近未来都市を思わせる、数々のパビリオンや展示館が立ち並ぶ万博会場。半年の期間中に訪れた観客数は約6420万人を超えたという、高度経済成長さなかの歴史に残る大イベントでした。

前回記事の最後で触れましたが、一日平均30万人以上の観客が押し寄せた会場への主輸送手段は、2ルート設けられた鉄道が果たしました。

今回の企画展は、それらのつぶさな記録に重点が置かれた内容でした。まずは「北大阪急行電鉄（北急）〜地下鉄御堂筋線」ルートから拝見してみます。出典①。

「万国博中央口駅」に至る北急の路線は「会場線」という名前がつけられ、現在の終着駅「千里中央駅」から東へ3.6kmほどのところにありました。万博の観客輸送が目的のため、途中駅は設けられず。

さらに拝見して行きますと、実に貴重なショットが収められていました。

万博開幕の約1ヶ月前、1970年2月24日。「万国博中央口〜江坂間（大阪府吹田市）」が先んじて開業した際の、記念式典の様子。

ホームには、たくさんの人の群れが！

「阪急少年音楽隊」による演奏。北急は阪急のグループ会社でしたので、このあたりは阪急らしいといいますか。華やかです。

それに先立つ、試運転の様子ははじめて拝見しました。これだけでもわくわくします。

パネル写真の他にも、記念乗車券の数々も展示されていました。

会場の目の前に「万国博中央口駅」を設けた北急は「江坂駅（大阪府吹田市）」までの路線でしたが、そこから南方向へは「大阪市営地下鉄（現在のOsakaMetro）御堂筋線」と相互乗り入れすることで、大阪市内中心部から万博会場までのアクセスを目論みました。

先ほど触れた、開幕1ヶ月前の2月24日に「御堂筋線 新大阪〜江坂間」が延伸開業。

それと同日に北急が「江坂〜万国博中央口駅」を開業。万博輸送のメインルートが完成した瞬間でした。券面の写真が凛々しいですね。

ところで、くだんの「万国博中央口駅」は1面2線の配線。千里中央駅方向に両渡り式のポイントがあるので、到着・発車時に相互に進行方向を替えていたようです。

駅ホームからの様子。このような角度のものははじめて拝見しました。駅から見えるパビリオンが、すでに未来都市の雰囲気でわくわくしますが…

線路脇を拡大してみますと、すんごい行列！こちらはバス停でしょうか。

日傘を差されているので、季節は夏のよう。

おーい、大丈夫！？

子どもには、こんな混雑具合はつらかったのでは、と心配になってしまいます。

さて、発車を待つのは「大阪市営地下鉄 御堂筋線」の30系車両。大量輸送を要する万博開催を控え、多数製造された車系です。

予定通りに「御堂筋線」へ集中的に投入され、8両編成で輸送に徹しました。アルミ車とステンレス車が混在していましたが、これは側面に波板（コルゲートとも。溶接跡を塞ぐ目的がある）がないので、前者。

「あびこゆき（大阪市住吉区）」表示が懐かしいですね。市境を越えた「なかもず駅（堺市北区）」延伸（1987年4月）まで、あびこは御堂筋線の終着駅でした。

一方、ステンレス車はこちら。腰下のコルゲートが目立ちます。30系とそっくりな顔つきですが、これは北急が所有していた編成でした。

ところで、新大阪、梅田、なんば、天王寺と、市内の主要駅を串刺しにする「御堂筋線」ゆえ、大変な混雑だったことは想像がつきます。

万博開催時には地下鉄御堂筋線と北大阪急行電鉄の直通列車がラッシュ時並みの最小2分半間隔で運転され、梅田駅から万国博中央口駅まで24分、新大阪駅から17分で結び、大阪近郊からの輸送はもちろん、新大阪駅乗り換えで遠方から新幹線等で来た客の輸送も担った。出典②。

「御堂筋線」自体がこの当時からでも頻発運行されていたのにも関わらず、さらに高頻度でのダイヤだったとは。沿線は本題の「千里ニュータウン」もありましたし、通勤、通学とぶつからなかったのか。気になります。

となりますと、再来年の「2025年大阪・関西万博（日本国際博覧会）」では、会場に直結する唯一の鉄道路線「中央線」がその任を果たすことになります。九条〜弁天町間にて。

先の万博の「30系」同様に、観客輸送を目論んで「30000A系」や「400系」と言った新型車両が続々と投入されていますが、報道などによると列車の運行間隔はやはり、ピーク時で2〜3分おきを想定しているようです。生駒にて。

ただ無事に、これは予定通り開催出来るんかしら、などと心配になるのですが…

失礼いたしました（汗）先ほど立ち寄った「イオンモール鶴見緑地（大阪市鶴見区）」にて。

次回に続きます。

今日はこんなところです。