不老ふ死温泉に宿泊した翌朝はまだ暗いうちに目が覚めた。

 前日までの晴天とは変わってこの日からの天気予報は北陸地方から東北地方の日本海側にかけての天気予報は雨•••。日本海側に位置する青森県の津軽地方も雨の予報だが辺りが明るくなってくる頃にはまだ降っていなかったから内湯で身体をきれいに洗い流してから海辺の岩場にある露天風呂へと向かった。

 こちらの露天風呂は混浴と女性専用とがある。先客には台湾か中国からと思われる男女1組が湯に浸かっていたが、私が来て少しして出ていった。その後は誰も来なかったので貸切気分を味わいながら暫しのあいだ湯に浸かっていた。

 海からの風は強くて冷たかったが湯は温かく心地よかった。


 再び内湯で身体を洗ってから朝食を済ませて11時のチェックアウトまでこ時間をゆっくりと部屋で過ごした。

 このあと指定席を予約していた列車はウェスパ椿山駅を13時17分に発車する秋田発弘前行快速「リゾートしらかみ3号」である。

 かなりの時間があるので天気が良ければタクシーでも手配して青池に行きたかったところだが、既に雨が本降りとなっていたから諦めた。


 チェックアウトの手続きを少し早めに済ませ、ロビーでウェスパ椿山駅までの無料送迎バスの時間を待つ。このままここで過ごすのもつまらないので、バスで駅まで行って駅前の物産館「コロボックル」にでも行ってみようと、腰を上げた。



 駅前に建つ物産館コロボックル


 簡易的な造りのウェスパ椿山駅

 元々何も無いところにできたリゾート施設利用者のための新しい駅だからバリアフリーも一応整っているが、ホームの屋根は小さな簡易的なもので、これでは雨風をしのげそうもない。

 コロボックルでいくらかのお土産品を購入して勤務先や自宅へ発送してもらい、施設内にある休憩できるテーブル席で列車の時間までテレビを眺めて時間を潰した。

 もっと早い時間の「リゾートしらかみ1号」を選んでおけばよかったかもしれないが、個人的な目論見もあってこの時刻の列車にしたのだ(他人から見れば実につまらないことである)。


 列車の時刻が近づいたので駅のホームへ移動したが、細かい雨粒が風で舞い込んで簡易的な屋根の下では雨がかかってしまう。

 新潟県などでは冬の風雪を凌げる防風板が設置されている駅が多いが、利用客が少ない簡易的に設置された駅だからなのかそのようなものは無いし、駅舎も無いからコロボックルが駅舎の役割も果たしているとも言える。

陸奥沢辺•東能代方面


艫作•川部方面



 閉鎖されたリゾート施設のイラストが描かれた駅名標が虚しい•••。今となっては駅名そのものが虚しいのかもしれない。それでも現在でも観光快速列車が停車するのだ。

 しかし、「ウェスパ椿山」が閉鎖されて数年•••もともと何も無かったところに「ウェスパ椿山」のために設置されたような駅だし、このリゾート施設が何らかの形で再生されない限り駅そのものも存続されるのか危ぶまれる。

 もしこの駅が廃止されることにでもなったら「不老ふ死温泉」の最寄駅である艫作駅が再び「リゾートしらかみ」停車駅となるのだろうか?

 東能代方面から弘前行快速「リゾートしらかみ3号」がやってきた。


 JR東日本五能線の看板列車であり観光列車である快速「リゾートしらかみ」は基本的に1日3往復が設定されているが、季節によっては3往復毎日運転される日もあれば冬期(とくにシーズンオフとなる2月)は運転されない日もある。

 下り1•5号上り2•4号秋田〜青森間運転、下り3号上り6号秋田〜弘前間の運転だ。

 基本的に1号で秋田から青森へ下った編成が青森駅で折り返し4号で秋田へ上る。3号で弘前へ下った編成が弘前駅で折り返して6号となって秋田へ上る。下り5号で青森へ下った編成は青森駅到着後に青森泊となり、翌朝の2号で秋田へ上るという運用が組まれている。3編成あるうち

1•4号•••HB-E300系(橅編成)

3•6号•••キハ48形(くまげら編成)

2•5号•••HB-E300系(青池編成)

で運転されるのが基本的なパターンだが、青池編成または橅編成が検査のため運用から外れる場合は3•6号は運転されず、くまげら編成が代走することもある。

 五能線に初めて「リゾートしらかみ」が設定されたのは平成9年(1997年)3月。初代青池編成がキハ48形を改造してデビュー、列車の人気が高く好評だったためその後初代橅編成が同じくキハ48形を改造して登場、さらにくまげら編成もキハ48形を改造して登場した。

 平成22年(2010年)、新型ハイブリッド気動車HB-E300系が4両固定編成で2代目青池編成に充当されたため橅編成くまげら編成に中間車が初代青池編成から組み込まれるなどの変遷を辿った。

 さらに平成28年(2016年)、新たに橅編成も青池編成に続いてHB-E300系が充当されて2代目橅編成として現在に至っている。編成は全てJR東日本秋田総合車両センター所属だ。 

 キハ48形で残るくまげら編成•••長野地区の「リゾートビューふるさと」を皮切りに秋田地区の「リゾートしらかみ青池編成」、青森地区の「リゾートあすなろ」、さらに秋田地区の「リゾートしらかみ橅編成」へと導入が続いたHB-E300系。その後も新潟地区の「海里」にも導入されてJR東日本の観光列車の車両の主役になりつつある。いずれくまげら編成もHB-E300系に置き換えられるのか、それとも新たな車両が開発されて置き換えられるのかわからないが、国鉄時代の古い気動車で残っているのでその動向が気になるところだ。


 車両は古いが、車窓からの展望が「ウリ」である列車だけに側窓部分も大きく改造されているのは乗客にとって嬉しい。国鉄時代の古い車両は当時の日本人の体格に合わせた設計となっているのでシートピッチも狭かったからそれに合わせた窓配置となっていた。

 国鉄から大量の車両を継承して発足したJR各社では車内設備をリニューアルしたり車体のカラーリングを大胆に変更したりしてイメージアップを図っていたが、シートピッチの拡大などにより窓割と座席の配置が合わなくなり眺望の点では座席により差が出てしまう車両もあった。

 この「リゾートしらかみ」用に改造された車両もそうだが、新潟地区の「越乃Shu*Kura」などはその点も考慮した大胆に手を加えた改造となっているのが乗客にとって好ましい。JR西日本の山陰本線を走る観光快速列車「あめつち」などはせっかく車内を「神話の国」を走る列車として相応しい改造を施しているのに窓割は種車のままで、ほとんどの座席で眺望が遮らられてしまっているのは残念だ。


 乗車するのは先頭の1号車だが雨が降っていたので簡素なホーム屋根がある位置(4号車)で乗車して車内を1号車まで歩く。



※以下はウェスパ椿山駅〜深浦駅間をゆく列車の動画です。お時間があったら既にアップしている記事の「青池編成」のHB-E300系とは違う国鉄型気動車の「正真正銘のディーゼルエンジンの音」をお楽しみください。











 トンネル内で車両が急停止。一瞬(熊か鹿でもトンネル内に入り込んだのか?)と思ったが、車内放送で「機器の確認を行っている」旨の説明。10枚目の動画で車内放送の「深浦の次は千畳敷に停車」の部分で異音とともにエアーが抜けるような排気音が聞こえるが、空気圧か何か急激に下がったりしたような異常でも起きたのか?


 次回に続きます。












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