紀勢本線のこんな穏やかな湾の沿線風景は清々しいです。海岸に降りて行って堪能したいところですが、オーシャンアローで軽やかに通過していくばかりです。
でも、実際に別の機会で降りて現地を訪ねても、思い焦がれるような景色でもなく、手持無沙汰になる…といったことがままあります。物理的に手が届かないから滋味がある…ということにしておきます。
18:37 串本駅着、停車時間は数十秒…ホームに降りて車外から撮影出来るような余裕ある時間の途中停車駅はほとんど無く、かろうじて白浜駅での7分停車しかありません。
日没です。時刻は19時過ぎ。
暗くなると景色は楽しめなくなります…
グリーン車には他の乗客はおらず、好きな席へと移動出来ました。
ただ、食堂車はおろか車内販売も無く、夜間は景色も楽しめず、窓の外を見ようとしてもガラスに映る見たくもない自分の間抜け面。黒々とした海と茂みを背景に時々街灯の灯りが通り過ぎるだけ…
天王寺 21:47着。終点の新大阪へはあと20分ほど。
終着 新大阪到着。時刻は22:06。
ようやく車外からオーシャンアローの流麗な姿を撮影出来たのでした。
名古屋を13時に出ての紀伊半島経由で新大阪へ22時…9時間。まさに「阿呆列車」です。新幹線「のぞみ」なら50分ですから。
近鉄のアーバンライナーや伊勢志摩ライナーなどと似たスタイルですが、オーシャンアローはオーシャンアローにしか見えないスタイルです。
イルカを模したデザインで、たしかにイルカのイメージをそのまま彷彿とさせるスマートで優し気なスタイルとカラーリングです。
ブロンズガラスやゴールドのアクセントラインも優等列車として意気込んであしらったものでしょう。連結器を隠してしまったのもデザインへのこだわりでしょう。
ヘッドライトケーシング周りのボディーの叩き出しのふくよかな3次元ラインがひと手間かけた嫌味の無いデザインです。この点はサンライズエクスプレスの285系も通じて好ましいです。そういう手間と費用を省こうとするのが昨今の車両デザインですから。
新制JR誕生前期の期待と挑戦意欲、国鉄イメージからの脱却、バブリーな背景があったのかもしれません。
新型新幹線の先頭車両の先端デザインは複雑で流麗な美しいラインを描きますが…空力設計上必要だったから。