走し、時々バスが行く。



▲ハプール駅でクルジャー行 4KM 列車


12:00すぎハプールに着く。左からロッド付小型DLが並走、クルジャー行4KMだろう。あちらは25分ほど遅れているようだ。ここで給水のため10分ほど停車する。となりのC型DLは万両の客車から一度はなれ、我が308レの後部に連結。後部補機か?と思ったが後ろ2両の貨物を切りはなした。9両の軽快な編成になった308レは20分遅れのままモラダバードに向かう。先ほどの

国道を斜めに横切る。ほどなくして草原にもどる。スピードはすこし上がったようだ。


▲ハプール駅における給水風景


ガラムクテスタルの近くで保線作業員が旗を出し、列車を止めた。臨時停車だ。すぐに発車する。この列車は駅に止まる毎に3~5分は停車するので新鮮な感じだ。

ガラムクテスタルに到着 。2度目の給水だ。ホームにはDLの引く貨物が停車中、10数分停車ののち発車する。遅れは30分を超えている。しばらくすると築堤を上る。左のケーブルが気になるがなかなの好撮影ポイントだと思う。築堤の端に大きな鉄橋があり、その手前に小さな駅ガラムクテスタルブリッジ駅がある。

列車はゆっくり、石橋をたたいて渡るごとく進む。ガジラララでWGの引く混合列車と交換 。IMD かと思ったが客車4両では短いのでちがうか。14:15発ナジババード行3MDだろう。

給水のため10分ほど停車し、IMDを待っことなくタブレットを受けとった。車内は50% 程に空いてきた。けっきょく IMDを待つことな13:50に発車。遅れは25分である。

次のカフルプールで IMDと交換する。向こうは始発駅のモラダバードを 11:55に発車する。

定刻は13:15にカフルブール発となっているが今は14:15 、なんと1時間遅れである。編成はこちらと同じWGを前にした座席車ばかり。結構混んでおり120%くらいだろうか。

発車してからの左手に無人のレンガ造りの家あとが多く現れた。ちょうど人のいなくなった九州の炭坑のようで無気味だ。そうこうするうちにアムロハに着くチャイの立ち売りがやってきたのなら買うしかない1.5RS (5円)


▲チャイ(1.5Rs)を飲み疲れを癒す。

素焼きのカップはなんと使い捨て!


給水のため10分ほど停車したため遅れは40分になってしまった。


次のカイルサとハキンプールの間に小駅チャキリライットがある。308レは通過のはずだか停車した。5人ほどが乗りすぐ発車。

ハキンブールでは低いホームにサルがいて機関士がエサをやるのでよくなついている。そのうち犬もまじってきた。特にケンカする様子はない。


長い停車時間だ、どうかしたのか?と思っていると前方よりタイフォンが聞こえた。何と4時間遅れの5609デリー行急行列車だった。

100km/hくらいのスピードで通過。タブレットを交換していった。結極 50分ほど遅れてハキンプールを出発。ロッヒプールビシャンブール

を出ると左手の森の向こうに煙がみえた。蒸気か!と思ったが工場の煙のようだ。

しばらくすると同じ方向からレールが近づいてきた。まもなく終点である。


▲モラダバード機関区、20両ほどの蒸気が火を入れていた。


左手に扇形車庫が現われた。この線

の機関車を集結させたような大規模

車庫だ。20両ほどの蒸気がたむろしている。間もなく全廃されるというのに信じられない。

しかし同じ数の20両ほどの廃車も

あった。もうしばらくでこの蒸気も廃車になって.しまうのだろうか。

スピードを落としていよいよモラダバード駅に進入する。駅には機関車待ちの客車がゴロゴロ、到着時刻は16:00ちょうど、遅れは何故か20分に縮まった。そのカラクリは時刻表を見てもらえばわかるだろう。


▲モラダバード手前の駅から僅か1駅7kmに51分も掛かっている。


大きな駅や終点の手前は十分に時間の余裕をとったダイヤにしてあるのだ。 けっきょく 308列車は161kmを

6時間15分かけて走ったことになる。


▲モラダバードに到着した308列車、WGのヘッドライトが取られていた。