函館→木古内→奥津軽いまべつ→津軽二股→蟹田→青森でほぼ1日を消費する上り列車乗り継ぎ
JRグループでは毎年、10 月 14 日の「鉄道の日」に合わせ、普通列車の旅を満喫する趣旨で「秋の乗り放題パス」と、本州と北海道をつなぐ「秋の乗り放題パス北海道新幹線オプション券」を発売しています。
今回は、「秋の乗り放題パス」の「北海道新幹線オプション券」について考えてみました。
2023年の設定期間
2023年の設定期間は10月7日(土)から22日(日)の16日間の中での連続3日間ですが、16日以内の範囲では、秋の青春18きっぷ版としてはいかにも短い感じがします。
その16日間の中での連続3日間、複数人数不可、第三セクター路線不可、1日当たりの単価は青春18きっぷより高い設定で、果たしてこの切符の売れ行き、利用促進度はどの程度だろうかと気にかかります。
津軽線、北海道新幹線、道南いさりび鉄道の相互接続は配慮されているか
本体の「秋の乗り放題パス」以上に売れ行きで気にかかるのは「北海道新幹線オプション券」の方です。
北海道新幹線の奥津軽いまべつ-木古内と、道南いさりび鉄道の木古内-五稜郭間を片道乗車できる内容ですが、実際に乗るとなるとどうかを見てみます。
なお、奥津軽いまべつに行くには、津軽線津軽二股で乗り継ぐのが通常ですが、津軽線は2022年8月3日以降の大雨により、蟹田-津軽二股を含めて終着の三厩まで不通の状態です。
代行バス、デマンド型乗合タクシー「わんタク」で振替輸送をしていますが、大平-津軽二股の被害が大きく復旧の見込みが立たない状況です。
実際の列車乗り継ぎ時間
奥津軽いまべつ-木古内の両駅移動は7往復の列車の中から乗ることになります。
奥津軽いまべつ発木古内停車の新函館北斗行きの発車時刻は、6:48、8:12、10:07、14:15、17:01、18:58、20:58の7本です。
また、木古内発奥津軽いまべつ停車の新青森方面行きの発車時刻は、6:52、9:48、13:01、15:01、18:53、20:56、22:10の7本です。
これを基準に計画を立てます。
◆ 青森→函館
① 青森6:16発→津軽線→蟹田6:58着、7:07発→代行バス→津軽二股7:37頃着、奥津軽いまべつ8:12発→北海道新幹線→木古内8:46着、9:13発→道南いさりび鉄道→函館10:13着
② 青森8:14発→蟹田8:50着、9:00発→津軽二股9:30頃着、奥津軽いまべつ10:07発→木古内10:41着、11:16発→函館12:21着
③ 青森15:31発→蟹田16:08着、16:20発→津軽二股16:50頃着、奥津軽いまべつ17:01発→木古内17:35着、19:16発→函館20:16着
◆ 函館→青森
函館10:34発→木古内11:37着、13:01発→奥津軽いまべつ13:35着→津軽二股15:20発→蟹田15:55着、16:25発→青森17:13着
津軽線代行バス、道南いさりび鉄道のいずれも、相互に接続時間を考慮したダイヤまで組む余裕、配慮はない状況と感じます。
「北海道&東日本パス」と「(同)北海道線特急オプション券」
話は逸れますが、JR東日本とJR北海道では毎年、春、夏、冬に「北海道&東日本パス」を発売しており、その際「北海道&東日本パス北海道線特急オプション券」も同時に発売します。
このオプション券は、北海道新幹線で新青森-新函館北斗に乗車できるほか、北海道内の特急普通車自由席が乗り放題の点が特徴です。
「秋の乗り放題パス」の、奥津軽いまべつ-木古内の新幹線乗車と比べ、列車計画の立てやすさは比較にならないほど拡大します。
「秋の乗り放題パス」の「(同)北海道新幹線オプション券」を新青森-新函館北斗乗車で
同じ「北海道新幹線オプション券」でも、「秋の乗り放題パス」と「北海道&東日本パス」とでは、使い勝手がまったく異なります。
「秋の乗り放題パス」の、奥津軽いまべつ-木古内の新幹線乗車では、青森-津軽二股、木古内-五稜郭を含めて、もともと青森-函館に相応の移動時間を要します。
「北海道&東日本パス」の場合、新青森-新函館北斗乗車なので、青森-新青森と新函館北斗-函館の乗り継ぎを含めても2時間程度で効率的です。
しかも、奥津軽いまべつと木古内の両駅への停車、通過の有無も無関係なのが強みです。
新青森-新函館北斗の新幹線乗車により、奥津軽いまべつ-木古内と比較し、半日以上の時間短縮ができます。
先程の、函館10:34発→青森17:13着の上り乗り継ぎの場合、新幹線の時間ではどうなるか見てみます。
函館15:44発→新函館北斗16:06着、16:20発→新青森17:22着、17:38発→青森17:44着
通常乗り継ぎの所要6時間39分に対し、2時間00分になります。
割引切符は元々、与えられた条件の中で計画するものであり、不満なら使わないか、自分で運賃・料金を負担して乗る性格のものではありますが、函館→青森で上りの時間帯が実質1コースのみしかないことは再考の余地があると感じます。
「秋の乗り放題パス」と「北海道&東日本パス」の各北海道新幹線オプション価格の中間程度(4,000円台)で、「秋の乗り放題パス」に新青森-新函館北斗乗車の「北海道新幹線オプション券」を検討されてはいかがでしょうか。