2016年4月の熊本地震で被災した第三セクター、南阿蘇鉄道。7月15日に7年3か月ぶりに全線(17.7㌔)で運転を再開しました。地域住民や観光客が待ちわびたその復活は、ニュースなどでも大きく取り上げられました。祝賀ムードが残る中、不通になっていた中松ー立野間(10.6㌔)にある長陽駅(熊本県南阿蘇村)を訪ねました。

 

 

阿蘇の外輪山と木々に囲まれた長陽駅は、とてものどかで心地良い空間です

 

 

 

南阿蘇鉄道の長陽駅は、JR豊肥本線と接続する立野駅の隣で、前身の高森線が1928(昭和3)年に開業した時からの木造駅舎が地域によって守られています。懐かしいムードを醸し出すこの空間を地域振興につなげようと、週末にはカフェ「久永屋」が営業。訪問時は平日でお休みでしたが、シフォンケーキが楽しめるようです。

 

 

 

高森線開業時以来の長陽駅の木造駅舎は、懐かしさが漂います

 

 

 

「おかえりなさい」「ずっと待ってたよ」。駅舎には南阿蘇鉄道の全線運転再開を祝う沿線住民やファンの寄せ書き、花などが飾られていて、祝賀の余韻が残っていました。

 

「交通インフラの復旧で観光のお客さまが戻り、コロナ禍の落ち着きもあって外国からの訪問も増えています」。私が泊まった旅館の方もうれしそうに話されていました。南阿蘇鉄道の全線再開は、震災からの復興を一層印象付けているようです。

 

 

駅舎に飾られた沿線住民やファンの寄せ書き。熱い思いが伝わってきます

 

 

 

駅舎内には全線再開を祝う花が飾られていて、7月15日の余韻が感じられました

 

 

 

しばらくすると、立野行き普通列車がやって来ました。夏休み中とあって乗客は家族連れが多く、下車したハイキング中の子どもたちはレトロな駅舎を眺めながら休憩。長陽駅はかつて阿蘇登山口としてにぎわっていたようで、往時の雰囲気が伝わってきました。

 

 

 

南阿蘇鉄道の新鋭、MT-4000形には全線再開を祝うヘッドマークが取り付けられていました

 

 

復興への希望と決意が感じられる、車体に書かれた「Reconstructed in 2023」

 

 

 

全線再開初日、住民や鉄道ファンらでにぎわう様子はテレビで見ていましたが、実際に訪れてみて鉄道が地域振興の核になることを改めて感じました。輝きを取り戻した南阿蘇の鉄路、開業100周年に向けてこれからも盛り上がりを見せそうです。

 

 

 

 

※姉妹ブログでは、昭和50年代の阿蘇観光の思い出を書いてみました