今回は通常の乗り鉄記事です。
北海道新幹線の札幌開業と共に経営分離、そして新函館北斗~長万部の旅客営業廃止が取り沙汰されている函館本線ですが、今回は函館~長万部で運用されているキハ40形の普通列車に乗ってきた事を紹介します。
函館運転所には旭川からキハ150形0番台が既に転属しており、キハ40形を全て置き換えるのでは…?と噂されており、内浦湾沿いを走る同車(2023年秋の乗り放題パスのポスターの図柄にも採用)もいよいよ見納めになるかも?
そんなワケで9月某日…私は札幌駅から10D北斗10号に乗って長万部駅(13:17着)へやって参りました。13:37発の函館行2842D(砂原廻り)に乗るためです。
尚、乗車券は北海道フリーパス使用です。
3番ホームには北斗10号到着時点でまだ2842Dの車両は入線していませんでしたが、発車約15分位前に入線。この時点で3人の旅人が待っていました。
2842Dはキハ40 1704(函ハコ)の単行。この車両はキハ40形のワンマン化車700番台改造の第1陣として登場した車両で、長らく苫小牧運転所に配置されて石勝線や室蘭本線で活躍していました。函館に転属後も区所表記は札トマのままとなっています。おそらく廃車まで書き換えられる事はないのでしょう…。

キハ40 1704は元々キハ40形100番台でも後期車の240として1981年に富士重工業(現・SUBARU)で製造、当時の室蘭機関区に新製配置、同区が廃止後は苫小牧に転属、ワンマン化や更新改造を経て、2021年に室蘭本線の普通列車がH100形に置き換えられた事で函館運転所に転属した個体です。

函館のキハ40は2021年ダイヤ改正以降、道南いさりび鉄道の車両と共にサボが廃止されており、方向幕ですら「ワンマン」だけなので外見で行先を知る事はできません。
4番線に停車中の函館本線山線区間倶知安行2943D(13:29発)と並びます。

車内は一般的な4人掛けBOX席が並ぶセミクロスシート。函館の一部車両には片側を2人掛けBOX席に改造された車両も存在します。
長万部駅から乗り込んだのはだいたい10人程度…。ほとんどが乗り鉄です。乗車日当日はまだ気温が高かった事もあり、窓を少し開けて涼しい風を浴びながらの旅となりました。残念ながらもうその体験を味わう事もできなくなってしまうのか…?

ここからは各停車駅を紹介します。
最初の停車駅・中ノ沢駅。当駅は来年3月のダイヤ改正で廃駅となる事が決まっています。当然、乗降客はおらず。当駅の廃駅に伴い、函館本線及びJR函館支社管内から車掌車改造の駅舎も消え去る事となりそうです。

国鉄分割民営化直前に廃線となった瀬棚線が分岐していた国縫駅。
なんと、かつてのジャンクション駅にも関わらずJR北海道管内の廃駅検討リスト42駅の1つに挙げられており、この事については意外に感じました。大きな駅舎がかつての栄華を物語っているようです…。

黒岩駅も、廃駅検討のリストアップに入っています。駅前には郵便局もあるまとまった集落ではあるのですが…。

車窓からは内浦湾(噴火湾)が見えてきました。対岸には駒ヶ岳がうっすらと…。

木造駅舎が残る山崎駅。ここも廃駅検討42駅の1つです。
もしも長万部~八雲の中間4駅が全て廃駅になってしまえば、31.2kmというとてつもなく長い駅間距離となるのです(国縫と山崎は退避設備があるので信号場としては残る)。
ここまでの各駅はいずれも乗降ゼロ。

八雲町の中心・八雲駅に到着。
ここから乗客の流れに変化があり、地元客が10名程乗り込みます。

日本最北の関所があった事に因む和風駅舎の山越駅。コチラもなんと廃駅対象リストに挙がっておりますが、八雲から乗ってきたご婦人が降りていきました。時々当駅を利用しているのでしょうか。
ここでちょうど長万部行の823Dと離合します。


