大糸線雪月花 その歴史と希少性 | 金屋代かずおのお部屋

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周防大島町を拠点に鉄道旅行・鉄道もけいの活動を行っています.

 

運行には多大なる苦労が必要

これまで当ブログでは「大糸線雪月花」について見て行きましたが,この「大糸線雪月花」は4年連続5回目です.普通列車をバス代行輸送させてまで運行するこの「大糸線雪月花」について,歴史をまとめてみようと思います.

 

 

 

  第1回 2017/11/12

大糸線開業60周年を記念して,日本旅行の企画により実施されました.当時の「雪月花」はまだ1歳,筆者の当時の印象としては「珍しいことを行ったな」という感じがします.乗車ツアーは1泊2日,五箇山合掌造りの見学・富山市での宿泊・雪月花は往復乗車(食事は片道のみ)で1名1室73,800円(税込,以下同様)でした.当時の雪月花の乗車価格が15000円程度でしたので,大阪〜糸魚川の往復および,五箇山合掌造り・富山市での宿泊を除いて単純計算すると,「雪月花」の往復は単純に2〜3万円と,当時としては強気な設定であったと思います.

なお,このツアーは「おとなび・ジパング」のツアー窓口で受け付けられていましたが,別に「おとなび・ジパング」の会員でなくても申し込みはできたようです.これはのちの,運行当初の「WE銀河」乗車ツアーと同じ扱いです.

なお,「大糸線雪月花」運行に伴う普通列車の運休・バス代行輸送は当時から実施されています.

 

  第2回 2020/11/23

2019年に鳥塚亮氏がえちごトキめき鉄道の社長に就任して以来は,初年度を除き毎年企画・実施されています.この2020年については10月〜11月に旅行需要を大きく引き上げる政策が実施されていたこともあり実施されています.

乗車区間は直江津→糸魚川→南小谷→糸魚川で,価格は21,800円で,えちごトキめき鉄道の雪月花予約センターで販売されました.現在から見てもお得感を感じられる内容で,実際に発売即日満席になったようです.

 

 

  第3回 2021/11/3

2021年よりは糸魚川市観光協会の主催・募集で行われており,各回において,糸魚川→南小谷の「Aコース」と南小谷→糸魚川の「Bコース」に分けて募集されています.

2021年は南小谷〜塩尻を「あずさ」に乗車し,「塩の道」を楽しもうという趣旨のツアーになっていました.雪月花乗車区間は直江津〜南小谷,価格は34,800円でした.参加者は抽選で選ばれています.

 

  第4回 2022/11/26

大糸線開業65周年ということもあり,規模が大きく,「リゾートビューふるさと」にも乗車する,という内容になっていました.雪月花乗車区間は糸魚川〜市振〜糸魚川〜南小谷で,価格は37,800円でした.現在からすると,雪月花パートのみでこれだけの価格が提示されても乗ることを検討される方はいらっしゃると思います.

このツアーは先着順でしたが,実は少なくとも「Bコース」は少なくとも即日完売しませんでした.

 

  只見線雪月花 2023/6/17・18

比較されがちですので参考に書いておきます.只見線復旧の目玉企画で,雪月花に5〜7時間も乗車できるということもあり,8万円の設定がなされました.それでも,まずは関係者・準関係者の乗車希望者の方が多く抽選で片道ずつ乗車者を選んだこと,残りのごく少数を日本旅行が一般向けに販売した(そして買えなかった)ことが記憶に残っています.

只見線雪月花は好評でしたが,只見線にとっては,東京から観光回遊ルートを確立することと,「SATONO」でも良いのですが,(磐越西線・会津鉄道線の走行は考慮するものの)専用のリゾート列車,それもHB-E300系やGV-E400系をベースとした車両で運行するものが必要ではないかと思います.朝しか立ち会えない光景もあるのですが,昼間の時間帯に1往復しか直通の列車しかないのはそれ相当に問題といえます.

 

  第5回 2023/11/26

筆者が乗ったのはこの回です.内容が「南小谷まで・からのバス送迎」+雪月花乗車とかなりシンプルになりましたが,29,700円と設定されました.しかし,筆者としてはこれでもまだ安いのではと思っており,このツアーが抽選制で募集されたと決まったとき,1年に2度目の北陸訪問であったとしても2022年のツアーに参加すべきであったと後悔しました.

