通路までギッシリ、というか立錐の余地もない状態で鷹巣駅を発車した単行(←あえてわざわざ書かせていただく)気動車は、『内陸縦貫鉄道』の名の通り、秋田県北部の山あいの中を南下して、終点の角館駅に向けて進んでいきます。
窓のある右側以外は、どこを見ても人、人、人・・・ こんなローカル線でこんな状況になるのはホント運が悪いとは思いますが、車窓に目を向ければ、素晴らしい風景が広がっているのも事実。意識を右側にのみ集中させ、現実逃避しつつしばし車窓を楽しむことにします。
こんな感じの田園風景が続きますが、駅付近を中心に意外と集落も多く、完全な山中というわけではない感じが意外でした。といってもそりゃそうですよね。いくら第三セクターといえど、わざわざ未成線を繋げて全通させるからには、それなりの沿線人口もいなければ話になりません。路線図だけを見ると何もないような先入観に襲われますが、実際に来て目にすれば、その印象が大きく変わることは多々ありますね。
それにしても、途中の小駅からも少しずつながらマラソン参加者と思われる乗車があり、遅れはどんどん増加しています。心配性の私は新幹線に間に合うかどうか気が気でありませんが、こうした場合、保障とかどうなるんだろう? 良くないとはわかってるとはいえ、そんなことまで考えてしまいます。
ていうか、みんなどこまで乗るんだ? まさか終点までとは思いたくはないですが、それが気になります。
旧阿仁合町の中心阿仁合駅では10分停車とのアナウンス。
遅れているのになんて悠長な・・・ とちょっと怒りすら湧いてきましたが、隣の年配女性に声を掛け荷物番をしていただくことにし、駅舎内のトイレへと駆け込みます。
そしてそのついでにちょっと撮影。
混雑にさえ目をつぶれば、紛れもなく素晴らしいローカル線。ホント昨日にしとけばよかったと、つくづく思います。
ただそんなこともあり、隣の女性と少し話をすることができました。そしてランナーたちの下車駅は、比立内駅と判明。ということは、あと残り30分ほどのガマン。ここにきてようやく少し希望が見えました。
多少なりとも気持ちに余裕も出て、こちらは難読駅でもある笑内駅。
察しのいい方であれば見てわかる通り、アイヌ語が語源となっている駅です。昨日の奥羽本線撫牛子駅同様、北東北のこのあたりともなれば、アイヌの影響はそこかしこに残っているようです。
そしてついに念願の比立内駅に到着。
『こんなに乗ってたの?』と思わずにはいられないくらい、ぞろぞろとランナーが降りていきます。
わかりづらいですが、駅を出たところには受付らしきみたいなものもありますね。
身軽になった列車は、数名を乗せて比立内駅を発車。これが本来の姿かと思うと少々寂しくもありますが、BOX席をひとり占領し、ようやく一息つけました。
そしてこれまた朗報。いつの間にか遅れは回復し、ほぼ定刻に戻っていたようです。どんなトリックを使ったかよくわかりませんが、これでおそらく大丈夫でしょう。
終点まではあとおよそ1時間。しっかりと内陸線の旅を楽しみたいと思います。