KATO製のキハ85-0番台(非貫通形先頭車)を、京都丹後鉄道のKTR8500形2両編成にするため、先頭車1両を動力車にする改造をしてきましたが、今回は一気に進展がありました。

 

京都丹後鉄道のKTR8500形への加工スピードが遅かった理由は、動力ユニットには、台車形式・床下機器形状・カプラー等からキハ85系用を使用して加工するのが最適なのですが、入手が非常に困難な状況でした。仕方なく、手持ちで仕様の異なる他形式用を転用加工することにしていたものの、前述の台車形式等の克服すべき課題が多く、加工を躊躇していたのが主な理由です。

 

いよいよ動力ユニットをボディに合わせて切断しようというこのタイミングで、朗報が届きました。KATOからキハ85系新製品(第4世代製品)が来年の2月~3月に発売すると発表があり、キハ85系用の動力ユニットも、従来と同様にASSYパーツ又は増結セット用動力装置(ホビーセンターカトー扱い)を予約しておけば、入手できる見通しがつきました。

来春になれば動力ユニットも新たに入手できそうですので、手持ち車両のキハ84から動力ユニットを取り外して、加工を進めることに方針転換することにしました。

 

キハ84から取り外した動力ユニット(手前)と、T車仕様のキハ85-0番台の床下(中央)を並べてみました。T車床板の先端にあるスカートと、動力ユニットの先端側を何処で切り継ぐのが一番良いかを検討します。

 

動力ユニットの座席板の底面には長手方向に集電板が通してあり、座席板が浮き上がると集電不良の原因となりますので、座席板をダイキャストに固定している下向きの突起部分(台車の左上部)は残す必要があります。

 

動力ユニットのシャーシ底面側では、動力台車の先端側に台車の左右回転に支障しないように弧を描いた掘り込みがしてあり、加工時に配慮が必要です。座席パーツは、固定爪より前の部分だけを切り離せば良さそうですが、座席パーツを外して内部を確認してからにします。

 

動力ユニットを分解しました。集電板の先端は座席パーツの固定爪より内側にあるので、座席パーツは固定爪の外側ならば切断しても大丈夫なことが判りました。

 

一方、動力ユニットのシャーシ先端部分は、ライトの遮光ハウジングに支障します。それぞれ、どの部分で切断するのが良いのか微妙な所です。

 

座席パーツと動力ユニットの先端側を切断するため、作業の邪魔になる動力台車とモーターを一旦取り外しておきました。

 

最初に、座席パーツの固定爪の直ぐ前方となる赤線の箇所で切断します。

 

座席パーツだけを切断しました。キハ84-0番台の座席は17列(定員68名)に対し、キハ85-0番台の座席は15列(定員60名)であり、使用する側の座席パーツでは最前列の背摺りが過剰ですので、切り取ることにします。ダイキャストには座席を切断した際に、糸鋸の刃で切断箇所が判るように切り傷の目印を付けておきました。この時点でダイキャストを切断しなかった理由は、切断の最適箇所なのかの判断が付いていないためです。ここで一旦ボディに装着してみることにします。

 

前回にフライホイール仕様の動力ユニットに合わせて加工を済ませた側面窓ガラスですが、キハ84用の非フライホール仕様の動力ユニットを装着するには、座席パーツの固定爪部分が窓ガラスの下辺が当たってしまいます。キハ85用の窓ガラス(上側)は、動力ユニットの付いていたキハ84用の窓ガラス(下側)下辺形状に合わせて、再加工する必要が生じました。

 

左右両側面の窓ガラスの再加工が終わりました。この加工により、左端にあったライトの遮光ハウジングを固定するための保持部は、残念ながら切り落とさざるを得ませんでした。

 

ライトの遮光ハウジングはボディから取り外した状態で、加工を終えた側面窓ガラスをボディに嵌めてみて、加工中の動力ユニットとが確実に装着できることが確認できました。

 

動力ユニットのダイキャストを切断する位置を決めます。

 

ライトの遮光ハウジングでは、ヘッドライトとテールライトの各光源を右側の隔壁部分に収容することになりますので、光源をチップLEDを使用するにしても、相互に光漏れを防ぐためには隔壁部分を少なくとも前後2mmは残す必要があります。そこで、動力ユニットの先端に残るダイキャストを座席パーツに合わせて切断すれば、遮蔽ハウジングの隔壁を2mm程度は確保できそうです。

 

先端部分のダイキャストを、座席パーツに合わせて切断しました。

 

先端のダイキャストを切断した動力ユニットだけをボディに装着した際に、ボディ内部に生じるスペースは12mmでした。

 

