運転士が幻惑される? 運転室に高校生が侵入できた訳【ゆっくり運転士の鉄道ニュース】

鉄道ニュース

はじめに

なぜ高校生が運転席に入れたのか?
なぜ気付けなかったのか?
実際の現場の温度感を解説します。
それでは出発進行。

ニュースを引用

ニュースを引用
まずはニュース記事を引用します。
読売新聞オンラインより引用です。

電車の乗務員室に不法に侵入したとして、警視庁昭島署が東京都内に住む男子高校生を鉄道営業法違反の非行事実で東京家裁立川支部に書類送致していたことが捜査関係者への取材でわかった。
男子高校生は1月26日、JR八高線拝島駅で、JRのグループ会社員を名乗って乗務員室に侵入。
スーツ姿で、自作したJR東社員の名札を付けており、運転士は社員と勘違いして「乗りますか」と声をかけたという。
約30分後に東飯能駅で降りるまで運転士2人と雑談するなどしていたが、運転士らは部外者と気づかなかった。
同駅でさらに別の電車の乗務員室に乗り込もうとした際、運転士が不審に思って呼び止め発覚した。

高校生が電車の乗務員室に侵入、自作の名札付け運転士と雑談…JRグループ社員を名乗る : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

添乗って?

このニュースを聞いて率直な感想は、私も気付かないやろうなぁって思ってしまいました。
仮に違和感を抱いたとしてもその場で指摘できるかと言われればそれも難しいやろうなぁと思ってしまいます。
その訳を順を追ってお話ししたいと思います。
さて電車の1番前には運転士さんが乗っている。
皆さんの共通認識だと思いますが時には運転士とは別の誰かが乗っている場合があります。
誰が乗っているのかや乗っている訳は色々ありますが、運転士以外の人が運転席に乗り込むことを添乗と言います。
では主に添乗する人を解説します。

運転士以外に乗っている人を添乗者といいます

制服を着た人

制服を着た人が添乗する場合で一番多いのは乗務区の助役です。
運転士の勤務態度を確認するために乗ってくることが多いですね。
他には駅の助役の場合もあります。
駅の助役は自身が担当する管内の駅の見回りの為に移動するときに乗ってきたり、駅間でトラブルがあって現場に急行するときに乗ってくることがあります。
あとは本社の人間
どこかの駅に用事があって移動するときに乗ってきます。
基本的には車内に乗ることが多いのですが、場合によっては運転席に乗ってくる面倒くさい存在です。

制服で一番多いのは列車区の助役です

作業着を着た人

制服の次に多いのは作業着を来た人です。
電車の前面展望を見ていると軌道、電路、信号など様々な設備があると思います。
これらの設備はそれぞれの係員が日々保守点検しているわけですが、これらの点検を行うための1つの方法として、電車の1番前に乗って確認することがあります。
電車に乗って点検できるのと思われるかも知れませんが、何日おきに電車に添乗して点検しなさいとルールが決められています。
あとは車両関係の係員が乗ることもあります。
時として電車に不具合が発生するときがあります。
そんな時電車を回送にして運転取りやめにするにしても、そのまま旅客電車として走らせるにしても、何かあったときにすぐに対処できるように電車の日常点検を担当する係員が念の為添乗することがあります。

作業着を北着た技術係員が乗ってくることもあります

スーツを着た人

制服や作業着を着た人以外でかなりのレアケースとしてスーツを来た人が乗ってくるときがあります。
基本的に本社の人も制服を着て仕事をしていますが、場合によってはスーツを着て仕事をしている場合があり、その時に電車に乗って移動するときがあります。
あとはグループ会社の人が何らかの確認のため乗ってくることもあります。

たまーにスーツを着た人が乗ってくることも…

添乗の流儀

いかなる人であれ電車に添乗する場合にはルールがあってこれを守る必要があります。
まず名札など社員であることが分かるものと、添乗と書かれた腕章を身につける必要があります。

添乗時は名札と腕章がセットです

そして電車に乗り込んだときは、運転士に対してどこに所属する誰なのかと言うことと行き先を告げなくてはいけません。
とまぁこんな感じでルールが決まっているわけですが、現実はルール通りかと言われればそうとも言えません。
腕章を巻かずに乗ってくる人もいますし、その場合私みたいなペーペーが「お前乗せられへんから降りろ」とは口が裂けても言えませんww
さらに所属と名前を言わずに行き先だけ告げる人もいてますし、仮に名前を言われたところで本当に本社の人間とか、技術部門の係員であるとか確かめようがありません。
顔馴染みの人なら良いんですけど、知らない人が乗ってくるなんて日常茶飯事です。
なんか社員ぽい雰囲気を醸し出しながら乗せてって声をかけられるか、なんとなく乗せて欲しそうな雰囲気でこっちに向かって来たら乗りますかって声をかけて乗って貰う。
いつもこんな感じの温度感ですね。
今回の事件は運転士自らが乗りますかと声をかけて世間話をしていたとあるので、あるあるって感じですね。
喋るのが好きな人は添乗者に一生喋りかけてますからねww
とまぁ個人的には騙されるのもしゃあないなぐらいの温度感ですが、世間の声では腕章を確認してないのは怠慢やとの大合唱です。
ただ実際の現場レベルではそこまで見てないので騙されるっていうのが現実ですね…
自分自身も騙されないようにします。

裏話

添乗を受けても苦にならないって人もいてるのですが、私は添乗を受けるのはめちゃくちゃ嫌いなんですよね…
1人の空間で機嫌よく仕事してるのに邪魔されるのが嫌ですし、小言言う人ならそれだけで気分が滅入るじゃないですか…
なのでホームに誰か立ってて乗ってこようとしているのが見えたら「うわ~最悪や乗ってくんなよ」ってまぁまぁデカい一人ごとを言っちゃってますねww

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