皆さん,こんばんは。

本日は,「新玉川線・営団半蔵門線との相互直通運転」について書きたいと思います。

 

①営団半蔵門線の概要

 営団半蔵門線は,昭和43(1968)年の都市交通審議会答申第10号にて「11号線」として答申された路線が母体となっています。

 ルートは「二子玉川方面より三軒茶屋,渋谷,神宮前,永田町,九段下,神保町,大手町の各方面を経て,日本橋蛎殻町に至る路線」とされました。

 このうち,二子玉川~渋谷間は東急が「新玉川線」として建設し,昭和52(1977)年4月に開業しました。

 その後,昭和47(1972)年の都市交通審議会答申第15号,昭和60(1985)年の運輸政策審議会答申第7号にて錦糸町,松戸方面への延長が示されました。

 本稿では,まず水天宮前開業までの推移を書いていくことにします。

 路線開業の推移は,次の通りです。

昭和48(1973)年3月1日 渋谷~蛎殻町(現・水天宮前)間 着工

昭和53(1978)年6月1日 11号線に路線名称「半蔵門線」を制定

昭和53(1978)年8月1日 渋谷~青山一丁目間 開業

昭和54(1979)年9月21日 青山一丁目~永田町間 開業

昭和57(1982)年12月9日 永田町~半蔵門間 開業

平成元(1989)年1月26日 半蔵門~三越前間 開業

平成2(1990)年11月28日 三越前~水天宮前間 開業

 

②青山一丁目開業

  着工から5年後の昭和53(1978)年8月1日、まずは青山一丁目まで開業しました。

 途中駅は表参道で,同駅では銀座線と同じホームで乗り換えが出来ます。また,千代田線も同駅で乗り換えです。

 この時点で営団は車両基地を線内に設置しておらず,半蔵門線用の車両を保有していませんでした。そのため,東急8500系による運行となりました。東急は営団に8500系を6両×3本,貸与しました。

【画像1】

長津田駅に入線する東急8500系

長津田止まりの普通列車(2005年撮影)

 

 まず,新玉川線・営団半蔵門線の2路線を相互直通運転する形となり,一部列車が長津田まで直通という運行系統でした。

 昭和54(1979)年8月12日,東急新玉川線・田園都市線の運行系統が変更されました。

 東急8500系(6両編成・8両編成)による新玉川線・田園都市線全面直通運転(つきみ野~長津田~二子玉川園~渋谷~青山一丁目)が開始され,二子玉川園~大井町間は「大井町線」に改名されました。 

 

③永田町延伸開業

 東急・営団による全面的相互直通運転開始の翌月(昭和54年9月),半蔵門線は永田町まで延伸開業しました。

 永田町では有楽町線,連絡通路を経由して丸ノ内線銀座線と乗り換えが可能となりました。平成9(1997)年には南北線が開業し,同線とも乗り換え可能となりました。

 永田町駅は「めがね形」シールド工法という独特の工法で建設され,ホーム壁がカーブしています。同駅は自民党本部の最寄り駅でもあります。

 昭和56(1981)年4月1日,営団に待望の半蔵門線用車両「8000系」が登場しました。

【画像2】

長津田駅に入線する営団8000系 

急行 中央林間行き(1999年撮影)

 営団・東急の相互直通運転における輸送力増強を担う車両として,8両編成×5本,6両編成×1本が配属となりました。

 

④半蔵門延伸開業

 昭和57(1982)年12月9日,半蔵門線は路線名の由来となった半蔵門まで延伸しました。

 半蔵門延伸開業にあたり,東急と営団はそれぞれ,車両の増備を実施し,輸送力増強が行われました。半蔵門延伸開業時の両社の車両数は,次の通りです。

 【営団】

 8000系

 8両編成×9本(72両)

 【東急】

 8500系

 8両編成×29本(232両)

 半蔵門駅はTOKYO FM,英国大使館,国立劇場の最寄り駅です。

 「半蔵門」は皇居(旧江戸城)の門の一つです。宮内庁のHPでは地図上に「半蔵門」という名前は記されていますが,「最寄りの交通機関からの距離(所要時間)」の欄に「半蔵門」が記載されていません。皇族方が日常的に出入りする門のため,一般人の通行・見学は許されない場所になっています。

 

⑤三越前延伸開業

 平成元(1989)年1月26日,半蔵門線は三越前まで延伸開業しました。途中駅は九段下,神保町,大手町です。

 九段下では東西線都営新宿線,神保町では都営三田線新宿線,大手町では丸ノ内線千代田線都営三田線と乗り換えられます。三越前は銀座線JR総武線(快速)の新日本橋駅と連絡しています。

 三越前延伸開業時における東急・営団の車両配置は,次の通りです。

 【営団】

 8000系

 8両編成×7本(56両)

 10両編成×11本(110両)

 【東急】

 8500系

 10両編成×39本(390両)

 九段下は日本武道館,靖国神社,北の丸公園の最寄り駅です。

 神保町は古書店街とカレー屋さんの街,学生街でもあります。白山通りを水道橋方面に進むと右手に日本大学経済学部,左手に日本大学法学部,日本大学通信教育部があります。古書店街は靖国通り沿いにあります。

 大手町は読売新聞社の本社ビルがあり,毎年お正月の「箱根駅伝」の往路スタート地点・復路フィニッシュ地点です。

 三越前は名前の通り,高級デパート「日本橋三越」の最寄り駅です。その他,同駅の出入り口付近に「日本橋魚市場発祥の地」という石碑が設置されています。江戸時代から関東大震災までの間,日本橋が魚市場として賑わっていました。

 

⑥水天宮前延伸開業

 平成2(1990)年11月28日,半蔵門線は水天宮前まで延伸開業し,昭和48(1973)年3月1日の着工から約17年8ヶ月の歳月をかけて渋谷~蛎殻町間の工事を終えました。

 計画時から建設中は蛎殻町(かきがらちょう)という仮の駅名が付けられていました。

 平成2年2月13日に営団は「箱崎」という駅名を決めていましたが,中央区と地元住民からの要望により,「水天宮前」と改称されました。

 水天宮前駅は,安産祈願の神社「水天宮」,ロイヤルパークホテル,東京シティエアターミナル(T-CAT)の最寄り駅です。

 水天宮前延伸開業時の東急・営団の車両配置は,次の通りです。

【営団】

 8000系

 8両編成×7本(56両)

 10両編成×12本(120両)

 【東急】

 8500系

 10両編成×39本(390両)

 その後,東急は平成3(1991)年に8500系の最終増備車(10両編成×1本)が落成して10両編成×40本(400両)となりました。平成4(1992)年と同5(1993)年に2000系が10両編成×3本(30両)配備されました。

 営団は平成6(1994)年に最後まで残っていた8両編成7本の中間に増備車(各2両)を新造配備し,10両編成×19本(190両)となりました。これをもって,東急・営団ともに全ての列車が10両編成で運行されることになりました。

 

 

 長津田駅に入線する東急2000系

 長津田止まりの普通列車(2005年撮影)

 

次回は「半蔵門線押上延伸・東武線直通」,「東武線直通列車増便」について書いていきます。