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鉄道運転士のねむねむ日記⑥/1月1日に1回だけ見た僕の中の芸能人「サーファー運転士」
#サーファー ってかっこよい。
波に乗っている時はもちろん、板の上で波に乗れる場所までパドリングしている時や波を待っている時、その待っている時に太陽に照らされて近くのサーファーと話をしている何気ない仕草もかっこよい。
僕のサーファーへの思いはこんなものだ。
しかし、そのかっこよいサーファーみたいな運転士がいると聞いたのは同期の運転士と話をしている時だった。
その #サーファー運転士 は、 #キムタク みたいに #ロン毛 で肌は黒くて顔も男前だと言う。
ただ、身長は170あるかないか位なのが残念ではあるが、あれは絶対に遊んでいる。
そんな話題になっていた。
そして、僕はサーファー運転士に会いたいな〜と思うようになっていた。
一種の洗脳なのかもしれない(笑)
そして、その後も他の同期から「サーファー運転士と引き継ぎをした」という話をちょくちょく聞くようになった。
すると、同期ということもあり、嘘か真か「引き継ぎの時ガムを噛んでいた」「帽子が宇宙戦艦みたいに横が潰れていた」「髪の毛の色がもう茶色ではなく金髪になっていた」などと話がどんどん膨らんでいった。
しかし、そんなサーファー運転士と僕は引き継ぎはもちろん、休憩所や乗務員宿泊所(乗泊)でもあったことがなかった。
金髪なのか?本当にガムを噛んでいるのか?などなど興味はどんどん膨らんでいった。
ちなみに、この頃の会社は従業員に対してとても厳しく、乗務停止などは普通にあったし、今で言えばパワハラなんてことも指導の一貫として行われいた。
尼崎の脱線事故で日勤教育が一躍有名になったが、あのようなことに似ている教育制度は僕の会社でもあったので、サーファー運転士はそんな教育制度さえも気にしないかっこよい存在なのだ!!
ただ、このサーファー運転士は区所が違い支社も違うという点と、噂では組合活動を積極的に行っているから見逃されているのではないかという噂も聞いていたので真実はどうなのかなんとも言えない。
さて、とある年末年始の日。
僕の仕事は1月1日0:00出勤だった。
0:30に入線してくる折返し列車に乗り、途中の引き継ぎの駅まで運転して30分休憩して同じ路線を運転してを2往復して合計4本の列車に乗務するという感じ。
俗に言われる「終夜臨」とよばれている年末年始にだけ走る臨時列車担当。
コロナのおかげといっては何だが最近は終夜臨も少なくなり、今の人はいいな〜と思うここ数年だが・・・。
ちなみに、23:55出勤の同期がいたのだが、この同期は2日にまたがるから泊まり勤務扱いの反面、僕は0:00出勤なので日勤扱いということ。
なんだか損をした気分のまま出勤した。
0:00出勤と言っても、1時間前くらいには出勤しているし、0:00に出勤をしていたら良いのであり0:00にすることは特に何もなく、同じく終夜臨担当の同僚と休憩所でテレビを見ながら0:00になった瞬間に「あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします」という挨拶を交わした。
そして、0:12に乗務点呼を受けて担当列車に乗務をした。
と、随分と終夜臨についての話が長くなったが、サーファー運転士とは2往復目の途中の駅の3本目の列車での引継時に初めて会った。
基本的に運転士はブレーキ操作が命と言っても良いくらいなので、ブレーキ中に引き継ぎをする運転士のことなど目に入らないのが普通なのだが、この時は違った。
もう芸能人のようなオーラが滲み出ていたのだ。
うっかりと停車位置目標を見失いかけた位だ。
正月の仕事で日勤扱いだしなんだかな〜という気分は一瞬で吹き飛び、心のなかでは「うわ〜サーファー運転士や〜ん」とテンションは非常に高くなった。
なお、時刻は夜中の3:30位で一番眠い時間だったが一瞬で目が覚めたのは言うまでもない。
ブレーキ操作をしながらも、少しでもサーファー運転士を見ようと必死になりながらも所定停止位置に止まることが出来た。
そして、降車の準備をし降りようとサーファー運転士を車内から見ると、口が動いていた。
そうガムを本当に噛んでいるのだ。
本当だったんだ!!!
「区長とか指導係長に怒られへんのかな〜?」とか思いながらも、すげーの一言に尽きる。
と、さらにテンションは上がり引き継ぎ時に「〇〇(列車番号)変わりなしです」というと、「お疲れ様です」と言われ乗車していった。
この一瞬さえも逃さないようにじっくりとサーファー運転士を見ると、やっぱり髪の色は茶色というよりも金髪に近かった。
そして、何よりも驚いたのは芸能人のようにとても「良い匂い」がしたのだった。
運転士で香水をつけているなんて衝撃だった。
そんな事を思っていた時には、すでにサーファー運転士は乗車してドアも閉まり車内で着々と乗務の準備をしている。
もちろん、ガムを噛みながら。
すると、一番前の扉から乗ろうとして並んでいたカップルのお客さんの彼氏が一言こういった。
「今これに乗っているのはサーファー運転士やな(笑)」
笑いながら言っていた等これはあくまでも僕の勝手な推測だが、おそらく「サーファー運転士」はお客の間でも有名な訳ではないと思う。
その彼氏が一瞬その風貌を見てあだ名として「サーファー運転士」と名付けただけだと思う。
それを笑ったんだとは思う。
ただ、僕は思った。
「そうだよ。あれが僕の会いたかったサーファー運転士なんだよ。君が羨ましいよ。年明けにサーファー運転士を見れて!!ま〜僕もこれで同期に自慢できるぜ!」
しかし、この帰りの4本目の列車は本当に眠かった。
ずっと立って運転しても、1回膝から崩れ落ちそうになったくらいですから(笑)
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