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ついったー補完計画

Tiny Train,Tiny Station

2023年10月01日 | 旅行
今回は三重県にある珍しいローカル私鉄を探訪しました。
いずれもレール幅が762mmという、いわゆるナローゲージの小さな鉄道です。小さな列車と小さな駅の愛すべき風景が広がっていました。

まずは名古屋から近鉄かJRで桑名駅を目指します。桑名駅の自由通路で東口に出ると、バスターミナルの片隅に小さな改札口があります。三岐鉄道北勢線、西桑名駅です。

駅の位置と発車時刻を確認したので、ちょっと駅の周りを見てみます。線路沿いにしばらく歩くと、とても珍しい踏切に出会いました。ナローゲージ、狭軌、標準軌の3種類のレール幅が異なる線路を一度に渡る踏切です。おそらく、全国でもここだけなのではないでしょうか。

更に歩くとナローゲージのか細い軌道が坂道を駆け上がって行きます。そしてJRと近鉄の線路をオーバークロスしていきます。古い石積みの橋脚に細い鉄骨の橋桁で、やっとの思いで大手鉄道の上を乗り越えて小さな列車が駆け抜けていきます。

下をくぐるJRの電車が実に窮屈そうですね。

1914年開業という古い歴史を持つ北勢線、鉄さびにまみれた石積みの橋脚のわきを近鉄の特急列車が駆け抜けていきました。


そろそろ次の列車の時間なので、西桑名駅に戻ります。誇らしげに歴史を語る駅舎、駅員さんもキリっとしてホームに立ちます。


北勢線の小さな電車は3両編成、車内はこんな感じで冷房機械が車端部に置かれています。床下にも屋根上にも配置するスペースが無かったのでしょう、幅も狭くちょっと電車というよりバスの車内に近い感覚です。

扇風機が回る昭和レトロな電車が発車します。車体が低いためパンタグラフが背伸びをしているように見えます。


北勢線は桑名を出ると針路を北にとり緩やかに田園地帯を登って行きます。車内は土曜のお昼という時間帯でも結構な乗車率、とても車内で撮影できる感じではありませんでした。
そしてこの列車の終点、楚原駅に到着。

ここから先にも線路は続いていますが、ここで折り返して戻ることにします。
ワンマン運転の電車は彼岸花が咲き誇る田園地帯を、のんびりゆらゆら下って行きました。



遅いお昼を食べてから近鉄電車で四日市に向かいます。JRの四日市ではなく、近鉄四日市の駅に向かいます。この2駅、けっこう距離が離れているので間違えると汗だくで歩くことになります。
近鉄四日市の駅前は大都会、その大都会の真ん中から次の鉄道、四日市あすなろう鉄道の旅が始まります。

こちらも軌間762mmのナローゲージの鉄道です。車内はこんな感じで、思いの外近代的な電車で洗練された感じがします。大きな窓にクロスシートが並ぶ車内は快適で長距離でも楽そうですが、この鉄道は市街地の中を短距離だけしか走りません。

一日フリー切符550円を買って小さな電車で路地裏を巡る旅のスタートです。


列車は日永駅に停車。住宅地の奥にある、どこかのお家の入口みたいな小さな駅です。

ところがここは支線との乗換駅、立派なY字型のホームがあります。ナローゲージの鉄道はここと北勢線、富山の黒部峡谷鉄道しかありませんが、支線と分岐するターミナル駅はここにしかありません。そんな日永駅には日中1時間に4本の列車がやってきます。日中でも結構な混み具合で座席がさらっと埋まる程度。そのお客さんがここで乗り換えます。三重県最大の都市の近郊電車として日常の交通に定着している感じです。

せっかくなので、日永駅で降りてみます。
Y字型のホームで目立つのが、3種類の軌間の比較ができるモニュメント。ナローゲージ、狭軌、標準機のレールと車輪を並べて大きさの比較をしていますが、ナローゲージは車輪も小さいのがよくわかりますね。路面電車より少し大きい程度でしょうか。


駅の改札脇には小さな池のある庭もあってよく手入れされてます。古い街に馴染んだ地元に愛される駅のようです。

ところで、この鉄道にもATSが設置されてるようですが、よく見るとATSの地上側のセンサがレールの外に配置されています。ほかの鉄道ではレールの間に設置されているのですが、さすがにレール幅が狭いので外側にしか配置するスペースがないのでしょう。こんな所にもナローゲージならではの工夫が見られますね。


そんな日永駅を出発して終点の内部駅に到着しました。「内部」と書いて「うつべ」と読むんですね。
終着駅も市街地のはずれ、バイパス道路に行く手を遮られる形で終わります。周囲の土盛りに取り残されたように一段低いところに駅があります。

駅と併設して小さな機関庫もあります。何だか町工場みたいな佇まいで微笑ましい感じです。

この鉄道はローカル線、というより普通に都市近郊の通勤通学路線でした。帰りの電車も下校途中の学生や買い物客でそこそこの混み具合です。
小雨も降りだした夕方の電車、電球色の車内照明が落ち着いた気分にさせてくれました。


さいごに、今回旅した鉄道のサイトを載せておきます。
三岐鉄道北勢線 https://sangirail.co.jp/kouhou/benri/route/h-business/
四日市あすなろう鉄道 https://yar.co.jp/
北勢線もあすなろう鉄道も、これからも地元の人にたくさん乗ってもらって末永く活躍してくれるといいですね。







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