前回までスルーガーダーの製作を続けてきましたが、形状に不満が募り、トラフガーダーに架け替えました。
スルーガーダーは、下図のように、枕木の下に縦桁と横桁があり、枕木の下が厚くなるものです。
ところが、私の作ったものは、下写真のように、縦桁と横桁を平面的に表現しており、厚みがありません。桁下の有効高を確保するために、こんな形にしてしまいましたが、時が過ぎるにつれ不満が募ってきました。
本来なら、桁下に余裕がない場合、スルーガーダーではなく、主桁の高さを低くできるトラフガーダーを選ぶべきです。
昭和の終わり頃からは、鋼床版直結軌条など、新たな工法も出てきたようですが、川正線の時代(昭和40年代初頭)は、トラフガーダーが普通だったと思います。
ベテランモデラーの方は、レイアウトテクニックに掲載された記事を思い出されるでしょう。
トラフガーダーは、下図1のように、主桁に挟まれた横桁の上に、枕木を介さずにレールを取り付けます。主桁と横桁の構造は下図2のとおりです。
この構造がよくわかる事例が、伊豆箱根鉄道の三島広小路駅のすぐ北側にあります。
こう書くと、いかにも自分で見つけたようですが、Nゲージでは、TOMIXがトラフガーダーを製品化しており、鉄道ホビダスが製品紹介と合わせて、実例を紹介していました。
さて、こんな構造のトラフガーダーですから、カーブ区間には設置できないと思われます。
このため、カーブ区間に橋を架けたかった私は、トラフガーダーを選ばずに、無理な形状のスルーガーダーを採用したのです。
ところが、あるサイトで、ゆるやかなカーブに架けられたトラフガーダーを見つけました!
近江鉄道が貴生川駅に入る直前です。
ストリートビューではカーブの状況は確認できませんが、トラフガーダー独特の主桁の薄さをご覧ください。
このカーブは、とてもゆったりしているので、幅の狭い横桁でも吸収できたようです。
これに対し、私のレイアウトは急曲線ですが、距離が短いので何とかなるかもしれません。
こうなると、一気呵成にトラフガーダーを作り上げたいところですが、そう簡単にはいきません。
最初に掲げた伊豆箱根鉄道のようなタイプが、標準的なトラフガーダーのようです。これを作ろうとすると、枕木を撤去しなければなりません。でも、そうするとゲージが狂う恐れがあり、できれば避けたいところです。
どこかに作りやすい実例はないものかと、Google mapを探してみると・・、見つけました!
身延線の稲子駅と十島駅の間にある小さなトラフガーダーです。
これなら作れそうです。
さっそく図面を書いて作った部材がコレ、材料は紙です。
左に見えるのが主桁の下部、右の3つが主桁の上部です。
スルーガーダーは赤さび色でしたが、こっちは水色に塗りました。
スルーガーダーを撤去し、架橋工事を始めます。
まず、枕木を水色に塗ります。これは枕木ではなく、横桁なのです。
前回と同じ工法で、主桁の下部を渡します。
次に、両脇の主桁上部を取り付けて・・
中央の主桁上部を取り付ける準備として、枕木の高さと同じ2ミリ角の角材を、枕木の間に接着します。
角材に木工ボンドを塗って、中央の主桁上部を固定したら、架橋工事の完了です。
自己満足ですが、スルーガーダーより現実感を感じます。
アップで撮ってみました。
上面とサイドのリベットがお分かりいただけるでしょうか?
サビの表現にも力を込めました。
主桁表面の表情を目立たせるために水色を選択しましたが、作者としては納得の出来栄えです。