 

 

 

後に,このツアーは高倍率であって,筆者よりもより多く「雪月花」やえちごトキめき鉄道を利用している常連さんの方々が落選して,やむをえず撮影行に回ったという話を聞きました.

 

  大糸線雪月花に関する所感

大糸線雪月花の運行には,運転士の方が「大糸線」「ET122型」の両方に慣れている必要がありかなり限定される,糸魚川駅でも列車の発着番線を変更するなど多大な苦労があります.また,大糸線には「信濃大町〜南小谷」も含めて利用者が少なく,JR西日本はもちろんJR東日本線として廃止が検討されうるということも見逃せません.

しかし,それ以上に,このような渓谷に沿って走っているということは,川が暴れると直ちに線路を剥がすということになりかねないということです.今回の筆者の「大糸線雪月花」乗車に関して,美祢線が大きな被害を受け,100周年を目の前に事実上の廃線を突きつけられた現実のインパクトは大きかったです.この姫川も暴れ川として知られており,1995年には水害で,復旧には2年の歳月がかかりました.もし,大糸線が再度水害で被害を受けようなものであれば,「JR西日本線として廃線」どころか「線路を剥がす」ことになりかねません.

「大糸線雪月花」はその運行手続きの複雑さから,実施するにしても年に1往復,そして沿線の皆さまが自信を持って,運行に適すると感じられたのがこの晩秋なのでしょう.1年でも多く運行され,その魅力をより多くの皆様に知ってほしいと,筆者も感じています.「雪月花」は乗車1時間につき約1.2万円の設定となっていますが,今回のような特別運行では全席をお土産付き・5000円プラスの「特別地域貢献プラン」のみで発売することもあり得ます.申し込まれている,参加されてる皆様は,この運行の価値を十分に理解されている方ばかりであると信じています.

ET122-1000系とHB-E300系は同じ「ATS-P」「ATS-Ps」を装備していますが,実のところ,「大糸線の南小谷以南にET122-1000を入線させる」「大糸線の南小谷以北にHB-E300系(リゾートビューふるさと・海里)を入線させる」ことは,現状は「できない」ということでした.

 

  ところで

ここまで「大糸線雪月花」について見てきましたが,今年のツアーでは糸魚川発着となっており,道中で「道の駅 小谷」に立ち寄ることになっています.では,なぜ旅行記を南小谷駅から開始しているのかということです.

 

実は筆者は「南小谷駅」からこのツアーに参加していました.当選・支払い後,糸魚川市観光協会の方と相談を行っていました.認めていただきまして誠にありがとうございました.

ツアーの途中参加についても,毎回ルールが異なってくると思いますので,毎回確認・相談が必要であると思います.

 

改めまして,ツアーの企画・実施,そして筆者を抽選で招待し,様々な相談に対応していただきました糸魚川市観光協会のみなさま,列車を運行したえちごトキめき鉄道・JR西日本・JR東日本の皆様,ツアー参加者・列車代行バスを運行した糸魚川バスの皆様,列車の運行で様々なサポートをしていただきました新潟県・長野県の県庁・県警察,新潟県糸魚川市・長野県小谷村の関係者の皆様に深くお礼を申し上げます.ありがとうございました.お疲れ様でした.その分,皆様に沿線・列車の魅力を伝えられればと考えています.

 

  11/23 出発の日

大糸線では運行の告知の日から数日,大雨や強風で運休になった日もありましたが中長期の運休には至らず持ちこたえました.筆者の体調も整い,いよいよ,11/23に出発することにしました.

出発は新岩国駅からです.

残り少なくなった500系,そしてこの3月でなくなる喫煙ルームを記録しておきます.

さらに「のぞみ」に乗り換え,車内販売を利用しておきます.

上越妙高まではJR西日本の株主優待を利用しました.長い旅がいよいよ始まります.

 

  今後の記事の予定

  • 「大糸線雪月花」編の直後談となる記事を2〜3記事,先に用意します.
  • その後,この旅の副目的を次々と記事化します.
  • 副目的の記事は各種ニュース・鉄道模型のレビュー系記事と交互に掲載します.

最後までご覧いただけると嬉しいです.

 

出典

いずれもリンク切れにご注意ください.

https://www.nta.co.jp/otonavi/pdf/4070009005.pdf

https://www.itoigawa-kanko.net/wp-content/uploads/2021/10/58033c3c1410f726e2ecea0b5cf4fed5.pdf

https://www.westjr.co.jp/press/article/items/220926_00_press_setsugetsuka%20.pdf