皆さん,こんばんは。

本年8月27日,小田急と地下鉄千代田線との相互直通運転が開始から45周年を迎えました。

 これを記念して,私も「小田急の千代田線直通車両と直通列車の運行形態」と題して,小田急の地下鉄千代田線との相互直通運転について書いてみたいと思います。

 それでは,中身へGo!です。

 

① 9000形

 昭和47(1972)年に登場した通勤型電車です。

当時計画されていた営団地下鉄千代田線との相互直通運転を行うために製造されました。4両編成と6両編成が9本ずつ製造され,千代田線直通の他に小田急線の各停から急行まで幅広く活躍しました。

 9000系の特徴はMT比率の高さです。千代田線直通の運用に入るにあたり勾配押し上げ条件を満たすために,電動車の比率を上げる必要がありました。

 4両編成は全電動車(4M),6両編成は中間2両を付随車にした4M2Tの編成が組成されました。本形式で4両と6両をつなげて10両にした場合,8M2Tという強力な編成になりました。

 制御方式は界磁チョッパ制御で,小田急線内の急行列車で運用されることを考慮して電力回生ブレーキと発電ブレーキが併用されました。運転台はツーハンドルで電磁直通ブレーキが採用されています。

 当時は準急として本厚木~綾瀬間を運行していました。運行本数は朝夕を中心に12本程度と,極めて少ないものでした。日中は千代田線内で折り返し運転をしていました。

 千代田線直通の運用は1988年に1000形が登場してから同車に置き換えられ,自社線内の運用のみとなりました。

 他方,小田急線内では各停から急行,さらには甲種輸送されてきた新車を新松田から相模大野まで牽引する仕事も担当しました。

 2000年代後半に,3000形の増備によって引退しました。

 町田駅を発車する9000形(4両+4両の8両編成)

 各停  本厚木行き

 

② 1000形

 1000形は昭和63(1988)年に導入された通勤型電車です。平成5(1993)年までの間にワイドドア車を含めて,合計196両が製造されました。なお,ワイドドア車は千代田線直通の対象外です。

 車体は軽量ステンレスが採用され,制御方式はGTOサイリスタを用いたVVVFインバータ制御が採用されました。運転台とブレーキハンドルは他形式との分割併合を考慮して,ツーハンドルで従来通りの電磁直通ブレーキが採用されました。

 前面デザインは9000形をベースに,前照灯と尾灯を角形にして一つのライトケースに納めることで,よりカッコ良いデザインになりました。

 1000形就役時の地下鉄千代田線直通列車も9000形登場当時と変わらず,朝夕中心の12本程度でした。

 平成12(2000)年12月のダイヤ改正にて,千代田線直通の準急が増便されることになりました。

 この改正では,平日の日中時間帯及び休日の準急を30分に1本運行されていた準急列車を,新宿~本厚木間運行から千代田線直通に立て替えて相模大野発着としました。朝夕のラッシュ時間帯は15~20分に1本,本厚木発着とされました。

 その後,平成14(2002)年3月のダイヤ改正にて「多摩急行」が登場。前回ダイヤ改正で相模大野発着とされていた千代田線直通準急の大半が「多摩急行」に立て替えられました。 

新百合ヶ丘駅を発車した1000形

地下鉄千代田線直通多摩急行  綾瀬行き

 

③ 4000形

 平成19(2007)年に登場した三代目の地下鉄千代田線直通車両です。

 この車両はJR東日本のE233系をベースに製造され,同社の常磐線(綾瀬~取手間)に直通するための準備もなされました。

 この車両では左手操作式のワンハンドルマスコンが採用され,電気指令式ブレーキも採用されました。制御方式はIGBT素子を用いたVVVFインバータ制御が採用されています。

 常磐線への直通は平成28(2016)年3月26日に開始されました。これと同時に常磐線からE233系が小田急線内まで直通することになりました。

 小田急の地下鉄千代田線直通列車は平成14(2002)年3月のダイヤ改正以来,「多摩急行」が主力となっていましたが,平成28(2016)年3月のダイヤ改正時にその大半が「急行」へ立て替えられました。

 平成30(2018)年3月のダイヤ改正では,「多摩急行」が廃止。この改正から千代田線直通列車の主な種別は「準急」に戻りました。

 千代田線直通列車の種別が変わっただけでなく,主な運行区間も変わりました。主に向ヶ丘遊園を発着するものとされました。土休日には成城学園前発着の列車も運行されました。

 また,本厚木方面から発着する列車は平日朝の上り列車で本厚木or海老名発の通勤準急急行になりました。平日の夜間には,本厚木発で千代田線直通の各停も運行されることになりました。 

 下り列車では,夜間に伊勢原行き急行準急が運行されました。 

海老名駅に入線する4000形

急行 小田原行き

 

④ 60000形「MSE」

 平成20(2008)年に登場した特急形電車です。分割併合運用を考慮して4両編成と6両編成が製造されました。

 JR御殿場線直通の「ふじさん」号から小田急線の「はこね」号,地下鉄千代田線直通の「メトロはこね」号,「メトロモーニングウェイ」号など,多種多様な運用に入る車両です。

 

 海老名駅を発車する60000形「MSE」

 「メトロモーニングウェイ」号 北千住行き