小奴可駅【広島県】(芸備線。2022年訪問) | 『乗り鉄』中心ブログ(踏破編)

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車両の写真は東城駅にて撮影。

 

今回の【駅】コーナーは、
広島県北東部、庄原市北東寄りの山間部に開けた小さな盆地に位置する芸備線の駅で、東城~備後落合間の中間駅で最も乗車人員が多かったものの近年は秘境駅である隣駅の内名駅を下回る年もある駅、また木造駅舎が残っており、かつては2面2線の急行停車駅でしたが1面1線に縮小された駅、そして今は芸備線の当駅を含む区間が存廃問題に揺れていて、今後が楽観できない状況のやや難読駅、

小奴可駅 (おぬかえき。Onuka Station) です。
 
  
駅名  
小奴可駅 (駅番号なし)  
  
所在地  
広島県庄原市 (旧・比婆郡東城町)  
  
乗車可能路線  
JR西日本:芸備線  
 
隣の駅  
備中神代方……内名駅     
広島方…………道後山駅  
 
訪問・撮影時  
2022年4月  
 
 

 

小奴可駅は地平駅で、西側に開業前年の1934年(昭和9年)に建てられた平屋建ての木造駅舎があり、今も使用されています。
簡易委託駅で、駅事務室部分は道後観光・道後タクシーの事務所として使用されていますが、駅舎の一部がくり抜かれて車庫に転用されています。
東側に出入口はないため、約170m北の踏切を渡って西側へ回る必要があります。
また、駅外~駅舎~ホーム間は段差がほとんどなく、使用されずに残っている改札口も何とか車いすが通れる幅が確保されているため、小奴可駅はバリアフリーに対応しています(但し、車両側が対応できていませんが)。
冬期は積雪が見られるため、温度保持のため出入口には扉があります。
また、出入口前には郵便ポスト(丸ポスト)と電話ボックスが設置されています。駅舎右側には男女共用の公衆トイレもあります(多機能トイレなし。男性小用が個室になっています)。
小奴可駅には駅前広場が整備されていません。最寄りのバス停留所は約230m北西の国道314号線沿いに設けられています。一方、タクシーは駅構内に事務所がありますので安心です。
写真はいずれも東方向を望む。
 
 

駅前です。北西を望む。
右後方に駅出入口があります。
小奴可駅西側には比較的大きな集落が形成されており、商店も点在しています。郵便局や交番もあります。
かつては急行停車駅だったのも頷けますが、モータリゼーションの波が押し寄せた現在は駅の利用客がほとんどいない状況です。また列車本数が非常に少ないのも利用低迷の原因かと思われます。
駅周辺は成羽川が形成した小さな盆地で、駅前を少し離れると田園風景が広がっていますが、直線距離で400mほど西には白滝山をはじめとした山地が迫っています。
 
 

駅のすぐ南側には食料品店「近江屋フードセンター」があります。
朝8時から夕方18時まで営業していて、開店が早いです。駅周辺には大手コンビニが全くないので当店がコンビの役割も担っており、私は8時頃に小奴可駅を訪問しましたが、仕事関係の車がひっきりなしに出入りしていました。
尚、駅南側は民家が少なく、小奴可郵便局があるくらいで田園風景が広がっています。
 
 

駅前です。北を望む。右手に駅舎があります。
北側には道後観光・道後タクシーの車庫やJAの農業倉庫などがあります。
約170m北には踏切があり、渡ると駅東側へ出られます。
 
 

駅東側の風景です。ホームより北東を望む。
駅裏に相当する駅東側は民家が少なく、起伏が見られる盆地に田園風景が広がっています。
一方、駅東側には庄原市立小奴可小学校や私立の小奴可こども園があります。
小さいながらも小学校やこども園が成立する地区なのに、列車利用客が非常に少ないのは……もっと利便性を上げてほしいとは思いますが、対庄原市街や対広島ですと線形の悪い芸備線ではマイカーに太刀打ちできないのが現状です…。
 
 

 

改札口です。出入口前より上写真は東を、下写真は北を望む。
小奴可駅は簡易委託駅で、駅事務室に入居している道後タクシーが出札業務を受託しています。
しかし当駅にはインターホン、自動券売機、乗車駅証明書発行機などの設備は一切ありません。きっぷ回収箱すらありません。『ICOCA』もエリア外です。
また、小奴可駅に発着する列車は全てワンマン列車で、車内収受方式となっています。乗車時は車内の整理券を受け取り、降車時は運転士に運賃を支払います(またはきっぷを渡します)。
窓口で販売していない新幹線きっぷなどをお求めの場合もそのまま乗車して整理券を受け取り、新幹線駅や主要駅で整理券を提示の上できっぷをご購入下さい。
出札窓口の手前には扉があり、その向こう側にはタクシーの車庫が見えます。
駅舎内右側は待合室になっていて、ベンチがあります。
上写真正面の扉の先はホームですが、扉とホームの間に改札ラッチが残っています(後述)。
トイレは駅舎の南側にあります。
尚、駅南側には前述の「近江屋フードセンター」があり、店先に飲料自動販売機も設置されています。
 
 

こちらはホームより改札口を望む。西を向いて撮影。扉の向こう側は駅舎内および駅外です。
鉄パイプで造られた簡易な改札ラッチが現存しています。
改札口に段差はなく、通路も何とか車いすが通行できる幅で、駅設備としてはバリアフリーに対応しています。但し、車両(キハ120形)は出入口幅が狭く、ステップもあるためバリアフリーに対応していないと言えます。
また、出入口右側にある駅名標は書体が通常のものと違います(岡山地区ローカル線の改札近くに設置されている駅名標はこの書体です)。
      
