月組公演 月の燈影 | 続アメマのおとしもの

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2023年6月14日~6月25日 宝塚バウホール・月組公演

●バウ・ミュージカル「月の燈影」 作・演出/大野拓史

 

江戸時代後期、市街拡大により「江戸」に加えられて間もない、欲望渦巻く危険な新興地だった大川の東岸を舞台とし、再会した幼馴染の幸蔵と次郎吉の友情を軸に、そこで生きる人々の哀感を描いた作品で、2002年に花組の彩吹真央、蘭寿とむで初演。

星組大劇場公演、月組東急公演が中止や延期となる中で、バウは通常通りに公演開始で一安心。

 

6月20日11時30分公演、10列目で観劇。

※ネタバレ注意。

初演時も生で見たものの紫陽花以外に印象があまりなくて、改めてDVDを見直したんですが「こんな話やったんや・・・」(笑) 粋な江戸物でそれぞれのキャラはカッコよく作ってあるし、大野氏のこだわりも感じられますが、芯となる話が幼馴染の再会で、そこに並行する話や過去の話に出てくる役の設定が、イマイチよく分からないのがあってゴチャゴチャした話だなと。最後は泣かせになりますが、お決まりな感じですかね。

それにヒロインが主役の相手役でないのも、なんだかなぁ~です。

この若手メンバーで大野氏の和物はかなりハードルが高いと思います。そこに専科や新組長も加えて、若手主体の公演の芝居に厚みを出そうとしてますが、その差が激しくてバランスが悪いです。しかもハッチさんや、新組長は台詞はええけど動きがかなり悪くなってるのが気になります。

やっぱり私は大野作品は苦手だわ・・・。

 

バウ初主演の礼華はるは、川向うの博打打ち幸蔵。

ビジュアルはカッコいいんやけど、やはり歌が弱い。動きはなかなかなモンだけに惜しいなと。まぁ初主演ですから仕方ないとはいえ、最初なんだからもっと合ったオリジナル作品の方が良かったと思います。幼馴染との再会に素直に感情を出せない葛藤や、幼馴染死んでしまうことで自分は何か変わることが出来るのか?という難しい感情表現が出来ていました。まさかのねずみ小僧でしたがね。

 

火消しで幸蔵の幼馴染の次郎吉を彩海せら

幸蔵と相反するキャラなので、明るくて元気でまだ幼い感じにしていました。小柄な分、それが際立っていましたね。歌も台詞も良かったと思いますが、この感じの役柄ばかりになりがちなので、なにか違ったキャラも見てみたい気がします。とにかく誰に対しても、何にたいしても次郎吉の一生懸命さがあって、感情移入してしまう役ですね。

 

ヒロインで芸者の喜の字を天紫珠李

弟をダシに地回りに引き抜かれようとする芸者で、気の強さだけでなく女性としての柔らかさもあったと思いますが、どうも私は天紫がここまでヒロインに多用されるのが謎でねぇ・・・。これが彩みちるならもっと艶やかに出来たと思うのですが、路線ではないのか? 

 

川向うを仕切る地回りの淀屋辰五郎を専科の夏美よう

台詞回しやそのビジュアルで地回り感は流石です。しかし最近の生徒のタッパがあるので、昔はそう思わなかったハッチさんがかなり小柄に見えて、存在感に欠けたかな。それと前述したように動きのキレがないなと。

淀屋の女房おゑんを新組長の梨花ますみ

何故に今の学年で組長に再就任なのか?まぁ最近の生徒は管理職にさせてもすぐ辞めますからね。梨花組長もハッチさん同様に、もう動きがやはりね。

火消しの頭の丑右衛門を専科の悠真倫

やはりこれぐらいの学年の専科だと動けますわな。台詞も説得力があります。多くは語らずとも、何もかもお見通しという大きさがありました。

 

あと若手も健闘してましたが、和物の芝居らしさがなかった。

唯一芸者の蝶之助役の妃純凜が艶があって、声のトーンも良くて踊りの所作がめちゃくちゃ綺麗だったなぁ。

 

 

見終わって、なんか消化不良な作品でした。