特急能登かがり火の乗車記(和倉温泉→金沢、23年夏)

記事上部注釈
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七尾線を走行する特急能登かがり火。現在は1日4往復(サンダーバードも含めれば5往復)設定されています。地味なローカル特急という印象がありますが、実態を探りました。

写真1. 流線形の先頭部がイカしている

復習:七尾線特急の概要

最初に七尾線特急の概要について紹介します。

七尾線特急の概要
  • 区間:金沢-和倉温泉
  • 本数:1日5往復
  • 所要時間:60分程度(金沢-七尾は55分程度、いずれも上りは5分程度遅い)

図1. 金沢と和倉温泉の位置関係(googleマップより引用)

金沢と和倉温泉の位置関係を示しました(図1)。金沢から七尾までは65.9km(IRいしかわ鉄道区間の11.5kmを含む)、金沢から和倉温泉まで70.0kmです。この間は電化され、電車特急が走っています。なお、金沢発着の七尾線普通は七尾までの運転で、和倉温泉までやってくる電気車はこれら特急のみです。

七尾線は単線であり、上下線の行き違いは停車中にしかできません。そのため、上下線で所要時間が異なります。

改めて調べていたら七尾線の特急の本数が少ないことに驚きました。過去よりも本数が減っているように感じましたので、改めて本数を調べました。

表1. 七尾線定期特急(1997年3月は急行3往復含む)の本数の推移

時点合計大阪名古屋直江津金沢発着
97/038.5往復3.5往復1往復1往復3往復
03/106.5往復4.5往復1往復1往復0往復
12/036往復4往復1往復1往復0往復
15/036往復1往復0往復0往復5往復
22/035往復1往復0往復0往復4往復

手元の時刻表から拾いました。2015年以降は本数の増減が認められた時期の本数を記しましたが、2012年以前はランダムに本数をカウントしたにすぎません。

2015年10月以降は観光特急花嫁のれん号が土日中心に設定されていますが、定期列車でないと解釈し、本表にはカウントしていません。

2015年3月ダイヤ改正(北陸新幹線金沢開業)を境に大阪・名古屋直通が大幅に削減されています。直江津方面直通(1997年3月以降は越後湯沢発着)がなくなったのはわかりますが(金沢以東の北陸本線特急がなくなったので当然)、大阪直通が激減し名古屋直通が廃止されたのはやり過ぎでしょう。

2012年以降は1日6往復体制が維持されていましたが、2022年以降は1日5往復に減便されました。多客期運転の花嫁のれん号を加えれば2022年以降でも1日7往復ですが、1997年時点の1日8.5往復体制からみると衰退しています。これは輪島・珠洲方面の輸送を担わなくなったという理由が大きいでしょう。

特急能登かがり火に実際に乗る

写真2. 七尾方面から回送がやってきた

御託はこの程度にして、実際に乗ってみましょう!

特急能登かがり火の車内

写真3. 今回のターゲットはクハ680-508

まず、車内を紹介します。

写真4. 681系の重厚な車内

私は鉄道ファン初心者で何も知りませんでしたが、能登かがり火には681系しらさぎ用編成も使われるのですね!そして、しらさぎに681系が使われていることにいまだに驚きます(もともとしらさぎはパノラマグリーン車を連結した485系置き換えのために683系2000番台が投入された記憶があります)。