 

ホーム上に設置されている建植式駅名標です。非電照式ですが、反射材が使用されています。
JR西日本の標準デザインで、こちらはJR西日本の標準書体が使用されています。
尚、岡山地区の芸備線に駅ナンバリングは導入されていません。
また、芸備線には藤色のラインカラーが設定されているのですが、駅名標には反映されておらず。今も下部はJR西日本のコーポレートカラーである青色です。岡山地区は線区ごとにラインカラーを配した駅名標を設置しているのですが、芸備線は将来が見えないため変更しないのでしょうか?
 
 

現在の小奴可駅は単式ホーム1面1線の地平構造で、南北方向にホームが延びています。
番線は設定されておらず、下り備後落合・広島方面、上り備中神代・新見方面とも同じホームに発着しますので、乗り間違えないよう注意が必要です。芸備線は本数が少ないため、乗り間違えてしまうと大変な目に遭ってしまいます…。
また、左側にはホーム跡があり、原形をとどめていますが、レールは大半が撤去されています。2001年までは相対式ホーム2面2線で、廃止された旧2番のりばは上り列車が発着していたと思われます。現存する旧1番のりばから見て旧2番のりばは広島方(後方)にずれていました。また、両ホームは広島方の端(写真後方)にある構内踏切で結ばれていました。
ホーム有効長は3両分で、ホーム幅は全体的に狭いです。改札口前のホーム上にベンチが設置されています。
上屋は駅舎に面した部分にありますが、線路際まで届いていません。雨天時の乗降は要注意です。
ホームの広島方(手前側)に面して駅舎があります。
写真は備中神代方を望む。
 
 

 

こちらは広島方を望む。
右側の旧2番のりばは元々島式ホームだった可能性があり、ホームのさらに右には線路跡が確認できます。旧3番線だったのか側線だったのか、詳細は不明です。
 
 

 

上写真はホーム中ほどより、下写真はホーム端より、いずれも備中神代方を望む。
左側に旧2番のりばと側線があり、レールが一部残っていて往時の雰囲気を味わえます。
また、ホーム端の先の右側には保線用と思われる古びた詰所があります。
 
この先、成羽川の谷に沿って南南東方向へ進みますが、意外と周囲が開けていて、遠方の山地を眺めながら長閑な田園風景の中を走ります。その後は沿線の民家がほぼ無くなり、主に山林の中を南下
するようになると秘境駅としても有名な内名駅へと至ります。
 
 

広島方を望む。
かつては左側のフェンスの先に通路が延びていて、右側の旧2番ホームの先端部分にあった構内踏切へと通じていました。通路や旧2番のりばは残存していますが、構内踏切は撤去されています。
また、東城~備後落合間の中間駅は全て棒線化されてしまい、後に東城駅も実質1面1線化されたため、新見~備後落合間で列車行き違いが可能な駅は新見駅、布原駅、矢神駅、備後落合駅のみです…。
 
この先、盆地内の田園風景を見て走りますが、次第に山がちになります。そして国道314号と並行して北西へ走るようになりますが、さほど山深くない区間が続きます。それでもその後は山林の中を走るようになりますが、右へカーブして国道314号と離れて進路を北に変えると周囲が開けてきて、道後山駅へと至ります。
 
 
あとがき  
私が小奴可駅で下車(乗車)したのは……ありません。列車本数があまりにも少ないため、2022年に自動車で訪問しました。木造駅舎を有する1面1線の小さな駅ですが、かつては2面2線でした。駅近くには何軒かの民家があり、また駅前の食料品店にはひっきりなしに客がやって来る状況であり、東城~備後落合間の中間駅の中では最も賑やかな駅前でした。しかし乗車人員は以前UPした内名駅より下回る年もあり、今後が心配になります…。2020年は1日平均乗車人員が2名で、駅としての存廃が心配になるレベルですが、それでも簡易委託駅なのは驚きです。尚、当駅を含む芸備線の東城~備後落合はJR西日本管内で最も営業係数が高く、存廃の危機にさらされています。
 
東京からですと東海道・山陽新幹線で岡山駅まで行き、伯備線特急『やくも』に乗り換えて新見駅で下車します(岡山~新見は普通列車でも可)。そして芸備線の備後落合行きに乗り継いで当駅下車です(東城行きは不可)。相当タイトな日程になりますが、何とか日帰り訪問可能です(最大滞在時間:2022年時点で52分)。
一方、大阪からですと新大阪駅から山陽新幹線で岡山駅まで行き、以降は上記のルートで到達できます。東京からより移動距離が少ないものの、芸備線の列車本数が少なすぎるため、日帰りでの滞在時間は東京からと同じ1時間弱になってしまいます…。
(飛行機でのアクセスは考慮していません) 
  
食料・飲料について、駅前に食料品店があるので心強いですが、その他気軽に入れる商店・飲食店は一切ありません。まぁ事前に用意しておいた方が無難です。
 
東京、大阪とも到達難易度が非常に高いですが、芸備線を乗り鉄の際は、ぜひ一度は小奴可駅でも途中下車してみて下さい!
 
(参考:地理院地図、Google地図、Wikipedia)