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前回はこちら。


明治貨車があるなら大正貨車もあるでしょ! ということで、1925年の連結器一斉交換以前に登場した貨車を紹介します。


甲府モデル 1-44 フワ30000

甲府モデル 1-143 ツ400(登場時仕様)

右:フワ30000

左:ツ400(登場時仕様)


フワ30000形は1913〜1914年に1400両ほどが製造されました。有蓋貨車手用制動機付という分類で、機関車からの貧相で貧弱で制動力不足な真空ブレーキを補うために手ブレーキを装備しています。車端部の制動室に人が入って、ブレーキ操作や列車監視をします。狭いためさほど身動きが取れないので拷問だったでしょう。

しかし1919年に空気ブレーキの採用が決定し、フワ30000は本来の役目を終えて別の用途に改造されました。1928年までには形式消滅しています。


ツ400形はフワ30000からの改造形式のひとつです。1920年にツワ22500形として130両が改造されています。

このほか甲府モデルでは、昭和期に同じく改造されたツワ22850→ツ700も製品化されていますが、時代が異なるため今回は省略します。


フワ30000からの改造車のうち、冷蔵車以外は車体の骨組みが流用され、左右非対称の特徴的な姿になっています。


フワ30000

使用車輪:短軸

連結器:IORI製カプラーポケット用

バッファー:付属

デカール:なし


ツ400(登場時仕様)

使用車輪:短軸

連結器:IORI製カプラーポケット用

バッファー:別売

デカール:なし


ドイツのメーカー、フライシュマンに似たような貨車があるので並べてみました。この貨車は過去記事にも登場しています。



甲府モデル 1-132 レ2300•2200(レ1300)

フワ30000から改造された一連の冷蔵車です。1923〜1926年にレソ25630形(1928年称号改正:レ1300形)が465両、1926年にレソ26400形(1928年称号改正:レ2200•2300形)が40両改造されています。レ2200形のみ牛乳缶用の棚が装備されています。

連合軍に接収されたものもあったようです。1950年代には全車廃車になっているようです。

※ところでこの画像では車体が灰色ですが、ねじ式連結器だった頃は黒だったと思われます。つまりこの作例は矛盾しています。でも周りが黒いのばかりなのでアクセントにはなります。


レ2300•2200(レ1300)

使用車輪:長軸

連結器:IORI製カプラーポケット用

バッファー:別売

デカール:なし


あきぽんのこべや AN-111 フア27200石油専用緩急車

あきぽんのこべや AN-110 ア27200石油専用車

右:フア27200形

左:ア27200形


フア27200形は1915年に45両が登場した3軸タンク車です。上のフワ30000形のような制動室が付いていますが、こちらはタンクがめり込んでいて若干狭くなっています。

こちらも1920年に普通のタンク車に改造されア27200形に、1928年の称号改正でタサ1形101〜145になりました。1965年まで使用されたようです。

タサ1形もあきぽんのこべや(DMM)で製品化されています。


フア27200形

使用車輪:長軸+付属のあきぽんのこべや製中間車輪

連結器:IORI製カプラーポケット用

バッファー:別売

デカール:なし


ア27200形

使用車輪:長軸+付属のあきぽんのこべや製中間車輪

連結器:IORI製カプラーポケット用

バッファー:別売

デカール:なし


甲府モデル 1-76 トム5000(ト24000)

1917〜1926年に6993両が製造されました。1928年の称号改正では、1923年以前に製造された5189両と編入車の計5333両がト5000形、残りの1785両はト16000形となりました。※他形式からの改造編入があるため数字が合いません。

国鉄からは1970年に消滅しています。譲渡車が多く存在し、中には電車化されたものもありました。(田口鉄道サハ201)

1926年製の神中鉄道ト260形は2001年まで在籍し、この系列の最長寿でした。この形式は一部がスノープラウを装備し、除雪車として使用されていました。


トム5000(ト24000)

使用車輪:長軸

連結器:IORI製カプラーポケット用

バッファー:別売

デカール:なし


甲府モデル 1-110 チキ300(オチ21350)

1919〜1927年に445両が製造されました。登場時はオチ21350形、1928年以降はチキ300形を名乗りました。1960年代末期に国鉄からは消滅しました。

自衛隊朝霞駐屯地にはチキ427が譲渡され、2010年代まで訓練に使用されていた模様です。

大井川鉄道には4両のチキ300形が譲渡され、うち1921年製のチキ341→チキ303は、2023年現在も無車籍ながら現存します。最近では車番が「チキン303」と読めるようになっています。


チキ300(オチ21350)

使用車輪:長軸

連結器:IORI製カプラーポケット用

バッファー:別売

デカール:なし


甲府モデル 1-137 シ1(シ5•6タイプ)(ホシウ78•79 シ205•206)

1922年に川崎造船所で2両が製造されました。川崎造船所(1929年以降は川崎車輛)で製造された、路面電車など小型な新車を輸送しており、兵庫駅常備となっていました。

1928年称号改正でシ5•6に、1968年のヨンサントオ改正でシ205•206となりました。1972年に全車廃車となりました。

この貨車ですが、かつて姫路駅より手柄山までを結んでいた姫路モノレールの乙種輸送に使用されたようです。甲府モデルの品番1-138ではこの貨車とモノレールがセットされており、当時を再現することができます。


シ1(シ5•6タイプ)(ホシウ78•79 シ205•206)

使用車輪:長軸

連結器:IORI製カプラーポケット用

バッファー:別売

デカール:なし


甲府モデル 1-57 タ1530二代目(タ500)


元々は1908年に新潟鐵工所で15両が製造された中野鉱業の私有貨車で、ナ8〜22を名乗りました。1911年称号改正ではア1530形となっています。

1925年7月、15両の2軸車から10両の3軸車を作るという偉業に成功し、画像のような形態となりました。なかなかの魔改造です。

車籍はア1530~1535,1537~1539,1543の10両を引き継いだそうです。1928年称号改正ではタ500~509に整理されています。

石油会社の合併や国有化を経て、最終的にはJOTこと日本石油輸送の車両となりました。1961年10月、タ500とタ503の廃車により消滅となりました。53歳、長生きでした。

※2023年現在現役のタキ43000トップナンバーは56歳だとか。タンク車って長寿なんですね。


タ1530二代目(タ500)

使用車輪:長軸+あきぽんのこべや製中間車輪

連結器:IORI製カプラーポケット用

バッファー:付属

デカール:別売


別売デカール

社章 3枚

中野興業株式會社 3枚

車番 ア1530~1532 各3枚

バラ数字 0~9 各5枚

標記類 2種類 それぞれ3枚、4枚



大正貨車はプラ完成品でたまに出すことがあり、トミックスのワム3500形なんかが筆頭です。再生産のときには登場時仕様を作りたいです。

9600形や8620形といった著名な機関車が登場した頃で、また昭和時代にも活躍していたので、他社製品との混成もしやすい世代だと思われます。



甲府モデル


あきぽんのこべや