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【日本一長いディーゼル特急】スーパーおき5号(鳥取〜新山口)乗車記[2305GW(5)]

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日本一長い時間走る在来線特急は、寝台特急サンライズ出雲号(東京〜出雲市)、次いでサンライズ瀬戸号(東京〜高松・琴平)です。

これらは夜通し走る寝台特急のため、ちょっとズルいかも。

 

という訳で昼行特急に絞った場合では、特急にちりんシーガイア5号(博多〜宮崎空港)になります。その運行時間は5時間48分、だいぶ運行時間が短縮されましたが、十分その長さを実感できる列車です。

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それでは電化されていない非電化特急「ディーゼル特急」ではどうでしょうか。

ディーゼル車に絞った場合、運行時間最長の特急。それか今回ご紹介する、「特急スーパーおき5号」です。

鳥取駅から新山口駅まで5時間27分、山陰本線と山口線を走ります。

 

 

これまで日本一長いディーゼル特急は、特急オホーツク3号(札幌〜網走)でした。

 

しかし、2023年春のダイヤ改正で283系が投入されたことで速度が向上、所要時間が5時間26分となり1分差でその座を譲ることになりました。

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5時間27分に及ぶ最長ディーゼル特急の旅、その長大行程をぜひお楽しみください。



特急スーパーおき5号の始発駅、鳥取駅に来ました。

鳥取県の県庁所在地で、その中心駅。1978年に高架化されており、山陽新幹線みを感じます。

 

その下にはショッピングセンター「シャミネ鳥取」が入居。ドトールやセブンイレブン、お土産屋さんなど乗車前に便利なお店が多いです。

 

JR西日本管内の中核市中心駅で唯一、自動改札が導入されていません。

米子駅には設置されているため鳥取県内には存在するのですが、鳥取駅に設置する予定はまだ無いようです。

 

こちらは今回乗車する鳥取〜新山口の特急券。e5489の予約で指定席料金2530円です。



特急スーパーおき5号新山口行は、4番線ホームに停車中です。

使用されているのは2001年にデビューしたキハ187系気動車。

平べったい顔ですがかなりの高速運転を行うため、前面は黄色で塗られています。山陰地方の海や湖面に輝く光をイメージしたとのことで、側面の帯にも採用されました。

 

これから走る山陰本線は、鳥取県と島根県が出資して高速化工事が行われています。

キハ187系気動車の導入も高速化事業の一環であり、車体には島根県の花「牡丹の花」が描かれていました。他に鳥取県の花「二十世紀梨の花」が描かれる場合も。

 

反射しているため見づらいですが、発車標の途中停車駅をご覧いただきましょう。駅名が長く長く流れていきます。



それでは先頭車両、1号車に入ります。

一番前の右側に座れば、パノラマでなくとも前面展望を楽しめるようです。

 

座席は非常にシンプル、モケットもグレー一色でそこまで特別感はありません。

また、コンセントが設置されていないので、特に長時間乗車される方は気をつけましょう。

 

2001年デビューにしては広めのテーブル、新幹線と同様のサイズ感でパソコンも置けそうでした。

 

奥にはこれから岡山駅へ向かう、特急スーパーいなば6号が停車中。あちらには二十世紀梨の花が描かれています。

 

JR因美線が遅れており、普通列車から乗継ぐお客さんを待っての発車です。

智頭急行の車両が使われており、特急スーパーはくと乗入れの車両使用料相殺が行われていると思われます。



13:46 鳥取駅 発(9分遅れ)

気動車ならではの深いエンジン音を立て、特急スーパーおき5号が走り始めました。

 

まずは長距離列車ならではの長い放送から。5時間以上の監禁にワクワクさせられます。



2駅先の鳥取大学前駅に到着です。

京都〜鳥取・倉吉を結ぶ特急スーパーはくと号は停車しませんが、山陰本線の特急スーパーまつかぜ/おき号は停まります。

他にも1年に1度だけ、鳥取大学の入試日に合わせた特急ビクトリーはくと号が、鳥取大学前→大阪の片道で運行されます。

 

