JR東日本が14日に発表した千葉支社管内のダイヤ改正について、後編では一般列車(特急以外)について分析します。
https://www.jreast.co.jp/press/2023/chiba/20231215_c01.pdf
なお、記事中の資料はJR東日本プレスリリースから引用しています。
1.総武快速線
千葉6:21発の快速東京行きが1本増発されます。また、現行ダイヤの千葉6:23発快速東京行きは、千葉6:26発に変更したうえで、11両編成から15両編成に増強されます。
総武快速線はピーク前の6時台が混雑する傾向にあること、早朝出勤者が増えているであろうことを踏まえると、この増発はよいものだといえます。もっといえば、千葉6:32発と6:40発の間にも1本欲しいところですが、特急が2本挟まるので難しいのかもしれません。
一方、20時台の下りは1本減便となります。対象列車は不明ですが、東京20:47発の快速千葉行きではないかとみています。この列車は津田沼にほど近い幕張車両センターから東京まで回送でわざわざ送り込み、東京20:47発の快速として千葉まで乗客を運んだあと、千葉で運用が終了する(恐らく幕張車両センターに回送)ダイヤとなっており、1本の列車を動かすわりに手間がかかっているからです。
2.京葉線
今回のダイヤ変更で一番衝撃が走ったのが、京葉線関係でしょう。変更点は次の通りです。
(1)通勤快速の廃止
現在、平日に2往復運行されている通勤快速は廃止され、各駅停車に変更されます。また、京葉線の列車は上総一ノ宮までの乗り入れとなり、上総一ノ宮~勝浦間には乗り入れなくなります。
なお、内房線直通については、下りは君津行き、上りは上総湊発は変わりませんが、各駅停車に変更されます。
この通勤快速は、新木場~蘇我間をノンストップで走るという凄い列車なのですが、とうとう廃止となります。京葉線通勤快速については、以下の記事もあわせてご参照ください
令和3年3月のダイヤ改正で通勤快速は減便され、令和4年3月のダイヤ改正では所要時間が3分延びていたので、「これは廃止の可能性もあるな」と思っていましたが、本当に廃止になってしまったか…という思いです。
(2)朝夕時間帯の快速廃止
京葉線では通勤快速だけでなく、朝夕時間帯の快速も全て各駅停車に変更され、快速は日中(10~15時台)のみの運行となります。現在、朝と夕夜間に京葉線~内房線・外房線を直通する通勤快速や快速が設定されていますが、これらも全て各駅停車に変更されます。(日中の外房線直通快速列車は存続)
これについては批判の声が相次いでいますが、この件に関する見解は最後に述べたいと思います。
(3)減便
朝ラッシュ時間帯の上り1本、東京発20時台の下り1本が減便となります。通勤快速や快速が各駅停車に変更されることで、既存の各駅停車と統合することで減便を図るとみられます。
なお、西船橋方面への運行本数は変更されない旨が明記されているので、減便対象は「東京~蘇我」「東京~新習志野」「東京~海浜幕張」間を走る列車のいずれかと思われます。
3.外房線
(1)通勤時間帯の列車増発
朝時間帯に誉田~上総一ノ宮間に1本増発となります。通勤通学時間帯でありながら、運転間隔が40分ほど空いていますが、この増発により概ね20分間隔に是正されます。
また、夜時間帯に茂原発千葉行きが新設されます。が、現行ダイヤで既に似たような列車(292M 普通千葉行き:上総一ノ宮19:38→茂原19:47→千葉20:25)が設定されています。この列車の運行時刻を変更したうえで、茂原発千葉行きを新たに入れ込むものと思われますが、詳細が分かりません。これについては、時刻表3月号で確認が必要です。
(2)上総一ノ宮~勝浦間の減便
夕夜間に上総一ノ宮~大原間で下り2本、大原~勝浦間で下り1本が減便となります。恐らく、上り列車も1~2本減便されていると思われます。また、上総一ノ宮以南については、ワンマン運転の対象列車が増えていることもうかがえます。
(3)夜間上りの接続改善
夜間の千葉方面行き上り列車の運転時刻を調整し、上総一ノ宮での接続が改善されます。現行の上総一ノ宮21:34発普通千葉行きは、蘇我で10分も長時間停車しており、その長時間停車をなくして時間調整することで、接続が改善されます。なぜ蘇我で長時間停車するダイヤを組んでいたのかが謎ですが、改善されるのでよいです。
