森へ行こう!

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大阪地下鉄の中吊り広告に「オフは森で過ごそう!」というのがあった。
それに大脳が賛同し、天下茶屋から南海本線の急行に乗り換えた。2016年5月。森は水間鉄道の途中駅である。
貝塚での接続は普通に歩けば水間の電車はタッチの差で逃げてしまうタイミング。あえて急がないのは、このタイミングでトイレを済ませておきたかったから。森にはそういう場所は無かったように思うから。

次はキップ。大小不揃いな券売機が墓石のように並んでいる。小さいほうで、食券のようなキップを買う。
しばらくすると「かくれんぼ」の子供が顔を出すように、木陰から電車が現れた。東急の中古車である。
折り返しの運転士が車内を捜索している。忘れ物か?それにしても入念だ。
若い駅員も応援に加わる。手にはタオル。蜂が出たのだそうだ。タオルで包囲するのだろう。
しかし、いない。逃げたに違いない。それでも運転士はあきらめきれない様子。検事のようだ。
発車の時間が来た。クイーンというモーター音。

森は以前と同じく、畑と民家と寺があって、5月の風に木立が揺れていた。
クラブ活動帰りの生徒のざわめきを電車が拾ってゆく。蜂がまぎれても、そのざわめきで逃げてしまうだろう。