左手には日本最大の池、湖山池が見られます。

そもそも「池」は定義が曖昧なのですが、名前に池と付いていれば良いということで、一番の広さを誇れています。



末恒駅にて特急スーパーまつかぜ8号と行き違い。

山陰本線は単線区間が多いため、特急同士でも行き違いが多く見られます。

 

水尻池沿いをカーブしつつ走行、昭和中期まで干拓により夏季は水田だったのですが、現在は通年池になっており水鳥が越冬します。

 

列車はぐんぐん速度を上げて最高速度120km/hへ、少しでも遅れを縮めようとしているのが分かります。

 

そんな中でも青谷駅を通過する時、やや速度を落としていました。

この駅は各方向の線路でどちら向きの列車が走るか決まっており、ポイント部分でスピードを落とさないといけないのです。

 

赤色が特徴的な石州瓦を多く見られ、山陰へ来たという実感が湧きます。

 

あまり長時間ではないものの、日本海が広がり始めます。

この先もっと綺麗に見えるところがあるため、そこまでおあずけということで。

 

泊駅で倉吉発鳥取行き普通列車と行き違い。

ここも左側通行の方向が決まったポイントを通過するため、ややスピードを落とします。



鳥取・島根両県も出資して行われた山陰本線高速化事業、キハ187系の投入により120km/h走行を実現しました。

ここまでポイントを通過する度スピードを落としていたのですが、こちら松崎駅は一線スルー化されています。

上下列車共に真っすぐの線路を走るため、高速で通過できます。

 

東郷池の南側を走る時には、中国庭園『燕趙園』の建物が見られます。鳥取県と河北省が友好都市であることから、1995年に建設しました。

この東郷池の周りには湯梨浜町の温泉地、はわい温泉があります。



まもなく倉吉駅に到着です。

1985年に廃止されましたが、倉吉駅からは国鉄倉吉線が伸びていました。

表定速度20km/h以下の列車が9本あり、日本一遅い路線と言われています。今の25km/h制限なんて目でもありません。

 

特急スーパーはくと10号京都行きが、出発待ちの停車中でした。

ほとんどの特急スーパーはくとは倉吉発着で、関西圏の発車標に表示されるため、馴染みある方も多いと思われます。

 

列車は120km/hへ速度を上げ、再び高速走行を始めます。



コナン駅としても知られる、由良駅も一線スルー化されているため颯爽と通過。

ここ北栄町は『名探偵コナン』の作者、青山剛昌先生の出身地であり、町全体がコナン一色になっています。青山剛昌ふるさと館もあり、コナンファンならぜひ訪れたい町です。

 

お隣の浦安駅も、一線スルー化により右側通行。

琴浦町の中心駅であり、ディズニーランドが無い浦安として有名です。

 

赤碕駅で、米子発鳥取行き普通列車と行き違い。

一線スルー化されているため1番線を通過、普通列車は左手3番線に退避していました。



御来屋駅には山陰最古の駅舎が残っています。

山陰最初の鉄道は、境港駅からここ御来屋駅までの路線です。

境港から鉄道建設の物資を運び、御来屋駅近くにあった、陸軍軍馬補充部大山支部を目指していました。

 

畑には風力発電所の風車が林立し始め、日本海からの海風を受けています。

 

左手には伯耆富士と呼ばれる中国地方最高峰、大山が見えました。やや霞んでサラサラした表面も非常に綺麗です。



大山に見とれていると、不思議な天守閣が現れました。あちらは菓子店「お菓子の壽城」です。

金世風城郭として名を馳せた米子城をモデルに、米子に「愛され、活気を与えるシンボルを」という願いを込め、1993年に立派な天守閣が建設されました。

 

左手からはJR伯備線が合流してきます。

岡山から出雲市を結ぶ特急やくもが走る、代表的な陰陽連絡線です。

 