4.内房線
夕方時間帯に君津→上総湊間で1本減便となります。(恐らく上総湊→君津も1本減便)現行と改正後の予想ダイヤをまとめると、次のとおりとなります。
黒色は普通列車(209系 恐らく8両)紺色は総武快速(11両もしくは15両)、水色がワンマン運転の普通列車(E131系2両)での運行です。(千葉16:24発の総武快速は、土休日は東京始発15:44)
君津駅を境に北側は複線、南側は単線となっており、本数も変わります。さらに、君津~上総湊間は単線区間の中では利用者がおり、本数も若干多くなっています。
この中で、現行ダイヤで木更津17:30発の館山方面上総一ノ宮行き普通列車は特に混雑が激しいということが言われていました。というのも、上総湊までで降りる客も、上総湊から先の浜金谷や館山方面まで向かう客も、2両しかない17:30発の普通に集中してしまっているようです。
上総湊より先へ向かう場合は、千葉16:59発(木更津17:39発)の普通上総湊行きに乗れば、終点の上総湊で先行していた普通列車に乗り継ぐことができるダイヤになっており(図の赤く囲った部分)、JR東日本も分散乗車を呼び掛けていました。
しかし、あまり効果がなかったのか、次回の改正で手を加え、上総湊まで乗る乗客と、上総湊より先まで向かう乗客が違う列車に分散するように工夫したというわけです。ただ、分散できれば1本削れるとばかりに、減便になったのは残念です。
5.総武本線
夕方時間帯に千葉~四街道で1本増発となります。一方、四街道~佐倉間は減便になります。減便対象列車は不明ですが、千葉19:59発普通佐倉行きと、佐倉20:26発普通千葉行きが四街道発着に短縮されると思われます。
6.まとめ及び京葉線快速大幅減便について
いかがでしたでしょうか。新型コロナ禍から抜け出し、回復基調にあるように思われますが、特急列車も含めて減便が目立つダイヤ変更となりそうです。
中でも批判の声が大きいのが、朝夕時間帯の京葉快速の廃止です。京葉線の快速列車は、東京から新浦安、南船橋や海浜幕張だけでなく、京葉線から先の内房線や外房線の沿線住民が、朝に東京やその先へ向かう(もしくは夜に内房や外房エリアに帰ってくる)うえで、非常に重宝する列車です。
しかし、通勤やお出かけに便利な時間帯の快速列車が全て各駅停車になってしまうので、利便性は低下するといわざるを得ません。今後、京葉線利用から総武快速線へ若干利用のシフトが起こると考えられます。
京葉線の快速の大幅削減については、正直私も意図を図りかねています。特急誘導ではないか、という声もありますが、肝心の特急も減車・減便となっており、特急誘導にすらなっていないのではないかと考えています。
一つ考えられることは、京葉線の東京側(快速運転区間:東京~海浜幕張)の列車の運転間隔を調整したいということではないかということです。この区間では、普通列車の運転間隔が4分程度のところもあれば、15分以上空く時間帯があり、不均等になっています。快速がなくなれば、普通列車が快速の待ち合わせや通過待ちをする必要がなくなり、より等間隔で列車を走らせることができます。
また、京葉線は1往復減便となるものの、武蔵野線(西船橋方面)の本数は維持されました。前回のダイヤ改正でも、京葉線の快速が大幅減便となる一方、西船橋方面~京葉線の列車は増発され、輸送強化がなされました。
前回からの流れを見ても、JR東日本が京葉線で最も重視していることは、「東京~海浜幕張間の混雑緩和」「武蔵野線直通列車の維持」の2点ではないか、と私はみています。
厳しい内容を突き付けられた千葉エリア。今後乗客の流動がどう変わっていくかが注目です。
ここからは完全にお気持ち表明ですが、元内房線沿線民だった身としては、今回の改正内容は非常に悲しいものでした。特急列車の車両は老朽化で運用から退いても、新型に置き換わるわけでもなく、減車減便されて既存車両で何とかするということとなりました。そして、京葉線の快速も大幅に減便され、特急も快速も使いづらくなってしまいます。
正直、内房・外房エリアが、おざなりにされている感が否めません。もっと何とかならなかったのか…という思いです。