国鉄時代の1985(昭和60)年にデビューした205系。山手線を皮切りにJR移行後も増備が続きました。京浜東北・根岸線には89年と90年に10両編成計6本投入され、約6年間親しまれました。

 

 

京浜東北線の205系。山手線向けとほぼ同仕様でしたが、前面に追加された路線名表示部分と青24号の帯を巻いた姿が新鮮でした。私は覚えていないのですが、車内は吊手がライトブルーだったそうです=神田駅、1990年

 

 

 

京浜東北・根岸線は当時、国鉄通勤形電車の主力103系の牙城でした。205系は最大勢力時でもわずか6本だったのに対し、103系は次世代通勤形の試作形式901系が配置された92年ごろでも約10両編成74本の大所帯。そのため、なかなかやって来ない205系に当たったときはうれしかったものです。

 

 

91年には山手線の6扉車投入対応に伴う車両不足を補うため、第4編成が同線に「出張」するなどの活躍を見せました。ただ、901系が209系として量産されて京浜東北線に続々投入されると、3編成体制となった205系は一層中途半端な存在になりました。

 

 

写真の浦和電車区205系第4編成は、一時助っ人として山手線を走ったことでも知られています。同編成はその後、編成番号を2回改め、京浜東北線を撤退する際はヘッドマークが取り付けられました

 

 

 

京浜東北線を走った計60両の205系はその後、中央・総武緩行線や埼京線などに移って走り続けましたが、2020年までにほとんどが廃車。現在は南武支線用の1000番台に改造された4両が最後の活躍をしています。

 

 

この南武支線を走るクモハ205・204-1001、1002の4両は、元モハ205・204-279、282のユニット(京浜東北線では205系第1、2編成に組み込み)で、2002年に改造された車両です。京浜東北線で103系や209系に囲まれてやや存在感が薄かった205系が、姿を変えて長生きしているのは、鉄道車両の「人生」の不思議さを感じます。

 

 

もうすぐE127系に置き換えられるようですが、南武支線での20年間の活躍とともに、短かった京浜東北線時代も記憶にとどめておきたいと思います。

 

 

 

 

※姉妹ブログでは、昭和末期の新型だった頃の205系について書いています