乗換駅である伯耆大山駅を通過、山陰地方で貨物列車が来るのはここまでです。

 

奥に見える王子製紙米子工場へ向かって貨物専用線が伸びています。

あちらの工場があるのは日吉津村、米子市に囲まれた日本で4番目に小さい村ですが、工場があり多くの固定資産税を得られるため残っているのが現状です。

 

伯耆大山駅から安来駅は複線区間であり、列車同士すれ違うことができます。

僅かな区間でも複線化しておけば、ダイヤ上の制約に余裕が生まれます。

 

右後ろからは、JR境線がやってきました。

米子駅〜境港駅を結んでおり、山陰地方で一番古い路線です。



鳥取県第二の都市、米子市は米子駅に到着です。

ここで特急スーパーまつかぜ10号とすれ違いました。

 

かつてはコンクリート造りの荘厳な国鉄駅舎が残っていたのですが、橋上駅舎に建て替え中。2023年7月末にオープン予定です。

 

左手の米子運転所には、扇形機関庫が見られます。

扇の支点には転車台が設けられ、各スペースへ車両が入ります。

 

県境はほとんど分からないまま、ぬるっと鳥取県から島根県に入りました。

 

益田発米子行き普通列車とすれ違い。

2022年春のダイヤ改正でほとんど廃止されましたが、鳥取〜米子で快速とっとりライナー、米子〜益田で快速アクアライナーが多く設定されていました。使用していたキハ126系気動車もまた、鳥取県と島根県が出資して製造された車両です。

 

安来駅に到着、安来市は足立美術館やどじょうすくいで有名な町です。

特に足立美術館の日本庭園は、アメリカの日本庭園専門誌“Sukiya Living Magazine:The Journal of Japanese Gardening”で、20年連続日本一の日本庭園に選ばれています。



複線区間を終えまして、再び単線区間になりました。

荒島駅で観光列車あめつちと行き違い。

山陰DCで走り始め、車内には様々な伝統工芸品が散りばめられています。土休日に鳥取〜出雲市で運行、近い将来JR木次線の出雲市〜出雲横田でも走る予定です。

 

島根県東部の汽水湖、中海が見えてきました。日本で5番目の広さを誇る湖です。



揖屋駅で特急やくも22号と行き違い。

有効長が非常に長いため、駅ホームに差し掛かる前のトンネル内で、ゆっくり走りつつ行き違えます。

 

複線区間が始まる東松江駅を通過しようという頃、貨物コンテナが見え始めました。

こちらはJR貨物松江新営業所。山陰本線の定期貨物列車は運行を終えましたが、こちらはトラックによる輸送の拠点になっています。

 

中海と宍道湖を繋ぐ大橋川、鳥居が見えますが塩楯島は手間天神社となっています。

川に完全に囲まれており、何かステージをクリアした後に行けるようになるやつと、話題になったことがありました。



列車は高架線を登りまして、松江駅に到着です。

ここで米子発益田行き普通列車を追い抜きます。

 

山陰地方で一番の都市、空き地がある程度存在するからこそ、大きなビルの全体像を見つつ高架駅を走り出します。

 

その先には宍道湖が広がっており、山陰本線の中でも随一のビュースポットと言えるでしょう。



玉造温泉駅に到着しました。

玉造温泉の玄関口で一部特急が停車するものの、快速列車でも通過する便があります。

 

ここから来待駅まで、複線区間が続きます。

マリモですかってくらいモコモコ勝手に緑化事業が営まれていました。

 

これを過ぎてもまだ宍道湖沿いを走っており、静かな湖面と爆走する気動車特急のギャップが面白いです。

 

日豊本線ほどハッキリはしていませんが、上下線少し離れたところを走っています。

 

宍道湖が終わりそうな頃、湖に滑走路を突き出すようにして、出雲縁結び空港があります。

東京大阪名古屋の他、福岡や仙台など中枢都市、静岡や離島の隠岐までカバーしています。結構いろんな航路があって驚きです。

 