ライトの遮光ハウジングの上面には運転士の座席が形成されており、座席を切り捨てることは出来ません。先端から座席の背摺りの後ろ側までが11.5mmですので、この箇所で切断すれば、ボディに収容可能であると同時に、裏面側にある隔壁も長さ2mm程度は確保できることが判明しました。

 

座席の後方にマスキングテープを貼って切断位置の目印とし、糸鋸で切断しました。

 

切断した遮光ハウジングをボディに装着してから、動力ユニットを嵌めてみました。

 

両者がピタリと勘合してくれました。

 

次はスカートをT車用床板から移設します。床板の上面で先端から12mmの長さになる箇所にマスキングテープを巻き付けました。

 

マスキングテープをガイドに糸鋸で切断しました。

 

切り出したスカートパーツの車内側の先端中央部には勘合用の爪が付いており、遮光ハウジングの前端部の角穴に勘合して固定されます。遮光パーツ自体も側面ガラスの下辺に遮られ、これ以上落ち込むこともなく実に好都合です。

 

遮光ハウジングにスカートパーツを嵌め込みました。

 

更に動力ユニットを嵌め込むことで三者一体となり、見事なまでにガッチリと固定されました。

 

想定以上に上手くいきましたので、仕上げをしていきます。

動力ユニットにも車内通路の上部に室内灯用の照明板を搭載しますが、座席パーツの先端側を切断したため、前方の保持柱がありません。また、T車用の短い照明板を移設するには、前から2列目の座席(背摺り)の後方に、保持柱を立てておく必要があります。

 

切断して不要となった座席パーツの残骸から、保持柱を切り出して再利用します。

 

保持柱を切り出しました。動力ユニットで保持柱が立つ位置の床面は左右に傾斜した形状をしており、保持柱の脚の部分にも傾斜を付けておきました。

 

保持柱を瞬間接着剤で接着しました。この位置は、連続窓間の柱に相当する場所なので、側面窓からはあまり目立ちません。

 

連結面側の台車には、循環式汚物処理タンクを表現した車端部床下機器(品番Z06-1374)を装着しますが、動力台車に装着する場合には、右側パーツの様に固定爪の部分を切り離さないと取付が出来ません。

 

動力台車(手前)の壁面にゴム系ボンドで接着しました。仕上がりは、T車用台車(奥側)と見た目は変わりません。

 

動力ユニットを組み立てます。加工のために外しておいた動力台車等を取り付け、室内灯用の短尺照明板をT車用下回りから移設しました。ヘッドライトとテールライトの点灯はチップLEDの手持ちがないので現状未施工ですが、追って装備します。

 

気分よく組み上げた筈ですが、ご覧の通りのザマです。

 

動力台車の前面側が、スカートの床板に乗り上げていました。5枚目の写真の項で前述したように、元々の動力ユニットでは、底面に弧を描いた掘り込みがしてあり、加工に際しての配慮が必要としながら処置を忘れていました。加工後は構成上から床板に掘り込みが作れませんので、動力台車を加工して対処することにします。

 

前位台車(手前)のみ、前面側壁面の上部を長さ4mm×高さ2mmだけ切除しました。車端床下機器を接着した後位台車(奥側)も参考用として並べておきます。

 

 

動力車化したキハ85-0番台です。

 

動力車の証し

 

キハ85-0番台のM車とT車が揃いました。

 

まだキハ85-0番台のままですので、京都丹後鉄道に譲渡回送されている姿の再現です。

 

京都丹後鉄道に譲渡されたキハ85-0番台は、2両編成1本が自社線内の特急予備車として活用されるとのことですが、詳細は未発表です。新たな車番の位置など詳細が判明したら、フォローアップすると共に、ライト整備も済ませて、改めて投稿することにします。(続く)

 

【関連記事】

KATO キハ85を丹鉄KTR8500形に加工する(8)

KATO キハ85を丹鉄KTR8500形に加工する(7)

KATO キハ85を丹鉄KTR8500形に加工する(6)

KATO キハ85を丹鉄KTR8500形に加工する(5)

・KATO キハ85を丹鉄KTR8500形に加工する(4)

KATO 丹鉄KTR8500形の加工に悩ましい刻印614

KATO キハ85を丹鉄KTR8500形に加工する(3)

KATO キハ85を丹鉄KTR8500形に加工する(補稿)

KATO キハ85を丹鉄KTR8500形に加工する(2)

KATO キハ85を丹鉄KTR8500形に加工する(1)

 

 

【旧製品】

 

 

 

【2024年2月頃に発売予定の新製品(第4世代製品)】