今回の【駅】コーナーは、
兵庫県中部の西脇市北部、ウルフルズのトータス松本さんの出身地である旧・黒田庄町北寄りに広がる農村地帯に位置する加古川線の駅で、最近になって駅舎が老朽化のため解体されてしまった、
本黒田駅 (ほんくろだえき。Hon-Kuroda Station) です。
尚、写真は2018年訪問時のもので、現在は駅舎が解体されるなど変化が生じています。ご了承下さい。
駅名
本黒田駅 (駅番号なし)
所在地
兵庫県西脇市 (旧・多可郡黒田庄町)
乗車可能路線
JR西日本：加古川線
隣の駅
加古川方……黒田庄駅
谷川方………船町口駅
訪問・撮影時
2018年3月
本黒田駅は地平駅で、西側に駅舎があります。
西側に駅舎や出入口はありませんが、駅の約170m北または約430m南にある踏切を渡れば西側からアクセス可能です。
2018年訪問時点で、1924年の開業時以来の小さな木造駅舎を有していましたが、2年後の2020年に解体され、跡地には屋根付きでオープン構造の待合所が建てられました。その際、駅舎両側にあった植え込みも撤去されています。
駅舎出入口は段差がなく、また改札口とホームの間の段差は階段およびスロープで解消されているため、本黒田駅は2018年の時点でバリアフリーに対応しており、それは今も変わりありません。点字ブロックはホームおよび階段・スロープ部分しか設置されていませんでしたが、駅舎解体後は待合所前(出入口部分)まで延伸されています。トイレは以前あったそうですが、2018年時点で存在していませんでした。
駅舎出入口部分には公衆電話(電話ボックス)が設置されていましたが、駅舎解体を前に撤去されたそうです。
尚、駅前広場はありませんが、駅舎前に若干広いスペースがあります。しかし、右側に無料駐輪場があるのみで、自動車での送迎は可能だったものの未舗装の場所に車を回す必要がありました。
今は駅舎が解体された結果駅前のスペースが増加して、バックが必要ですが舗装部分のみでの自動車送迎が可能になりました。
ちなみにバス停留所は約120m北東の県道294号線沿いに設けられていて(本黒田駅前停留所)、終着のバス停であるため転回スペースが併設されています。
写真は3枚とも西方向を望む。
駅前です。東方向を望む。駅前通りは狭いです。
駅周辺は「本黒田」だけあり、大きな集落が形成されていますが、駅前にも田畑が見られます。商店は少ないですが、昔はもう少し多かったと思われます。
写真奥の突き当たりの右側に本黒田簡易郵便局があり、約400m南に西脇市立黒田庄中学校が、約1.8km東の妙見山および白山の山麓には荘厳寺があります。
一方、駅裏に相当する西側は田畑が主体で民家が少なく、工場や倉庫が目立つ程度ですが、農村地帯の西側を流れる加古川の対岸を国道175号線が南北方向に延びており、国道沿いを中心に商店が点在しています。ローソン(コンビニ)、エーコープ(スーパー)、キリン堂(ドラッグストア)があり、大山記念病院や西脇市立桜丘小学校もあります。いずれも駅北側で加古川を渡る橋の西側、駅から600m～1kmの範囲にあります。
今は解体された駅舎内の様子です。上写真は西方向を、下写真は南方向を望む。
本黒田駅は無人駅で、車内収受方式(車内精算方式)が採用されています。国鉄時代は有人駅で、通路左側には窓口があったと思われる形跡が見られますが、今は板で塞がれた感じです(下写真)。
無人化後の駅舎は実質的に待合室として使用されており、右側にはベンチが設置されていました。窓口跡には時刻表が、出入口の上には運賃表が、それぞれ掲示されています。
改札口跡はラッチが撤去され、車いすが通行可能な幅です。また、点字ブロックはホーム側にしか設置されていませんでした。自動改札機は存在しません。
尚、加古川線の西脇市～谷川間は『ICOCA』のエリア外なので、当然ながらICカード簡易改札機も設置されていません。また、『ICOCA』エリア内から本黒田駅へお越しの場合は必ず乗車前に紙のきっぷを購入して下さい。もしICカードで当駅まで乗り越してしまうと、下車時に乗車駅から本黒田駅まで全区間の運賃が現金精算になってしまいます。
当駅には自動券売機もありませんので、きっぷをお持ちでない場合は乗車時に車内の整理券を受け取った上で、下車駅、車掌乗務列車、途中の主要駅で精算して下さい。また、当駅は車内精算が徹底しているのか、改札口部分にきっぷ回収箱が存在しません。
トイレは駅構内にありませんのでご注意下さい。
そして駅舎を出るとホームですが、段差があります。階段(正面)とスロープ(左側)で繋がっており、本黒田駅は当時からバリアフリーに対応していました。今も変わりなくバリアフリー化されています。
尚、駅および駅前に売店・コンビニはありません(駅前に商店は存在します)。最寄りのコンビニは約850m北西(加古川対岸の国道175号沿い)にある「ローソン」になります。
建植式駅名標です。電照式ではありませんが、反射材が使用されています。