来待駅を通過、山陰地方で見られる石州瓦は、良質な粘土の他に来待石の釉薬ゆうやくを原料としています。これを1200度超の高温で焼き上げると、特有の赤色屋根が出来上がるのです。

その産地がここ来待駅周辺、松江城の石垣などでも使われたことがあります。

 

寝台特急サンライズ出雲号も停車する、宍道駅を通過しました。

JR木次線が分岐しており、観光列車奥出雲おろち号は非常に魅力的な観光列車です。ぜひ三段スイッチバックとおろちループ橋を体験してみてください。



特急停車駅ではありませんが、荘原駅で運転停車。

ここで行き違ったのは国鉄復刻塗装の特急やくも24号でした。やはり何度見ても違和感なく、タイムスリップしたように思ってしまいます。

 

右手からは一畑電車北松江線が近づいてきまして、出雲科学館パークタウン前駅の横を通過。

非常に短いですが、単線並列の区間になっています。



15:46 出雲市駅 着

鳥取駅からピッタリ2時間で、出雲市駅に到着です。

一畑電鉄は出雲大社前駅まで路線を伸ばしており、参拝にも便利。かつては国鉄大社線もありましたが、分割民営化の際に廃止されました。

 

ここで出雲市発米子行き普通列車と行き違い。

特急スーパーおき5号の到着を待って発車するようです。

 

鳥取〜出雲市の最高速度は120km/hでしたが、出雲市〜益田の最高速度は110km/hになります。

 

伯耆大山駅から続いていた電化区間も、お隣の西出雲駅で終了。左側には後藤総合車両所があって、特急やくもが回送されてくるために、ここまで電化されています。

 

サンライズ出雲は外に出ていませんでしたが、特急やくもは何本か停まっていました。

 

JR木次線で走るラッピング車両、4種のうち1本もいました。



小田駅を通過しまして、日本海沿いへ出てきました。

冷たく荒々しいイメージとは異なり、穏やかな波によって砂浜が出来上がっています。

 

堤防に守られた小さな集落は赤い屋根が少なく、これまでとは違った落ち着いた雰囲気を感じられました。

 

波根駅で出雲始発浜田行き普通列車を追い抜きます。

この駅には芥川龍之介が降り立ったそうで、海辺まで足を伸ばしたとのことです。



次の停車駅は大田市駅です。

跨線橋の鋳鉄製門柱は、1890年に帝国鉄道庁神戸工場で製造された、日本最古のもの。

また、2007年世界文化遺産に登録された石見銀山へバスが出ており、ホーム上にはそのモニュメントが立っています。

 

五十猛駅で特急スーパーおき4号と行き違い。

新山口駅始発の特急スーパーおき2,6号は米子行きで、鳥取行きは4号のみです。

 

石見銀山へ本当の最寄り駅は、通過している仁万駅。

ここからも路線バスが、世界遺産センター(石見銀山)へ出ています。

 

鳴き砂で有名な琴ヶ浜海岸を通過。

最寄りの馬路駅から行ったことがありますが、すり足で砂浜を進むと、本当にキュッキュと音が鳴ります。



温泉津温泉の玄関口、温泉津に到着。

浜田発出雲市行き普通列車と行き違いました。

温泉街としては初めて、重要伝統的建造物群保存地区に選ばれています。ここは石見銀山からの輸出港でもあり、世界遺産の登録を受けました。

 

下半分を赤茶色で染める石州瓦、そろそろこの町並みにも見慣れてきた頃です。

 

ただ今渡っているのは中国地方最大の川、江の川です。

元々は舟運で栄えたまち、1920年に山陰本線が開通したことで、商業の中心は浜田駅周辺になりました。

 

江津市と言えば2018年春に廃止された、JR三江線の起点です。

江の川に沿って走り続けており、本州初の100km超廃線でした。



そんな三江線の乗り換え駅だった、江津駅に到着。

三江線のラインカラーは水色で、柱にその色が残っています。奥の3番線ホームが使用されていました。

 

