名鉄名古屋本線の混雑状況(平日朝ラッシュ時、堀田→神宮前、現場調査結果)

記事上部注釈
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名鉄(名古屋鉄道)の基幹路線の名古屋本線。平日朝ラッシュ時は複雑なダイヤを組んでいます。その混雑状況はどうなのでしょうか。東側の流動を神宮前で確認しました。

写真1. 急行新鵜沼行きが到着!

名鉄名古屋本線の混雑状況のまとめ

名鉄名古屋本線(東側)の混雑状況の概要は以下の通りです。

  • 最も混雑しているのは特急系で、急行はその次で普通は空いている傾向にある。ただし、種別による混雑差はあまり大きくない
  • 神宮前基準で8:15~8:24の10分が最ピーク時間帯で、最混雑時間帯60分は7:45~8:44と分析できる
  • 号車ごとの混雑状況にそこまでの差はないが、中ほどの車両が混んでいる傾向にある

詳細は以下で記します。

混雑調査の概要

今回の混雑調査の方法を紹介しましょう。この記事では、定点観測を行い、一定時間の全列車を対象にして各車両の混雑を目視で確認しています。これはプロも行っている調査方法です。

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法や混雑指標の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊サイトではきちんと方法を示します(さすがー)。

弊サイトでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

今回は名鉄名古屋本線の東側の流動が集中する堀田-神宮前で実際の混雑を観察しました。

名鉄名古屋本線の混雑状況(平日朝ラッシュ時)の生データ

写真5. 名古屋本線では珍しい全車一般車特急でこれまた珍しい須ヶ口行き

今回は7:30過ぎ~9:00過ぎまで約100分間の混雑状況を確認しました(表2)。

表2. 名鉄名古屋本線の混雑状況(平日朝ラッシュ時、堀田→神宮前)

ピーク時の快速特急が混んでいることがわかります。また、種別変更も積極的に取り入れており、刻々と変わる朝時間帯の利用に可能な限り応じる姿勢も伝わります。

以前は2ドア車も運用されていましたが、現在は3ドア車による運転です。乗り降りはスムーズだったように見えました。ある意味2ドア車の風景も見たかったような…。

名鉄名古屋本線の混雑状況(平日朝ラッシュ時)の分析

写真6. 一般車が(ほぼ)オールクロスシートの特急がやってきた

生データを示しましたが、その傾向はどうなのでしょうか。簡単に分析いたします。

名鉄名古屋本線のダイヤの基本

混雑状況はダイヤに影響を受けます(逆にダイヤ設定は混雑状況を考慮します)。では、名鉄名古屋本線のダイヤはどうでしょうか。

平日朝ラッシュ時は特別停車・種別変更のオンパレードでこれといったパターンはありません。ただし、以下の傾向を読み取れます。

  • 特急系:朝ラッシュ時ピークに近い時間帯は快速特急として運転。新安城通過の意味合いが強く、そのほかは通常の特急停車駅やそれ以上に停車する。おおむね10分間隔で運転。
  • 急行:朝ラッシュ時ピークは約10分間隔(新安城フォローのためか?)、その後は間隔が開く
  • 普通:約15分間隔で特急系や急行の合間を走る

ここからいえることは、特急急行の本数は普通に比べ非常に多いことです。これでは普通のみ停車駅が冷遇されているように見えますが、朝ラッシュ時の一部の急行は停車駅が通常より多い場合もあり、急行通過駅のうち利用の多い駅についてはある程度カバーされています。

一部、豊川稲荷始発や西尾線始発も設定されています。

最混雑時間帯の推定

一般に朝ラッシュ時の混雑は60分間の混雑で語られます。そこで、10分ごとに区切り、時間帯ごとの混雑状況を分析します(表3、図1)。

表3. 時間帯別の混雑状況

図1. 時間帯別の混雑状況(グラフ)

以下の傾向を読み取れます。

  • 一番混雑の激しい60分間は7:45~8:44である
  • そのなかでも8:15~8:24は特に混雑が激しく、最ピーク時間帯である

最混雑時間帯を過ぎると急に混雑が緩和する現象は他の路線と同じです。これは、職場や学校で始業時間の直前に多くの人が出勤(登校)し、始業時間過ぎに出勤する人が少ないことから説明できます。すなわち、電車利用客もそれぞれの始まる時刻の直前に利用するということです。

以下では、基本的に7:45~8:44に絞って考察いたします。

種別ごとの分析

写真7. 神宮前から金山まで複々線で(ほぼ)同時に停車することもある

種別ごとの混雑状況はどうなのでしょうか。まず、各列車の混雑率を示します(表4)。視覚的にわかりやすくなるよう、混雑率も10%刻みで棒グラフに示しました。

(参考)表4. 各列車の混雑率

これらを最混雑時間帯(7:45~8:44)に絞り、種別ごとの混雑状況を分析しました(表5、図2)。

表5. 種別ごとの混雑状況

図2. 種別ごとの混雑状況(グラフ)

意外なことに、普通もそれなりに乗っています。特別停車などを積み重ね、利用が均等に近くなるようにある程度配慮されていることがわかります。特急系が利用されており、普通はやや空いています。急行はその中間です。

ここで気づくべきことは、鳴海始発の普通が比較的空いていることです。これは、普通の利用客のうちある程度は鳴海以東からの利用であり、普通にそれなりに乗り通す層がいることです。また、快速特急の利用が多く、一般車6両だけでは輸送力が不足しがちであり急行による補助も重要な役割を担っていることもわかります。

利用状況から名鉄名古屋本線のダイヤを考える

写真8. 古豪による新可児行きが神宮前に停車中!

利用状況から名鉄名古屋本線のダイヤを考えてみます。ぱっと見、普通の本数が少ないように見えます。それを考慮すると、特急・急行・普通の各10分間隔で、ダイヤをすっきりさせつつ近距離駅の利便性を上げることがすぐに思い浮かびます。しかし、これは現在の利用者にとっては得策ではありません。特急が減便され、特急系に乗客が集中するのが明白なためです。

そのため、特急や急行の本数を増加させることになりましょう。そうすると、現在のダイヤに近づきます。駅が少なければすっきりしたダイヤを組むこともできましょうが、名鉄は街道沿いに路線が敷かれ(JR沿線より街が古いように見えました)、細かな流動も無視できません。

近距離の利便性を向上させるためには、普通の増発は必要でしょう。しかし、そのためには金山以西の線路容量の増加が必要です。金山以西がどうにかなったとしても、スムーズなダイヤのためには待避駅の増設や部分複々線化という設備投資が必要です。

結局、鉄道ダイヤはじゅうぶんなインフラがあってこそ成立するものであり、インフラが不充分であれば取捨選択されるだけなことを実感しました。

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