日本の鉄道150年記念として企画するも、もう初投稿から1年も過ぎてしまった『特急にっぽん縦断』。
今回からは四国篇を数回に分けて紹介させて頂きます。相変わらず遅筆過ぎて「じれったいゾ!!」とお叱りの言葉を受けそうで申し訳ありませんが、最後までお読み頂ければ幸いです。
それでは、続きをどうぞ。
『青い国・四国へ!』
第14ランナー
瀬戸大橋線 31D 南風1号(高知行)
岡山 7:08→宇多津 7:41
・乗車距離:45.9㎞ ・表定速度:83.5㎞/h
編成表:高知←①(G/指)2806 ②(指/自)2763 ☆③(自)2709→岡山(四コチ 2700系)
◆『バースデーきっぷ』を買いに、まずは宇多津へ。
ついに旅も4日目に突入、相変わらず猛暑は続く。
ここからは、『稚内→枕崎』の旅を一旦中断して四国篇の旅となる。ホテルの朝食もそこそこに岡山駅西口へ向かった。
四国篇のトップランナーとなるのが、岡山駅を出る四国行特急として始発となる南風1号だ。『特急にっぽん縦断』のセオリー通り、快速マリンライナーは使わず素直に特急に乗って四国の入口である宇多津駅まで向かおう。勿論乗車券+自由席特急券を別途購入しての乗車だ。
南風号は2021年3月のダイヤ改正から全て新型振り子式気動車2700系に置き換わった。ご存知の通り、当初は空気バネ式車体傾斜方式を採用した2600系への置き換えが想定されていたが、エアサスへ空気を送り込むエアタンクの容量が足りない事が判明、2000系と同じ制御付き自然振り子式の2700系を導入するに至った。
2700系のフォルムは、ベースとなった2600系に類似しているが、振り子式という事で車体の絞り込みが異なっているのが特徴である。両形式共々、貫通型を採用した特急型車両としてはトップレベルのカッコ良さだと私は思う。
しおかぜ号共々、四国特急の元祖である南風号は2022年で運行開始から50周年を迎えた。新幹線岡山開業に合わせて誕生した両特急だが、瀬戸大橋の開業など輸送体系の変化により、いずれも当初の運転区間と現在の運転区間は異なっている。現在の南風号は車両世代としては4代目(181系→185系→2000系→2700系)にあたる。
私が6番ホームへ赴いた時は既に南風1号の車両は入線しており、それなりに乗客が埋まっていた。3号車の窓側席に空席はなく、通路側に相席で座らせてもらう。
本州最後の児島駅。ここで4Mしおかぜ4号と離合する。
この8000系電車、ミニ新幹線並みの流線形フォルムは今でも色褪せないカッコ良さだ。車齢30年を超えながらも、再々リニューアルを施して今後も活躍するとの事。
そして瀬戸大橋を渡るが、騒音問題のため橋上は速度制限がされており、スピードアップの足かせともなっている。
四国最初の宇多津駅で下車。
ここで7分停車し、高松駅からの2003Dしまんと3号と併結するため、貫通扉が開け放たれ準備が行われている。

宇多津駅での滞在時間はわずか12分。次に乗る高松行のモーニングEXP高松に間に合わせるべく、JR四国のトクトクきっぷ『バースデーきっぷ』をみどりの窓口で買おう。
何とか切符購入を果たし、モーニングEXP高松が発着する4番線ホームへ上がる。
先程乗ってきた南風1号は、高松からのしまんと3号を併結して高知へと向かって行った。
『四国中心都市への通勤特急』
第15ランナー
予讃線 1092M モーニングEXP高松(伊予西条発)
宇多津 7:53→高松 8:11
・乗車距離:25.9㎞ ・表定速度:86.3㎞/h
編成表:伊予西条←①(G/指)8006 ②(自)8106 ③(自)8156 ④(自)8306 ☆⑤(自)8406→高松(四マツ 8000系L6編成)
◆竜頭蛇尾ならぬ蛇頭竜尾!?
