2021年度数値や、新幹線駅設置の背景等を見てみました
筆者は判官贔屓なので、乗降客が多く賑わっている華やかな駅よりも、ひっそりとした孤独な駅の方が気になります。
新幹線駅も同じです。
関東の一例で言えば北陸新幹線の安中榛名、上越新幹線の上毛高原の両駅です。
東海道新幹線は、かつては岐阜羽島が思い浮かびましたが、今は数字上では三河安城です。
利用が少ないのはなぜか、どのような背景で駅ができたかが気になってきます。
そうした駅の数も意外に多いので、今回はひとまず、新幹線各駅の2021年度乗降客数データをもとに、乗降客数の少ない駅を中心に見てみました。
一部、在来線の乗降人員と合算している場合があります。
JR東日本の駅については2021年度の「乗車」人員数です。
以下の数値単位は「人」です。
◆ 東北・北海道新幹線
白石蔵王:595
くりこま高原:670
水沢江刺:566
北上:834
新花巻:369
いわて沼宮内:38
二戸:539
七戸十和田:418
奥津軽いまべつ:40
木古内:50
新函館北斗:732
上毛高原:415
浦佐:465
燕三条:845
安中榛名:177
飯山:361
糸魚川:592
黒部宇奈月温泉:678
◆ 九州新幹線
筑後船小屋:882
新大牟田:364
新玉名:287
新水俣:344
三河安城:1,633
岐阜羽島:2,645
新尾道:1,304
東広島:1,574
新岩国:1,006
乗降の少ない駅は
2桁数字の駅は、いわて沼宮内38、奥津軽いまべつ40、木古内50の3駅でした。
3桁数値であっても、安中榛名は177で下位から4番目です。
続いて新玉名287、新水俣344、飯山361、新大牟田364の順となります。
ただしJR東日本の駅の数値は「乗降」人員でなく、「乗車」人員の点に留意が必要です。
利用の少ない駅でも新幹線駅ができた背景を見る
◆ いわて沼宮内駅
同じいわて沼宮内でも、在来線のIGRいわて銀河鉄道の乗降客数は724人となっています。
いわて沼宮内の新幹線駅併設は、1988年当時、盛岡-いわて沼宮内と八戸-青森はミニ新幹線、いわて沼宮内-八戸ハフル規格の新幹線とされ、高架ホームの盛岡から地上の在来線を走行し、いわて沼宮内で再び新幹線を走る計画だったため、ミニ新幹線とフル規格新幹線との接点だった経過によるものです。
ミニ新幹線またはスーパー特急計画と、フル規格新幹線との接点、連絡線としての駅としては、九州新幹線の筑後船小屋駅もいわて沼宮内と類似しています。
奥津軽いまべつと木古内の場合は、約54kmの青函トンネルを管理する上で、また緊急時の避難拠点の意義によるものです。
安中榛名駅は当初、北陸新幹線高崎-軽井沢建設に関して地元の群馬県等の沿線自治体が地方負担分の拠出について、群馬県内での駅設置を要件とした経過があります。
JR東日本では全601区画の大規模宅地分譲地を開発しました。
上毛高原駅の設置には諸説ありますが、高崎-越後湯沢における最速ルート、トンネル建設の難工事、迂回等で地形、線形、勾配、トンネルなど様々な理由が絡み、上越線後閑駅から約2km離れた新幹線の位置にされたようです。
列車本数は
列車本数で見ると、奥津軽いまべつの7往復がもっとも少なく、いわて沼宮内と木古内の8往復が続きます。
その次は安中榛名、二戸、七戸十和田の各12往復、飯山の12.5往復の順です。
下りの新函館北斗行きは6:48、8:12、10:07、14:15、17:01、18:58、20:58です。
上りの新青森方面行きは7:26、10:22、13:35、15:35、19:27、21:30、22:44です。
まばらでランダムなダイヤで、最大4時間近く運転間隔が開く時間帯があります。
ちなみに、同駅に近い在来線である津軽線蟹田駅発青森行きは9往復です。
もう一つ、東京からもっとの至近距離で乗車人員の少ない北陸新幹線の安中榛名駅の時刻を見てみます。
下り、軽井沢・長野方面は、」7:54、8:30、10:51、13:09、15:09、16:57、18:34、19:41、20:28、21:34、22:29、23:08です。
上りの高崎、東京方面は、6:55、7:28、8:05、9:08、10:11、12:11、14:07、16:07、17:07、17:52、19:51、21:59です。
東京への通勤時間を考慮した時刻と感じますが、北陸新幹線「あさま」でも通過する列車があります。
新幹線列車の停車と車移動の日常化との関連
東北新幹線のいわて沼宮内発着列車は8往復ですが、在来線のIGRいわて銀河鉄道の盛岡方面は25本あります。
このダイヤでは、仙台、東京方面へ行く場合、在来線で盛岡まで乗って盛岡から「はやぶさ」「やまびこ」が自然であり、いわて沼宮内から「はやぶさ」の人はほとんどいないのも自然なことです。
こうして見ると、車でなく列車を選ぶ一つの要件として、最低限でも毎時1往復、発車時間が毎時同一時分であれば覚えやすく、行動を列車に合わせることはできます。
しかしながら車を運転する人は、いかに列車本数が多くとも、玄関から玄関のドアツードアの利便性、列車の時間による拘束や立席との無縁さ、列車での乗り換えの無縁、相手方との合流時間との兼ね合い、荷物、道路渋滞、迂回路、駐車場状況、同乗人数、冷暖房、人数分の列車費用等、数多くの要件を総合的に勘案しつつも、車の魅力には勝てないのが状況です。
結果として、せっかく車があるなら乗らなければもったいないということで、全区間車のケースが多いのは鉄道にとって辛いところです。
鉄道は、車のことはさておき、列車の良さや強みで誘発していく道を行く中で、どんな手立てが有効かを筆者も模索していきたいと思います。
(※記載にあたり、統計情報リサーチ、JR東日本の2021年度新幹線駅別乗車人員等を参考にさせていただきました。)