京阪が中之島線延伸構想の決定見送りへ | 京阪大津線の復興研究所

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そのために、京阪線や他社の例も積極的に取り上げます。

京阪が中之島線の九条駅延伸構想について、今年度中の決定を見送る方針を示しました。詳細はこちら

 

その主な理由は、九条駅で接続する大阪メトロ中央線の終点に誘致する統合型リゾート(IR)の実現が不透明になったためです。京阪が中之島線がらみで示した経営判断としては、初めての賢明な選択と言えるでしょう。

 

そもそも、この延伸構想はわずか2km程度にもかかわらず、約1,000億円の事業費を見込む投資効率の悪い計画なのです。通常、地下に複線の鉄道を建設する場合は1km当たり150~300億円が相場なので、あまりにも高額です。

 

そうなる原因は、中央線および阪神高速道路の高架橋の真下を通す想定になっているからです(地図参照)。これでは、地下の深い位置にシールド工法で建設せざるを得ません。

 

そんなことをせずに、国道172号線の下をそのまま直進すれば、比較的浅い位置に開削工法で建設できます。中央線の九条駅とは約300m離れますが、その間をアーケード付きのナインモール九条商店街が結んでいるのでさほどの不便はなく、地元の活性化にも貢献できます。

 

また、客観的に見て中央線よりも重要な連絡相手である阪神なんば線の九条駅とは、L字型接続が逆L字型接続に変わるだけです。中之島線の駅も阪神なんば線と同じ深さの地下1階にコンコース、地下2階にホームを設ければ、建設費が安くなるだけでなく、「延ばしたい病」の予防にもなります。さらに、阪神が阪急傘下に入った今となっては実現の可能性は低いですが、連絡線でつないで直通運転を行うことも物理的には可能です。

 

加えて、このルートであれば中央線が遠ざかる反面、大阪ドームへの距離が短縮できます。どう転ぶか分からない大阪万博やIRより、市内屈指の集客施設として実績のある大阪ドームをなぜ重視しないのか、理解に苦しみます。

 

もちろん、それもこれも中之島線の既存区間が赤字体質を脱した後の話です。そのためには、2031年春のなにわ筋線開業を待たなければなりません。それまでに、中之島駅の構内を改良して乗り換えを便利にすることが望まれます。詳しくは拙著【新・関空アクセス鉄道の復興計画】 をご参照ください。