4番線ホームには、貫通型先頭車の8400形を先頭にモーニングEXP高松が入線してきた。
8000系の松山方先頭車は先述の通りミニ新幹線風の流線形フォルムでスタイリッシュだが、高松・岡山方先頭車は2000系気動車に類似する貫通型フォルム。コストダウンのためかヘッドマークもなく、2000系と較べるとノッペリして締まりのない表情というのは否めない。
今回は自由席先頭車5号車に乗車。通勤時間帯だが、窓側席を余裕で確保できた。
5号車は基本的に自由席用車両なので、指定席用車両とは異なりリニューアルはされていない。
◆おトクな乗り放題切符
さて…コチラが四国篇で使用する3日間乗り放題乗車券『バースデーきっぷ』。
JR四国のみならず、3セク鉄道である土佐くろしお鉄道にも乗れるまさに『神切符』である。普通車用とグリーン車用の2種類があるが、四国の特急列車は自由席主体という事もあり、今回は自由席用(¥9680)を購入した。JR北海道で以前売られていた『HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス』のお買い得さにはかなわないが、1万円を切る価格で四国島内3日間乗り放題というのもなかなかおトク感がある。
讃岐平野にそびえるポコッとした山を見ると、四国へ来たという実感がわく。
やがて高松市内に入り、上下線が大きく分かれると四国最大の車両基地である高松運転所が見える。
四国最大のターミナル、終着・高松駅に到着。
官公庁や大手企業の出先機関が多い高松市へ通勤する乗客が多数下車してゆく。皆、特急定期券『快てーき』の利用客であろう。

かつて駅構内にあった『連絡船うどん』は再開発ビル建設のため閉店、またJR四国の関連企業が運営していたパン屋『ウィリーウインキー』も撤退している。
以前琴平延長運転のサンライズ瀬戸に乗車した際、停車中に連絡船うどんを朝食として食べ、昼食用にウィリーウインキーのパンを買った事も遠い思い出になってしまった。
『高徳線を完走するミニミニ特急』
第16ランナー
高徳線 3005D うずしお5号
高松 8:24→徳島 9:36
・乗車距離:74.5㎞ ・表定速度:62.1㎞/h
編成表:徳島←①(指/自)2756 ☆②(自)2715→高松(四カマ 2700系)
◆2両編成特急の『元祖』
国鉄時代は、特急列車はある程度編成長のある列車であった。1976年に485系4両編成の『みどり』が最短編成として話題になったのも束の間、10年後の国鉄末期になるとフリークエンシー向上のために短編成特急が乱発されるようになる。それでも最短は『有明』などの485系3両だった。
しかしJRに入るとさらに短い2両編成の特急が誕生する。それがこの『うずしお』であった。急行列車に代わる列車として当時はキハ185系が充当。短編成を前提に設計された車両だからできた事であった。後にN2000系に代わり、現在では2600系or2700系(そしてキハ185系も)が使用されている。その大部分が2両編成での運転だ。
さて、高松駅3番線には徳島からの3003Dうずしお3号が到着。この車両の一部が、折返し8:24発のうずしお5号となる。
うずしお3号はモーニングEXP高松同様、通勤客利用が多いためかうずしお号としては最長の5両編成だ。そのうち徳島寄り3両を回送車として切り離し、残りの2両が今回乗車するうずしお5号となるワケだ。
うずしお5号2号車自由席の車内。乗客は用務客が中心で、それもあまり多くない。
高松の市街地を見ながら、高徳線を徳島へ向かう。
私、同線は都合2回乗車しているが、いずれも夜間だったため、昼間の乗車は今回が初めてなのだった。
屋島駅にてキハ40・47形3連の普通314D(引田発高松行)と交換。
オリジナル機関を維持している四国のキハ40系も公募調達にて新車へ置き換えされる事が決まった。私もいずれ乗りに行きたいのだが…。
高徳線もいちおう瀬戸内海を眺められる区間がある。まさに『青い国・四国』を実感できる車窓だ。
3分停車の三本松駅にて2700系3連のうずしお6号と交換。
さて…所により見えていた瀬戸内海も、讃岐相生駅(通過)付近でお別れとなる。
列車はこの後徳島県に入る。
鳴門線が分岐する池谷駅に到着。
当駅は鳴門線と高徳線の間に駅舎が挟まれる形で建っているユニークな構造だ。
旧吉野川、そして四国一の大河・吉野川を渡ると、終着徳島はもうすぐだ。
高徳線や牟岐線、鳴門線で活躍する車両が配置されている徳島運転所を見ながら徳島駅3番線に到着。高徳線の旅が終わった。
次の第17ランナーは12:00発の阿波池田行特急剣山5号だが、ちょうどいい時間つぶしとして私にとっての未乗区間である鳴門線を往復乗車してこよう。

番外ランナー
鳴門線 普通 4958D~4963D(往復)
徳島 9:50→鳴門 10:40/11:03→徳島11:49
☆四トク 1500形1512(単行)
私にとって徳島駅は今回が3度目の訪問だが、牟岐線は完乗したものの鳴門線はまだ未乗のままだった。四国篇はJR四国の未乗区間を埋める旅も兼ねているため、『特急にっぽん縦断』の趣旨からは少々離れる事をご了承願いたい。
今回乗車するのは最新型一般形気動車の1500形単行で、残念ながらキハ40系には乗れなかったがまたの機会という事で…。
駅裏手に広がる徳島運転所の側線には、徳島エリアで活躍する気動車群が憩う。