野田生駅。コチラはある程度利用客がいるためか、廃駅対象リストからは外れています。

『秋の乗り放題パス』のポスターの図柄にもなった、内浦湾沿いの海岸線沿いを走ります。

比較的大きな集落がある落部駅。
コチラでも八雲からの乗客が数名降りていきました。

再び内浦湾沿いに出て、対岸の駒ヶ岳がどんどん近づいてきました。

そして石倉駅に到着。乗降客はナシ。集落の中心は当駅の函館寄りにあった本石倉駅付近だったのですが、何故かソチラのほうが廃駅になってしまいました。

またまた同じような写真で恐縮ですが、内浦湾と駒ヶ岳。

石倉地区の中心部でもあった本石倉駅跡(2022年3月ダイヤ改正で廃駅)。簡易な構造だったため、駅施設は跡形もなく消え去っていました。

同じく2022年3月ダイヤ改正で廃駅となった石谷駅跡(現在信号場)。木造の味のある駅舎は跡形もなく消えていましたが、ホームはまだ残っていました。

14:46、森駅に到着。当駅では7分停車します。
何人かの乗客が入れ替わり、中には名物『いかめし』を持った旅人の姿も…。


森駅から先は内浦湾とお別れし、渡島砂原廻りの上り線を経由します。
かつては上り優等列車のほとんどが当線を経由していたのですが、現在は一部の普通列車と上り貨物列車が通るだけ。

駒ヶ岳経由の分岐点から程近い東森駅。
特徴的な三角屋根の駅舎ですが、同型の駅舎は廃線となった瀬棚線美利河駅にも存在していました。

ワム80000形貨車を改造した駅舎の尾白内駅。

渡島砂原廻りの路線では、車窓右側に駒ヶ岳の麗姿が見られます。

掛澗駅。旧来の木造駅舎を減築し、リフォームした建物です。

旧砂原町(森町に合併)の代表駅だった渡島砂原駅。しかし乗降客はナシ…。

さて、渡島砂原廻りのルートは地盤が緩くなったという理由で2018年以降減速運転となっていますが、JR某社の『必殺徐行区間』とまではいかないものの、最高速度は45㎞/hに制限されているようです。コレも保線コストを抑える目的なのか?

次の渡島沼尻駅は、2021年11月に老朽化した木造駅舎が閉鎖され、その後解体されてしまいました。駅舎跡には短管とコンパネで組まれた運賃表と時刻表があるのみという寂しい姿に…。

鹿部町の代表駅である鹿部駅。マチの中心からはかなり離れていますが、コチラでは路線バスの接続があるためか数名の乗客が降りていきました。
当駅では函館発長万部行の2841Dと交換。


2022年3月ダイヤ改正では銚子口駅から連続する3つの駅が一挙に廃駅となりましたが、その銚子口駅跡(現信号場)を通過。かつての駅舎は保線用の詰所として残されているようです。

2002年に開業するもわずか20年の短命に終わった流山温泉駅跡を通過。
駅施設は跡形も残っておらず、まさに夢の跡…。

JR北海道の鉄道トンネルで最も短い池田園トンネル。長さはたったの20mしかありません。

そして池田園駅跡を通過。駅舎や跨線橋、ホームは全て跡形も残っていませんでした。
この辺りから速度制限が解除、キハ40はエンジンを唸らせ加速していきます。

やがて駒ヶ岳廻りの線路が合流、大沼駅に到着します。当駅は2023年3月ダイヤ改正で無人駅化。旅行客とおぼしき2人の女性客が乗ってきました。

大沼駅を発車後、進行右側には小沼とその向こうには駒ヶ岳を望む事ができます。

そして仁山峠を越えるのですが、その間に一瞬函館山が見えてきました。

かつては信号場だった仁山駅。コチラも廃駅リスト42駅の1つに挙げられています。やがては元の信号場に戻ってしまうのでしょうか…。

仁山峠を下ると新函館北斗駅に到着。ほぼ同時刻に到着した下り1351Mはこだてライナーからは新幹線への乗換客が多数降りてきましたが、意外な事に(?)当列車への乗客は2人位しか乗ってきませんでした。


この辺りから横津岳が見えてきて、その麓を走行する藤城線がやがて合流してきます。


そして七飯駅に到着。函館圏という事もあり、ここから乗客が少しずつ増えてきました。

おわり