みなさんこんにちは。前回からの続きです。

今年6月に限定で発売された「近鉄全線2日間フリーきっぷ」で巡った、近鉄沿線乗り鉄道中記をお送りしています。



ここは「近鉄奈良駅」。旅の第2日目(2023年6月14日)も佳境に入って参りました。

念願だった「観光特急 あをによし」の指定を幸いに取ることが出来て、ここからは京都へ向かおうかというところ。


発車時刻の13時50分まであまりないのですが、時間が許す限り車両を観察してみたいと思います。引き続き、わくわくしながらです(^o^)



前回、このピカピカの「あをによし」がまるきりの新造車両ではない…ということを述べましたが、もとになっているのはこの「12200系」という特急専用車両。今日は、これについて項を進めて参ります。画像は粗く申し訳です。




「12000系」という先行の形式に引き続いて、軽食を提供する「スナックコーナー」が車内に設けられていたことから「新スナックカー」という愛称で、長年にわたり親しまれた近鉄特急を代表する車両でした。大阪上本町ほかにて。


以下、2020(令和2)年1月撮影。



「濃紺とオレンジ」という近鉄特急のシンボルとなるイメージカラーをまとっていましたが、新塗装に変わる車両が増える中、これを最後まで使用していたのは「12200系」でした。


大量に製造され、あちこちで見かけた車両ですので、大阪、それも沿線に住む者としては、実に思い出深い車両です。



ところで「スナックカー」といいますと、大変な名誉に浴した車両としても知られています。


昨秋に逝去された、イギリス・エリザベス女王。夫君のフィリップ殿下と一度だけ来日された1975(昭和50)年5月、京都から伊勢に向かわれた際、最新型の形式だったこの「新スナックカー」に乗られたといいます。出典①。


座席など、車内の設えが変わっているのがわかります。女王陛下ご夫妻を乗せたのは、竣工したばかりの「新スナックカー」の4両1編成、だというのですが…出典②。



改造されたのは(中略)落成直後の1975年にエリザベス2世・エディンバラ公夫妻や昭和天皇・香淳皇后が乗車した、4両編成の12256F(モ12256-サ12156-モ12056-ク12356)である。編成単位でこの観光特急「あをによし」専用車に改造され、形式は19200系に変更された。改造後はモ19201 - サ19351 - モ19251 - ク19301の編成を組む。出典③。




というのです。「あをによし」は女王陛下ご夫妻、さらに昭和天皇・香淳皇后のご乗用に供された編成だった…これには驚きました。

ただ、ロイヤルファミリーや皇族方が利用されたという名誉な経歴(お墨付き?)ですから、このような高貴な設えに生まれ変わったことには、なるほどと納得が行きます。2号車「サロン席」を望む。窓のすんごい大きさ!




このように、大きく生まれ変わった「あをによし」ですが、側面の方向幕は「12200系」のまま。種別表記がなく、あたかもわたしは特急です!と主張しているかのような、独特なもの。

いや、とても奥が深いものだなと感じます。
まだ、車内にも入っていませんが(苦笑)


余談ですが「12200系」は標準軌の全線で運用が出来、乗り心地の良い元特急車両ということで使い勝手が良いためか、これとは別に、やはり大改造されて活躍を続けるものがあります。



こちらは「五位堂検修車庫(奈良県香芝市)」。毎年、秋の人気鉄道イベント「きんてつ鉄道まつり2023」を訪問した先月のこと。

毎回、いちばんの目玉というのが、年ごとに異なる車両展示。目移りしそうなんですが(泣)



その中に「かぎろひ」と名付けられた車両が並んでいました。

これも「元12200系」。2両1編成を改造するに当たり「15200系」と形式があらためられた、団体専用列車として2011(平成23)年1月に登場しました。


変わっているのは「かぎろひ」は、同じ近鉄グループ「近畿日本ツーリスト」のブランド「クラブツーリズム」専用列車だということです。

伊勢志摩に奈良、京都と、沿線各地に人気観光地を有する近鉄ならではと言うのでしょうか、同社が主催するツアーの行程で使用されるもの。噂では車内にビールサーバーがついているらしく、気になって仕方がありません(苦笑)


「12200」系が定期運用から離脱したのは2021(令和3)年1月のこと。しかし、この塗り分けも早や、懐かしいものに感じられます。


次回に続きます。
今日はこんなところです。

(出典①「読売大阪夕刊」2022(令和4)年9月9日付け 7面)

(出典②「朝日大阪朝刊」2022(令和4)年9月10日付け 30面)

(出典③「フリー百科事典Wikipedia#近鉄12200系_19200系」)