その681系の重厚な空間が広がります(写真4)。

写真5. 飴色の照明と荷棚下の照明が特徴

681系の車内の特徴は、荷棚下の照明です(写真5)。そして窓枠はあえて金属を選択し、高級感を演出しています。

写真6. 座席の様子

座席の様子です(写真6)。標準的な2人掛けの回転リクライニングシートが並びます。

写真7. 背面テーブルが備わる

背面テーブルが備わります(写真7)。

写真8. 特急車らしい座席

特急車らしい座席です(写真8)。

写真9. 背面テーブルを拡大

背面テーブルを拡大しました(写真9)。

写真10. 背面テーブルを展開

背面テーブルを展開しました(写真10)。

写真11. インアームテーブルを展開

インアームテーブルを展開しました(写真11)。ひじかけのテーブルがあり、向かい合わせにした際も使えます。

写真12. デッキ部分

デッキ部分です(写真12)。

写真13. デッキにある公衆電話跡

デッキの公衆電話跡です(写真13)。今や携帯電話の時代ですから、公衆電話は時代遅れなのです。

写真14. 洗面所

洗面所の様子です(写真14)。特急車らしい設備です。

写真15. 洗面所の様子

洗面所の様子を角度を変えて撮影しました(写真15)。

特急能登かがり火の車窓を楽しむ

では、実際の車窓を楽しみましょう!

写真16. 七尾方面から入線!

七尾方面から入線します(写真16)。

写真17. 3両編成の先頭

金沢よりの先頭車は流線形です(写真17)。私のイメージでは3両編成の先頭車は和倉温泉よりに連結されているので、変な感じです。2015年の輸送体系変化でしらさぎ用に転用され、3両編成は米原よりに連結されるようになったためです。

写真18. 和倉温泉を発車!

和倉温泉を発車しました(写真18)。

写真19. 街中に入ってきた

街中に入ってきました(写真19)。

写真20. 七尾の市街地

七尾の市街地です(写真20)。

写真21. 七尾に停車!

七尾に停車します(写真21)。ここで少し乗ってきます。とはいえ、夏の繁忙期でも全員座れます。

写真22. 七尾港方面の線路が分岐

七尾港方面の線路が分岐します(写真22)。といっても、七尾港方面の線路は廃止になっており、すぐに途切れます。個人的所感ですが、七尾市内の需要も拾うために普通電車をこちらに延長しても良かったように思います。

写真23. 田園風景が広がる

田園風景が広がります(写真23)。

写真24. 田園風景と里山が広がる

田園風景と里山が広がります(写真24)。のどかな風景ですが、和倉温泉以北より人口密度は高そうに見えます。ここで進行方向左側の座席から右側の座席に移りました。朝の列車でしたので、順光で眺められる西側の車窓を選択したのです。

写真25. 田園風景を走る

田園風景を走ります(写真25)。

写真26. 羽咋川を渡る

羽咋川を渡ります(写真26)。

写真27. 羽咋に停車!

羽咋に停車します(写真27)。「はくい」です。「ふくい」ではありません。

写真28. 下り特急とすれ違う

下りの特急とすれ違います(写真28)。こちらも空いています。

写真29. 羽咋を発車!

羽咋を発車しました(写真29)。午前中に金沢に到着する列車ですが、座席の半分も埋まっていなかったと記憶しています。

写真30. 田園風景を走る

田園風景を走ります(写真30)。七尾線は特段速度の速い路線ではありませんが、それなりに飛ばす印象です。比較的直線が多いためでしょうか。

写真31. 高松駅を通過!

高松駅を通過します(写真31)。もちろん四国の高松駅ではありません。どうせ空いているのですから、このあたりの駅に停車して集客しても良いでしょう。

写真32. 集落が遠くに見える

集落が遠くに見えます(写真32)。

写真33. 宇野気を通過!

宇野気を通過します(写真33)。このあたりも集落があります。

写真34. 道路と並走

道路と並走します(写真34)。向こう側のバイパスのほうが速度は速そうです。

写真35. 津幡の市街地を走る

津幡の市街地を走ります(写真35)。津幡駅よりもこのあたりのほうが市街地に近いです。本津幡や中津幡という本家らしい駅名が並びます。

写真36. 津幡の市街地を走る

津幡の市街地を走ります(写真36)。このあたりでカーブし、IRいしかわ鉄道線に合流します。

写真37. 津幡を通過!

