鉄軌分界点とは何ぞや。すなわち鉄道事業法と軌道法の分かれ目のことである。意義は置いておいてどこにあるか見ていこう。令和4年4月1日現在の鉄軌道事業者から総当たりしていけば見つかる。
タイトルの答えは11か所です。ではいこう。
近鉄けいはんな線
長田駅起点5.1km(新石切から0.6km、生駒駅から5.1km)
長田ー鉄軌分界点が軌道、鉄軌分界点ー学研奈良登美ヶ丘が鉄道
富山地鉄
富山駅停留所起点1.2km奥田中学校前駅
富山駅ー奥田中学校前が軌道、奥田中学校前ー岩瀬浜が鉄道
福井鉄道
越前武生駅起点18.1km(赤十字前駅から0.3km、商工会議所前から0.3km)
越前武生ー鉄軌分界点が鉄道、鉄軌分界点ー田原町が軌道
ゆりかもめ
新橋駅起点2.2km日の出駅
新橋駅起点6.9kmお台場海浜公園駅
新橋駅起点9.2kmテレコムセンター駅
新橋駅起点11.3km東京ビッグサイト駅
新橋ー日の出が軌道、日の出ーお台場海浜公園は鉄道、お台場海浜公園ーテレコムセンターは軌道、テレコムセンターー東京ビッグサイトは鉄道、東京ビッグサイトー豊洲は軌道
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大阪市高速電気軌道
住之江公園駅起点0.6kmトレードセンター前駅
住之江公園駅起点1.3km中ふ頭駅
住之江公園駅起点4.0kmフェリーターミナル駅
コスモスクエアートレードセンター前は鉄道(大阪市高速電気軌道が第二種鉄道事業者、大阪港トランスポートシステムが第三種鉄道事業者)、トレードセンター前ー中ふ頭が軌道、中ふ頭ーフェリーターミナルが鉄道、フェリーターミナルー住之江公園が軌道
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※中ふ頭ートレードセンター前はOTSから大阪市交通局に譲受されている
北大阪急行
江坂駅起点7.2km(箕面船場阪大前から0.1km、箕面萱野から1.2km)
江坂ー鉄軌分界点が鉄道、鉄軌分界点ー箕面萱野が軌道
※上記鉄軌分界点の位置は鉄道要覧を参照し記載
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さて、なぜこのような区分が設けられているか。由来や細かい違いはともかくとして
軌道は「道路の上に」敷く
鉄道は「道路以外に」敷く ←ここの道路は「道路法上の道路」
のが原則となっている(互いに他の例外を特認できる規定がある)。
この違いがあることによって軌道法を適用すると高架の支柱などのインフラを道路の予算で作ることができる(北大阪急行の箕面船場阪大前ー箕面萱野は箕面市がインフラを整備する )。この場合、千里中央ー箕面船場阪大前間は北大阪急行が全て整備する。参考(運輸審議会の特許申請事案資料3) 参考(鉄軌道等導入課題検討詳細調査(平成27年度)第八章その1)

また、ニュートラムやゆりかもめは中量輸送交通機関で、原則軌道扱いであるが、港湾地区の道路に併設して建設された区間ついては鉄道事業法を適用させている。そのため、ゆりかもめやニュートラムは複雑な形態をとっている。

またOsaka Metroの各線区が鉄道事業法ではなく軌道法に適用されているために、「道路法による道路の地下に敷設する場合は軌道」となる。近鉄、地鉄、福井鉄道の例は以下の画像の考え方でよいだろう。
スクリーンショット 2023-02-28 030417
参考:(鉄軌道等導入課題検討詳細調査(平成27年度)第八章その1)