鯵ヶ沢の朝を迎えた。
前夜は時折強い雨が降ったようだが、目覚めて部屋の窓を開けてみると雲は多いものの青空も覗いていた。
ディーゼルエンジンのアイドリング音が聞こえたのでスマホのカメラを動画に切り替えて部屋の中から列車を撮影した。
普通列車620D
鯵ヶ沢駅始発の上り一番列車で、深浦駅から先は列車番号が322Dに変わる列車だ。
五能線の列車は臨時列車扱いの快速「リゾートしらかみ」以外は上り線では弘前〜東能代間を直通する普通列車は弘前駅を朝出発する快速列車のみ、下り列車においても朝早く東能代駅を出発する普通列車2本だけである。それ以外は主に東能代〜深浦または鯵ヶ沢〜弘前という区間運転の列車がほとんどだ。他に東能代〜能代間の1駅間だけを運転する列車が数本ある。
車両は全てGV-E400系気動車で、JR東日本が新潟•秋田地区で走っていた国鉄型気動車のキハ40系の老朽化に伴う代替車として導入した車両だ。新潟地区の車両とはステンレス車体に貼られているフィルムの色が異なるが、それだけでもずいぶん印象が変わるものだと思う。
列車番号は秋田県内のみを走る東能代〜能代間のみの区間運転列車に100番台、東能代〜岩館間運転列車に200番台、東能代〜深浦間を運転される列車に300番台、東能代〜鯵ヶ沢間を運転される列車は深浦〜鯵ヶ沢間においては600番台に変わる。さらに鯵ヶ沢〜弘前間の区間列車は800番台、東能代〜深浦および弘前直通列車に2000番台が割り当てられている。臨時列車扱いの「リゾートしらかみ」は国鉄時代からの「伝統」である臨時列車に割り当てられる8000番台だ。
宿泊した「水軍の宿」は8時から日帰り入浴客も来るのでその前の空いているうちにゆったりと朝風呂を満喫した。そして帳場で
「朝食の時間までにちょっと行ってこられるようなオススメの散歩コースはありますか?」
と尋ねたら
「海までなら片道10くらいで行けますよ」
と教えてくれたので出かけてみることにした。
旅館の敷地内から出てすぐの跨線橋の上から望む津軽富士•岩木山。標高は1,625mで青森県における最高峰の火山だ。
私の準地元ともいえる信越国境では2,000m級の山々が珍しくないし、少し足を伸ばせば3,000m級の山々ひしめく北アルプスも眺められるから
(それほど高くない山•••)
のはずなのだが、周囲に高い山が無いことや秀麗な山容は「地元富士」に相応しい姿だ。
前日から天気予報通りの雨模様だったが、この朝の時間帯だけは青空も覗いて日差しもあったから津軽地方の象徴である岩木山の美しい姿を眺められたのはよかった。
跨線橋から眺める鯵ヶ沢駅。
こちらは深浦方の陸奥赤石方面。
風呂上がりの火照った顔を撫でる冷気が心地よかった。
道なりに歩いて新設海浜公園へ出た。
この歩行者用の橋を渡ればはまなす公園なのに事前の勉強不足で橋の真ん中で写真を撮っただけで引き返してしたという愚を犯してしまった。
橋の上から眺める岩木山。
遠くに見えるあの山は何という山なのだろう?
白神岳なのだろうか•••?
(※)この記事をご覧いただいてご存知の方がいらっしゃればご教示いただけると有り難いです。
岩木山と違って遠くに見える山なのだが、存在感があって気になるのである。
散歩から戻って部屋で少し転寝をしたところで朝食の時間である。
朝食も美味しかった。夕食もそうだったが、優しい味つけで素材本来の味が美味しく引き出された料理に満足した。
食後は東能代から弘前まで直通運転する普通列車623Dを撮影した。この列車、東能代〜深浦間では321Dを名乗り、鯵ヶ沢〜弘前間では827Dと列車番号が変わる。
チェックアウトは10時、駅への送迎バスは10時5分。少し早めにチェックアウトの手続きを済ませて上り青森発秋田行快速「リゾートしらかみ2号」(青池編成)が鯵ヶ沢駅を発車する様子を撮影。
秋田総合車両センターは国鉄時代の土崎工場と南秋田運転所がJR東日本となってから組織改変を重ねて統合して現在の組織となったもので、旧土崎工場では国鉄時代から多くの車両の全体検査(自動車でいえば車検に相当する最重要検査)や改造などを行っている。
宿に戻って送迎バスに私ひとりだけが乗車した。
見送りに出てきた宿のご主人の温かな津軽訛りとバスが発車して見えなくなるまで深々とお辞儀して見送ってくれた姿が胸に沁みた。
すぐに鯵ヶ沢駅に着いた。あとは東京に戻るだけだが、まだ五能線の旅は続く。
次回に続きます。