津幡を通過します(写真37)。よく見ると、JRの駅名標ではなく、IRいしかわ鉄道の駅名標です。この駅の管理がJRではないことが伝わります。

写真38. 複線区間を走行

複線区間を走行します(写真38)。ここは日本海縦貫線であり、日本の物流の大動脈です。そのため、北陸本線から移管されてもこのような設備なのです。

写真39. 複線区間を快走

複線区間を快走します(写真39)。

写真40. 複線区間を走る

複線区間を走ります(写真40)。

写真41. 高架区間を走る

高架区間を走ります(写真41)。大阪-新潟地区-青森を結ぶ経路でかつては長距離特急も走っていました。そのため、本線を支障しないように立体交差にしているのでしょうか。

写真42. 貨物駅を通過!

貨物駅を通過します(写真42)。このルートが日本の大動脈であることを実感します。JRの列車に乗っているので、ここがJR線でないという実感がわきにくいです。

写真43. 再び高架区間を走る

再び高架区間を走ります(写真43)。

写真44. 市街地に入ってきた

市街地に入ってきました。金沢駅はもうすぐです(写真44)。そういっても、金沢駅そのものは金沢の市街地からやや離れているのですが。

写真45. 金沢に到着!

金沢に到着です(写真45)。ディーゼル車が発着するホームです。

写真46. 金沢に到着した特急能登かがり火

金沢に到着した様子です(写真46)。

写真47. 金沢に到着したら回送!

回送車として引き上げます(写真47)。理由はよくわかりませんが、上り線と下り線でホームを分けており、引き上げて行きました。

特急能登かがり火に乗ってみて

写真48. 華美でないながらも高級感のある正統な車内

今回、特急能登かがり火に乗ってみました。途中停車駅が少ない割には所要時間は長かったです。一方、七尾線は比較的直線が多いように見え(津幡駅付近のカーブはありますが)、低速で走る区間が少ない印象も抱きました。

それより気がかりなのは3両編成でも空いている車内です。午前中に金沢に向かう便なのに座席の半分も埋まっておらず(行き違いの普通はそれなりに混んでいたように見えた)、沿線の住宅の多さも考慮するともったいなく感じます。

以前は七尾線特急は大阪・名古屋・越後湯沢に直通していました。それが現在はほとんどが金沢乗りかえです。直通運転がなくなるということは乗りかえの手間が増えます(越後湯沢直通がなくなり金沢乗りかえであっても東京方面は乗りかえ1回のままですが)。新幹線開業で主要都市間は移動が便利になりますが、その先は不便になってしまうという実例です。これはフリーゲージトレインや新幹線区間の四線化、在来線区間の標準軌併設という策で克服できそうに思います(現実的なのは北陸新幹線新大阪開業後の七尾線標準軌線路の併設でしょうか)。

そして、本数の少なさや停車駅の少なさが利用の少なさにつながる要素にも感じました。例えば、大阪-和倉温泉(金沢以南は新幹線経由)の列車を設定すれば広域流動を誘致できます(前述の通り何らかの策が必要ですが)。また、七尾線高速化と金沢-穴水の指定席快速の設定によって、能登半島の活性化ができないかとも妄想してしまいます(大阪-和倉温泉を2時間に1本、金沢-穴水の快速を2時間に1本など)。

金沢という人気観光地があるので、その近くの和倉温泉や能登半島に観光客があまり向かわないのはもったいなく感じました。そして、観光客の誘致には便利な交通機関が必要でしょう。

にぎわう金沢とにぎわいに欠ける特急列車を眺め、そのようなことを感じたのでした。

前後を読みたい!

果たして前後はどこに行ったのでしょうか?

(←前)日本の宿 のと楽の宿泊記(和倉温泉のホテル)

特急能登かがり火の乗車記(和倉温泉→金沢、23年夏):現在地

金沢駅を楽しむ(→次)

★この旅行のまとめ:23年夏能登・金沢旅行のまとめと振り返り

(参考)この日の旅程は以下の通りです。

出発地発時刻手段到着地着時刻
和倉温泉9:02特急金沢10:05
金沢の街歩き観光
金沢市内で宿泊
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