キハ40系の他に1500形、特急むろと用のキハ185系、そして先程乗ってきたうずしお5号だった2700系も。
徳島駅を9:50に発車後、次の佐古駅で徳島線が分岐する。
この間は高架区間となっている。
再び吉野川を渡る。写真は上流側を見たところ。
勝瑞駅にて3007Dうずしお7号と交換する。うずしお5号とはわずか40分程度しか運転間隔が離れていない。
背後にそびえる建物は、徳島が生んだ世界的LEDメーカーの日亜化学工業の工場だ。
鳴門線の起点である池谷駅に到着。
ここでも上下列車の交換があり、7分停車する。
停車時間内に、ユニークな池谷駅の構内を跨線橋から撮影。
1枚目写真の左側が高徳線、右側が鳴門線で、双方とも2面2線のホームがある。
交換列車である鳴門線4961Dが到着。再び乗り込む事としよう。
1500形は製造時期によって小変化があるのが特徴だが、4961Dはトップナンバーの1501。同車の方向幕がない事に注目。
鳴門線は田園と住宅地が広がる中を走る、これといって特徴のないローカル線。
教会前という駅名は、キリスト教ではなく天理教の教会の意味で、鳴門線の前身である阿波電気軌道(非電化)として開業した当初は、その名もズバリ天理教前という駅名だった。
終着・鳴門駅に到着。もうこの先レールは続かない。

車両はそのまま折返し徳島行4963Dとなる。
鳴門駅は有人駅で切符売場の窓口もあるが、指定券は『みどりの券売機』で購入する必要がある。
鳴門駅舎と駅前風景。
鳴門市の玄関口らしい賑わいは見られない。
それでは、折返し4963Dに乗って徳島駅へ戻ろう。
帰路の行程は省略するが、1500形の車内を紹介しよう。転換クロスを中心としたオールクロスシートで、ローカル線の気動車としては快適な接客設備なのが好ましい。
『最後の国鉄型特急気動車』
第17ランナー
徳島線 4005D 剣山5号
徳島 12:00→阿波池田 13:17
・乗車距離:74.0㎞ ・表定速度 57.7㎞/h
編成表:徳島←☆①(指/自)キハ185-24 ②(指・アンパンマンカー)キロハ186-2 ③(自)キハ185-13→阿波池田(四カマ キハ185系)
◆ゆうゆうアンパンマンカーも連結
徳島駅では11分で剣山5号に接続する。夏休み期間中という事で、この日は中間に『ゆうゆうアンパンマンカー』を連結した3両編成、ヘッドマークもアンパンマンの絵柄が入った特別仕様だ。
『ゆうゆうアンパンマンカー』の②号車は、キロハ186形として唯一現存する-2。他の車両はJR九州へ譲渡、または観光列車用としてキロ186形に改造され、トップナンバーの-1は廃車解体されている。
旧『ハ』室の区画はプレイルームに改装され、子供たちの遊び場となっており、『ロ』室についてはグリーン車時代そのままの座席(モケット張替え)で普通車指定席扱いとなっている。この日の②号車乗客は平日にも関わらず親子連れの乗客が多かった。
さて…今回乗車の剣山5号は、3両中2両(②③号車)が国鉄時代製造の貴重な存在だ。
1992年に2000系の大量増備に伴い、キハ185系のうち国鉄時代製造車のほとんどがJR九州に譲渡されたため、四国に残る国鉄時代製造車はわずかとなっている。
写真のキハ185-13は、一旦普通列車用の3000番台として転用された後、特急用に戻されたという経緯を持つ。但し車内は8000系電車から転用されたシートが並び、オリジナルのR55シートではない。
私が乗車したのは、①号車一部自由席車。
JR化後の1988年製造だが、シートはオリジナルのR55タイプ(但し背もたれは改造されている)で原形に近いといえようか。座り心地もなかなか悪くない。
キハ185-24のトイレ。オリジナルから大幅にリニューアルされ、便器は洋式化されている。
対して洗面所は原形に近く(キハ183系500番台車と同様)、使いづらい横にひねる水栓がそのまま残っている。
JR車ではあるが、国鉄時代そのままの『くずもの入れ』も健在だ。
さて私は、出発前に昼食を買い込むヒマがなかったため、非常食として常備していた地元徳島が誇る大塚製薬の『カロリーメイト』と缶コーヒーBOSSカフェオレで腹ごしらえをする羽目になった。
◆吉野川とともに
阿波川島駅にて4006D剣山6号と交換する。コチラは通常のHMだ。
毎年受験シーズンに5枚セットの硬券入場券が売り出され(四国の主要駅にて発売)、その語呂合わせ『ご入学』で有名な隣の学駅は通過してしまう。
徳島線はほぼ全線にわたって吉野川の流れと並行するが、本格的に川の流れを眺められるのは川田駅付近からである。
徳島線のほぼ中間地点にある穴吹駅。
名所案内には剣山と記載されているが、バスで2時間半!あまりに遠い。四国一の山岳である剣山から取った愛称名の特急剣山(残念ながら車窓からは見えない)だが、ここは急行列車時代と同様『よしの川』を踏襲したほうが相応しかったと思うのは私だけだろうか。
その後も吉野川の流れに沿って進む。徳島線は『よしの川ブルーライン』という愛称名が付けられているが、その名の通りの清流だ。今回旅行したのはちょうど渇水期ではあったが…。
さて…列車は土讃線の合流点となる佃駅を通過。終着駅まであと1駅だ。
かつての甲子園の強豪・池田高校で有名な終着・阿波池田駅に到着。
ここから土讃線の旅となり、高知、そして宿毛へと向かうのだが、文字数制限のため1日目の内容を全て収録できなかったため、その残りは次回以降に紹介させて頂く。ご了承頂きたい。
つづく