南海電気鉄道では、関西空港への割引切符を大幅に縮小することになった。
運賃値上げと同じタイミングだ。
 

 

  京都アクセスきっぷなど大幅に廃止

南海は今年10月1日付で普通運賃を値上げする。乗客の減少や自動運転の導入などへの投資のためだ。

 

この際、難波駅乗り換え、阪急に関しては堺筋線天下茶屋駅乗り換えでリーズナブルに関西空港へアクセスするきっぷが廃止されることになってしまう。

 

・OsakaMetro各駅と関空を1020円で乗れる「関空ちかトクきっぷ」

・天下茶屋乗り換えで1250円で京都へ向かえる「京都アクセスきっぷ」(阪急では関空アクセスきっぷ)

・なんば乗り換えで1150円で神戸へ向かう「神戸アクセスきっぷ」(阪神は関空アクセスきっぷ(阪神版))

・関西空港駅から近鉄奈良駅への往復または片道乗車券「奈良アクセスきっぷ」(近鉄では発売しない)

などがそれぞれ販売を終了する。いずれも9月30日まで発売し、1か月後の有効期間まで使える。

 

 

この結果、関空から京都河原町へは、値上げ後の970円(関西空港~天下茶屋間)+700円(天下茶屋~京都河原町間)の合計1670円に値上がりする。

※230円の加算運賃込み。

参考までに大阪空港駅(伊丹空港)から京都河原町駅は南茨木乗り換えで770円。伊丹空港は先日の強風でも遅延が発生するような状態なのに、利便性の高さを主張する人がいるのも仕方ない。

 

 

それでも、国際線が現状飛んでいるのは関西国際空港だけ。

いまは外国人観光客も多く戻ってきているうえ、仮に510円払ってラピートに乗っても、「はるか」やリムジンバスより安い。京都へのリムジンバスは日帰りなら往復3600円で乗れるものの、そうでなければ片道2800円、往復4600円と高価だ。「はるか」もチケットレス特急券とICOCAや切符を足して2760円だ。


  京都アクセスきっぷについて

そんな「京都アクセスきっぷ」「関空アクセスきっぷ」は、2010年ごろに発売開始された。ルートは関西空港駅~天下茶屋駅乗り換え~(Osaka Metro堺筋線)~淡路駅~京都河原町駅。

発売場所は「京都アクセスきっぷ」が関西空港駅、「関空アクセスきっぷ」が淡路駅、北千里駅、茨木市駅、高槻市駅、桂駅、京都河原町駅「ごあんないカウンター」と烏丸駅である。

 

1枚の切符のようだけど、実際は天下茶屋駅で改札を出るため、京都河原町駅~天下茶屋駅間の阪急・大阪地下鉄の回数券と天下茶屋駅~関西空港駅間の回数券が入った袋を渡される。

 

 

当初は1200円だった。かつては300円で特急ラピートに乗れる特典もあったが、休日朝の空港行きなど「ラピート」に満席が出るほど観光客が増加したため特典はなくなった。勿論、510円追加で払えば乗れる。

 

image

▲京成・成田空港行きの本線特急。東京都心から同空港へ最も安い電車だが、値上げ後の南海で大阪都心へ行くほうが安い。

 

「関空アクセスきっぷ」は京都河原町駅より大阪側から乗る場合は割高になってしまい、阪急の企画乗車券は券売機では買えないという手間もあった。それでも、Pitapaなどで乗るよりは安いので「関空アクセスきっぷ」を買える主要駅からは利用されていた。わたし自身も何度か利用した。

 

リムジンバスやはるかと違い、乗り換えもある。それでも、休日は遅いとはいえ「堺筋準急」が天下茶屋駅から大阪都心を通って京都河原町駅へ向かうので乗り換えは1度でいい。通勤客しかおらず、休日の利用が少なかった堺筋線に多くの観光客を見るようになった。

 

2010年頃よりこのルートの観光客が増えたので堺筋線ルートの認知度が上がったというのも廃止理由かもしれない。

他の切符はどうなるの?

 

関空トク割ラピートきっぷは1290円から1350円(スマホ購入のデジタル版は1200円から1300円)に値上げして残る。また、高野山・世界遺産きっぷ、南海フェリーがセットの「好きっぷ」など関空以外のオトクなきっぷについても値上げして残る。