18年~19年走行の特急車両なら別に活用する方法もあったのでは?
JR東日本は中央線特急「あずさ」の国鉄型電車置き換えにあたり、1993年から1996年にかけてE351系で基本8両+付属4両の12両編成を投入しましたが5編成、計60両にとどまりました。
「かいじ」全列車と「あずさ」の多くは2001年から2002年投入のE257系での置き換えとなりました。
基本9両+付属2両構成で、基本編成の16編成144両に対し、付属編成は5編成10両でした。
その後、2015年からはE353系が投入され、E351系は全廃、E257系も臨時列車のみとなり、E257系の中央線定期運用はなくなりました。
中央線定期運用をなくす際、JR東日本は付属編成2両5編成10両を2020年に全廃しました。
付属10両は全廃まで18年から19年しか経過しておらず、あまりに短い運用期間です。
私鉄や他のJRであったら何らかの活用法を考えたかとも思いますが、JR東日本は廃車を選択しました。
はたして付属編成に使い道はなかったでしょうか。
改造しての再活用よりも廃車の方が得策だったでしょうか。
E257系のほとんどは東海道線「踊り子」に転用されましたが基本9両編成のみであり、付属2両編成は転用しませんでした。
E257系での置き換え対象となった185系「踊り子」は、基本10両+付属5両の15両編成でした。
E257系充当により「踊り子」は9両編成または房総用の5両編成との14両編成となり、付属2両編成の出番はなくなりました。
中央線をはじめとする臨時列車としては、9両編成または房総用5両編成が担うことになりました。
E257系の失敗点は、付属編成2両のうち、基本編成併結側の2号車を簡易運転台にしたことです。
これが簡易運転台ではなく3号車と同じ、通常の貫通路付き運転台で新製していれば、簡易運転台よりも若干の定員減にはなりますが、少なくとも2両編成での単独運行は可能でした。
大糸線内単独での2両編成特急や全車指定席の快速など、活用できたのではないかと考えられます。
さらに付属編成2両2組で4両編成を組めば、他の特急とも遜色はありません。
4両編成の中間に運転台が2組もあるのは特急として好ましくないというのは、こだわり過ぎではないでしょうか。
また、5編成のうちの2編成を逆向きにして、簡易運転台同士を連結させ、4両編成1本と、6両編成1本を組成する方法もあったはずですが、連結回路や床下機器等の都合上、列車の向きを同じにすることが要件だったでしょうか。
その前にもう一つ別の活用選択肢はなかったでしょうか。
簡易運転台の正面顔のままで正規運転台に機器改造をしても、特急列車としての正面顔としては相応しくはないとしても、普通列車ならば国鉄時代の荷物電車の旅客車使用や、113系・115系への運転台取り付け車等で、E257系簡易運転台と類似した顔の事例はあります。
外観にこだわらず割り切ってもよかったのではないかと思います。
それをしなかったのは、リクライニングシートの車両をそのまま普通列車にはしたくないJR東日本の固執観念が感じられます。
もしも付属の全10両が私鉄車両だったなら、少なくとも廃車はもったいない、2両でも特急列車でなければそのままの顔でもよいとか、顔にこだわるなら列車の向きを変えて4両化して活用する発想をしたと思われます。
JR東日本も経年変化とともに発想を柔軟に変えていく必要があると考えます。
結果論ですが、E257系の中央線投入の際は、E353系同じ9両+3両、またはE351系のような8両+4両とし、付属編成の運転台を通常タイプにしておけば、E257系付属10両の廃車は発生していませんでした。
その付属3両または4両編成は中央線以外でも、篠ノ井線臨時特急「信州」、信越線「しらゆき」、房総、草津、東北・東武線特急、首都圏の臨時特急でも活躍できたはずです。
JR東日本には、今後の状況変化を想定した上で、中間車の運転台は簡易でなく通常のものでという、E257系付属編成18年廃車の教訓を今後に生かしてほしいと願っています。