西武新宿線:NRAの後継は、片開き4扉リクライニングシート車を導入せよ!

西武新宿線の特急小江戸号で使用されている10000系NRA(ニューレッドアロー)は、登場から今年で30年。そろそろ新型車両へ置き換えても良い時期だが、コロナ禍前の2019年に中期経営計画で更新検討とされて以降、音沙汰なし。先日の株主総会で話題になったとも聞くが、そんなNRAの後継車両について考えてみたい。

1) 利用状況
一言で言えば、朝晩満席で昼ガラガラ。
通勤ライナー的な性格が強い列車だが、小江戸こと川越方面の観光需要を掘り起こす営業施策的な側面もある。朝晩満席といっても、池袋発車の30分前には満席になる夕方の池袋線特急と異なり、席を選ばなければ西武新宿発車間際でも買える状態。コロナ禍のピークだった3年前は高田馬場発車時点でも空席が目立った。

2) LC車導入の可能性
ネット上では、NRAの後継車両としてTJライナーや拝島ライナーのようなLC車を導入してはどうか?という意見があるが、個人的には反対。
一見合理的で実現可能性が高いようにも思えるが、朝晩の利用客にとってはリクライニングシートの特急車両から大幅グレードダウンで、西武鉄道にとっては特急料金からLC車の座席指定料金に変わることで減収となる。顧客満足度を低下させ、売上(単価)を減らすために投資(40000系LC車増備)するのは愚策という他ない。

3) 昼間の快適乗車ニーズ
LC車導入は、日中の快適乗車のニーズを完全に無視しているのも問題だ。
新宿線は競合する他の路線に比べて遠回りで、都心アクセスも悪い(西武新宿・高田馬場)。
一方で、運賃は廉価で、特急ならそれなりに快適。例えば新宿から山手線で池袋に出て、東上線の急行で川越に行くと648円かかるが、西武新宿〜本川越間は513円と135円安く済む。リクライニングシートにゆったり座れることを考えれば、西武新宿の立地の不利を差し引いても悪い選択ではない。これは新宿〜所沢間で池袋線経由と新宿線を比較しても同様のことが言える。つまり、NRAの特急料金さえなければ、良い勝負になる。

4) 上記を踏まえたNRA後継車両像
・朝晩は有料列車(特急)、昼間は一般列車(急行)として合理的に運用
・LC車ではなく、NRAと同等の快適性を有する車両
・昼間の快適乗車ニーズを満たし、観光需要にも対応する車両

5) 私案
結論としては、表題の「片開き4扉リクライニングシート車」が最適と考える。
詳細は以下の通り。
・愛称「レッドアロー」
朝晩は特急レッドアロー号、昼間は急行レッドアロー号として運用。
知名度の高い既存の愛称を踏襲することで、快適なイメージを想起させる。

・片開き4扉リクライニングシート
4扉としたのは、昼間の急行運用時の乗降性とホームドア対応のため。
片開きとすることで客室スペースと側面窓を広く取り、リクライニングシートで快適性を確保。
特急としての快適性と急行運用時の乗降性を両立させる。
JR東海373系を4ドアにしたようなイメージ)

リクライニングシートは急行としてはオーバースペックだが、競合路線への対抗として「昼間の急行レッドアロー号は、特急車両に乗車券のみで乗れる快適列車」のイメージを打ち出す。西武新宿は不便だし新宿線は時間がかかるけれども、車両は快適で安いとなれば一定の需要が期待できよう。とくに外国人観光客には、西武新宿直結の新宿プリンスホテルに宿泊して翌日川越観光といったプランも考えられる。

・車両新造数:80両(10両編成8本)
内訳は通常運用7編成、予備車1編成。

昼間の急行は西武新宿〜本川越間約55分(特急待避がなくなるため所要時間短縮)、西武新宿・本川越両駅の折り返し時分入れて往復140分。毎時3本として7運用。

朝晩は本川越発着5運用、拝島発着2運用。
現行の小江戸号は最大4運用だが、下り新所沢〜本川越間各停として1運用増。
拝島ライナーは特急レッドアロー号に格上げ(停車駅は現行と同一)。40000系LC車は池袋線へ転属。
池袋線へ転属する40000系LC車の用途は、後日別の記事に記載予定)
予備車1本を除く7編成を終日フル活用することで、車両の運用効率を高める。

・朝晩の特急料金:500円均一
来月の料金改定で特急料金と拝島ライナーの座席指定料金は値上げとなる一方、S-TRAINは据え置きと発表された。
池袋線特急と異なる料金体系を許容するのであれば、下り拝島行きは小平から、本川越行きは新所沢から各停でフリー区間とする代わりに、NRAの所沢までと同一料金(2023年7月以降)で良いのではないかと思う。
拝島方面は特急化でさらに値上げとなるが、現在の利用状況や車両設備のグレードアップで利用客からは一定の理解が得られよう。西武鉄道にとっては増収となる。

・デザインコンセプトは、小江戸をイメージした和風デザイン
(リビングのようにくつろげる特急車両のラビューに対して、茶室のようなイメージ)
・座席にはインアームテーブル装備
・30000系以来の幅広車体で通路幅を確保(乗降性向上)

以上が西武新宿線NRA後継車両の私案です。
ご意見、ご感想など、お気軽にコメント頂けますと幸いです。