特急スーパーおき5号の所要時間的には、折り返し地点を過ぎた頃です。

正直もうお腹いっぱいですが、まだまだ続きます。

 

波子駅で浜田発出雲市行き普通列車と行き違い。

この駅は2000年に島根県立しまね海洋館が開館したことに伴い、特急停車駅になりました。

中国四国地方最大級の水族館で、西日本で唯一シロイルカを見られるとのこと。このシロイルカがバブリングする様子が人気で、ソフトバンクのCMでも登場しています。

 

下府駅で特急スーパーまつかぜ12号と行き違いました。



まもなく浜田駅に到着です。

この辺りの鉄道輸送の中心地であり、後藤総合車両所出雲支所浜田派出所へ線路が分かれます。

現在の寝台特急サンライズ出雲の前身である、寝台特急出雲もここを発着駅にしていました。

 

駅自由通路の先には浜田医療センターがあって、鉄道を使っての通院も促しているようです。

 

駅を出発して右手に注目していると、漁港から瀬戸ヶ島へかけられた浜田マリン大橋を見られます。

浜田マリン大橋は漁港施設では国内最長305mの斜張橋しゃちょうきょうとして開業しました。水産都市でもある浜田のシンボル的存在です。

 

西浜田駅には昔ながらの木造駅舎が残っていますが、これでも事務室の部分が解体されて半分ほどになった姿とのこと。

歴史的雰囲気がある焦茶色の壁面は、その事実を感じさせません。

 

ゴツゴツした岩肌ギリギリのところ、山陰本線は真下から水平線まで日本海が広がる雄大な景色を走ります。

 

萩市、長門市、下関市の区間も非常に良いのですが、この辺りを気動車特急で駆け抜けていくのもスリル満点です。

 

島根県も協力して高速化された区間、振り子性能も存分に発揮した最高速度110km/hを出しています。



次の停車駅は三保三隅駅。

1922年に山陰本線を延伸する形で開業し、2022年の開業100周年の日には特急スーパーおき1号で記念セレモニーが行われました。

 

大きな煙突が見えてきました、あちらは火力発電所の中国電力三隅発電所です。1998年に営業運転を開始し、国内最大規模の出力100万kWを誇ります。

 

営業運転開始と同時に、山陰本線岡見駅から三隅発電所の間で貨物列車の運行が開始しました。これは山陰本線の旧線を活用したものです。

三隅発電所で発生した石炭灰を再利用するため、JR美祢線沿線の宇部興産伊佐セメント工場へ貨物列車を運行。しかし、2014年に貨物列車の運転は終了しました。

 

数年前に山陰本線を迂回する貨物列車が運行されましたが、その時には多くの鉄道ファンが撮影に駆けつけました。

実際に乗ってみると、こういったところを貨物列車が走る姿は、とてつもなく勇ましいに間違いないですね。



17:30益田駅に到着

向かい側には、17:33益田始発出雲市行き普通列車が停車中です。

 

益田駅までは、特急スーパーまつかぜ号でも来られます。特急スーパーおき号だからこその区間、山口線へ突入です。

 

山口線の最高速度は95km/h、ただし現在の営業列車は全て最高速度85km/hとのことです。

 

高津川沿いに広がる街を経由しつつ、南西へと向かいます。

 

石見横田駅で5分近く運転停車しまして、特急スーパーおき6号米子行きと行き違います。

駅では撮影されている方もいらっしゃいました。

 

高津川は鉄道が走らない南東側、吉賀町を源流としています。ここからは支流の津和野川沿いを走ることに。

 

山口線最初の停車駅、日原駅に到着しました。

岩国市の川西駅から分岐している錦川鉄道錦川清流線ですが、この路線はここ日原駅まで結ばれる予定でした。両側の頭文字を取って岩日線と計画されたこの路線、結局未成線に終わっています。

 

