写真のない旅行記

カメラを持たずに旅した記録です。雑記も載せています。

38  札幌駅再開発への疑問

    昨日までは、札幌駅の「エスタ」の札幌駅再開発にともなう閉館を惜しむ記事を書いてきました。これは一生活者の感傷であり、同時に数年間不便になることへの嘆きであったのでした。

 

 ところが今日の報道記事に、エスタ跡の再開発の事業費が大幅に膨れ上がり、2028年度の完成予定もずれ込むのではないか、というものがありました。

 

 私は以前から北海道新幹線に疑念を呈してきたのですが、これらの記事を読んで、この再開発も無理があるのではないか、という考えに至りました。そもそもこの日本、人口減少社会ですし、高齢化で経済成長もさほど見込めません。それなのに、このような大規模再開発をして成功する見込みがあるのでしょうか?

 

 北海道では、札幌以外の都市で、駅前からのデパートやショッピングセンターの撤退のニュースが続いています。駅を中心とした街作りがうまく機能しなくなっているわけです。

 

 札幌だけは「一極集中」といわれ、その中でも札幌駅前は大通地区と肩を並べる商業中心地区に発展したのでしたが、本当に北海道新幹線開通で札幌駅前が現在よりさらに商業面で繁栄するのか、私は疑問ですし、もし札幌駅再開発が成功しても、それは地方からのストロー効果、それもかなり大きい副作用をもたらすだけではないか、と危惧しています。この施設が道内や札幌の他の地域から顧客を吸い取るだけになってしまうのではないでしょうか?

 

 私は建設業界の事情には疎いのですが、「人手不足」・「資材高騰」といわれるなか、再開発ビルの建設をまかなうだけの人員が確保できるのか、という疑問も持ちますし、それらをかき集めようとすると建設費に跳ね返ってくるでしょう。人手不足では工期も延びるでしょうね。

 

 これからの時代、何か新しいものをつくろうとするよりも、むしろ現在あるものを有効活用し、維持していくことの方が重要になってくるのではないかと思います。

 

 街を歩いていると、オリンピック招致、地下鉄延伸、北海道新幹線建設促進などといったポスターや垂れ幕が目につくのですが、私はこのいずれもに疑問があります。

 

 北海道に限らず、大阪でも万博をめぐって工事等の準備の遅れや費用の膨張が問題化しているようです。私はこの万博開催にも懐疑的ですが、こうした事業をあちこちで続けていては、今後、こうした問題が日本のあちこちで起こってくるのではないか、と思うのです。

 

 「後ろ向き」・「夢がない」と批判されるかもしれませんが、ここらが引き返しどきではないでしょうか?もうエスタ」の命は明日限りですが、まだ建物は残っています。でも多くの事業は走り始めていますから、取り壊しを止めることはできないでしょうね。いいのかなあ、と思いつつ、それでも新しい施設が早くできて、うまくいくことを祈らざるを得ません。破綻したら、それはそれで大変困りますからね。