JR西日本の標準デザインで、都市部のアーバンネットワーク区間と同じく横長のタイプですが、支柱の位置が両端ではなく奥です。
下部は加古川線のラインカラーである青緑に塗られています。
尚、加古川線に駅ナンバリングは導入されていません。
本黒田駅は単式ホーム1面1線の地平構造で、概ね南北方向にホームが延びています。
かつては右側にホームがあり相対式ホーム2面2線でしたが、おそらく国鉄時代に右側ホームが使用停止となり、石積みの土台が残っているものの床面には草木が生い茂っており、自然に還りつつあります。桜の木も交じっており、春はホーム跡に桜の花が咲き誇ります。
また、右側ホームに面した線路敷の跡地はレールが撤去されて空いていますが、電化の際に線路敷部分に架線柱が設置されたため、交換設備復活となると架線柱の移設が必要になり、まぁ当該区間(西脇市～谷川)の利用が低迷していることからも復活することはないでしょうね…。ちなみに両ホームは加古川方の端(奥)に設置されていた構内踏切で結ばれていたと思われますが、谷川方(後方)に構内踏切があったと推測します。
ちなみに、本黒田駅に貨物側線が存在したかどうか不明ですが、谷川方または加古川方ホーム左側に、駅舎前で行き止まりの側線があった可能性はあります。
棒線化された現在は番線が設定されておらず、下り谷川方面、上り西脇市・加古川方面とも同じホームに発着しますので、列車本数が少ないこともあり乗り間違いに要注意です。
ホーム有効長は3両分ですが、嵩上げされているのは谷川方(手前側)の2両分のみです。ホーム幅は全体的に結構狭く、後に延伸されたと思われる加古川方の端(奥)は特に狭くなっています。
上屋はホーム谷川寄り、駅舎に面した一部の範囲しか設置されておらず、しかも線路際まで届いていないため、雨天時の乗降は注意が必要です。
また、ベンチはホーム上にはありません。駅舎内(今は駅出入口)にあるベンチをご利用下さい。
写真は2枚とも加古川方を望む。
2枚とも谷川方を望む。
上写真の加古川方の端はホーム幅が非常に狭く、嵩上げされていません。ホーム幅が広くなった先、安全確認ミラー付近より前方が嵩上げされています。
左側にはホーム跡が確認できます。また、レールが撤去された線路敷の跡には42キロポストがあります。
また、右側には駅舎前で行き止まりの貨物側線が存在した可能性があります。
加古川方を望む。
ホーム端の先に通称「勝手踏切」があり、駅南側は正式な踏切まで遠いことから、この勝手踏切で日常的に線路を渡る人が多いようです。
前方の用地を見ると左側(駅舎側)に側線があった可能性を感じます。
この先、山あいの農村地帯を南下し、やがて大きな住宅地の中に入ると黒田庄駅へと至ります。
谷川方を望む。
こちらも右側(駅舎側)の用地を見ると側線があったかも……と思ってしまいます。
この先、右へカーブして加古川のほとりに広がる農村風景の中を北西へ走り、やがて右から山地が、左から加古川が迫って狭い所を走るようになると、船町口駅へと至ります。
あとがき
私が本黒田駅で下車(乗車)したのは2018年の1度きりです。兵庫県の全駅を訪問する目的の一環で下車しました(2019年7月全駅制覇済)。当初は2面2線でしたが、非電化時代に棒線化され、ホーム跡は自然に還りつつあります。2018年当時は古くて小さい駅舎がありましたが、2020年に撤去されて簡素な待合所(オープン構造)のみになってしまいました。駅前は住宅地で、田園が混在しています。やや離れた西側には路線名の由来となった加古川が流れています。
東京からですと東海道・山陽新幹線で新大阪駅まで行き、JR神戸線の新快速に乗車して加古川駅へ。新幹線で西明石駅まで行って在来線に乗り換えてもOKです。そして加古川駅から加古川線の西脇市行きに乗車して西脇市駅で下車し、さらに谷川行きに乗り継いで当駅下車です(谷川行きの場合は加古川駅から乗換なしで到達可能)。厄神行きまたは粟生行きには乗らないで下さい。尚、西脇市～谷川間は本数が非常に少ないため、ダイヤ次第では新大阪から福知山線経由で谷川駅から加古川線に入った方が早く到着する場合もあります。若干タイトな日程になりますが、日帰り訪問可能です。
一方、大阪からですと大阪駅からJR神戸線の新快速で加古川駅まで行き、以降は上記と同じルートで到達できます。あるいはJR宝塚線～福知山線で谷川駅まで行き、加古川線に乗り換えてもOKです(谷川駅に停車する特急『こうのとり』は少ないのでご注意下さい)。余裕で日帰り訪問可能です。
食料・飲料について、駅前にコンビニや気軽に入れる商店・飲食店はありません(約150m南に商店が1軒あります)。最寄りのスーパーは約650m北西、加古川の対岸にある「A・COOP」、最寄りのコンビニは約850m北西、こちらも加古川の対岸にある「ローソン」です。まぁ事前に用意しておいた方が無難です。
東京からの到達難易度はやや高いですが、加古川線を乗り鉄の際は、ぜひ一度は本黒田駅でも途中下車してみて下さい！
(参考：さいきの駅舎訪問、Google地図、Wikipedia)