山口線は特急列車が走っていながらも、北側はローカル線の部類。

津和野~益田は、赤字額6億円、営業係数1,132円、輸送密度317人/日(2019年〜21年度平均)となっています。



まもなく津和野駅に到着です。

新山口〜津和野ではSLやまぐち号が運行されており、転車台が隣接しています。

 

幕末から昭和初期の武家屋敷や商家町が人気の観光地。SLの観光地としてもふさわしい所です。

 

山の方へ注目してみますと、県内では出雲大社に次いで参拝客が多いという、太皷谷稲成神社が見られました。1000本の奉納鳥居が導いており、赤色の道がここからでもわかります。

 

だんだん山を登ってこうした田舎町を見渡す、全体の広がりを俯瞰できるのも非常に魅力です。

 

土手には「SLつわの」の文字が描かれ、SLやまぐち号をお出迎えしてくれます。



ここで県境の白井トンネルへ入りました。

 

思えば安来駅から3時間以上ずっと走ってきた島根県、ここでようやく終わりまして山口県に入ります。

 

道沿いのガードレールが夏みかん色になれば、山口県に入った証です。

これは1963年の山口国体開催にあたり、山口県ならではのものを作ろうと塗られました。現在は県内の広範囲で見ることができます。

 

山口県に入って最初の停車駅、徳佐駅に到着です。

2010年に山口市と合併した、阿東町の中心駅となります。山口県内の山口線は、山口市しか通りません。

 

同じく阿東町の駅だった、三谷駅にも停車。

駅舎は2001年に火災で焼失しており、地元負担のプレハブ駅舎で営業していましたが、2010年に新しい駅舎が建てられています。



元々は仮乗降場だった、1面1線ホームの長門峡駅を通過。

長門峡は1923年に国指定の名称になりました。阿武川沿いの渓谷を指しています。ヤマザクラから紅葉まで、四季折々の自然が人気です。

特急列車は停まらない一方、SLやまぐち号が停車して観光需要を汲んでいます。

 

篠目駅で新山口発益田行き普通列車と行き違いました。

 

時刻は18:55、あたりは一気に暗くなってしまいました。真っ昼間から乗っている同じ列車からの景色とは思えません。

 

宮野駅では、当駅始発の新山口行き普通列車が準備中でした。

津和野〜宮野についても、JR西日本が収支を公表している赤字線区。赤字額9.3億円、営業係数950円、輸送密度400人/日(2019〜21年度平均)です。

 

宮野駅から先は山口市の中心部へ入っており、都市部への通勤通学需要も大きくなります。



18:59、山口県の県庁所在地である山口駅に到着です。

日本一寂しい県庁所在地駅と言われますが、かなり納得できてしまいます。

旧小郡町の新山口駅の方がかなり立派で、駅周辺もビジネスホテルや居酒屋などでかなり栄えている印象です。

 

隣駅である湯田温泉駅に到着。JR西日本のサイコロきっぷで目的地に選ばれ、あまりの混雑に臨時列車まで運行されました。

 

大歳駅で新山口駅発津和野行き普通列車と行き違います。数多くの列車と行き違ってきましたが、これが最後となりました。

 

終点新山口駅の到着放送が流れる頃、左手にはたらこ色のキハ40がずらっと並んでいます。

 

そして立派な高架橋の山陽新幹線もやってきました。

 

ついには山陽本線も現れまして、遂に陰陽連絡特急を走破し、山陽地方へ来たんだなと実感が湧いてきました。



19:13 新山口駅 着

5時間27分という長時間乗車を終え、終点の新山口駅到着です。

 

鳥取駅にいた時は南中していた太陽もどこへやら、車体は駅の明かりに白く照らされるばかりになりました。

 

普段なら2両編成のところ、GWのため3両編成での運行。

需要の小ささを思い知らされ、それでありながらこんなにも長距離を走ってくれるのは非常に面白いです。

 

後半はかなり暗くなってしまいましたが、日本海沿いの疾走からローカル感あふれる山口線まで、かなり魅力的なディーゼル特急でした。

ぜひお時間があればこの区間、1本の特急列車で乗車してみてください。

 

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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