駐車場に戻ってきた。

 

車に戻りお茶を飲んだり軽くご飯を食べたりしたんだが、ここで後部座席に座るチビの隠れた才能が。

運転席と助手席のヘッドレストを一度外して、そこにコンビニのレジ袋をひっかけごみ袋にしており「ごみを渡せ」というので渡すとホイホイきれいにまとめていく。で、後ろの荷台(うまく説明できん)のところをきれいに整理してお菓子やジュースなんかをきれいに並べている。「お茶!」「ジュース!」とか言うとホイホイ手渡しくる。うむ~こいつにこんな整理整頓の能力があったんだな。知らんかった。

 

時刻は9時過ぎ。14時20分からチビの塾があるのでそれまでに帰らねばならん。

しかし目の前に世界遺産熊野本宮館がある。これはぜひとも覗いていきたい。

何を隠そう僕はこういうところが大好きである。

非常に興味深い。

へぇ~。そうですか。

昔はこんな感じで中州にあったわけですよ。150年ほど前までは。

こういうの見るの好き。

こういう山深い都からも遠く離れたところではどういう信仰があったのかとかどういう文化があったのかとかそういうのを見るのが好きだ。昔はそんなのに興味はなかったんだけどね。年を取ってからそういうのが面白いと思うようになった。

時刻表。おぉ~こんなところから大和八木行きのバスが出てるのね。

これは近鉄の大和八木駅からの時刻表。おぉ~すげー。路線バスのくせに(おっと失礼)6時間以上もかけて走る。これは面白そうだ。乗ってみてぇ~。

こういう長距離バスとか長距離列車とかなんか時刻表を見ただけでワクワクする。

いつか乗ろう。絶対。

裏手の河原の駐車場。

これ河原ですよ。すごい川幅でしょ?

 

 

というわけで川西に向けて帰る。国道168号線を大阪目指して北上する。

しかし・・・路上の道路情報に「十津川村長殿地内通行止め」の文字が。

ん???どういうこと???来るときはそんなこと何も書いてなかったぞ。

そして色々異変が起きる。ナビが変な道を案内するのである。168号ではなくすげー遠回りの道である。

しかし「一般的な道を案内しようとしてんのかな?でもいいの。山岳地帯を突っ切ってショートカットするの。」とひた走る。

が、途中で不安になる。「え?168号って一本道でしょ?こんなところ通ったっけ???」

しばらく進むと「お~ここ見覚えあるわ」ってちょっと安心するんだが、やっぱ夜と昼間とでは感覚が違う。

しかし何度も「十津川村長殿地内通行止め」が出てくる。が「大塔」とか通った覚えのある文字を見るとちょっと安心して「うん。行ける。」と先を進む。

だが・・・そのうち後ろにも対向車線にも全然走る車がいなくなった。

相変わらずナビは引き返す案内ばかりする。不安をあおるだけでうるさいので切った。

しかし・・・やっぱ何かおかしい。1時間ほど走って大概不安になってきた。

人家もないしそこには険しい山岳道路とダムのようなものしかない。

すると前方にガソリンスタンドが見えてきた。「頼む!やっててくれ!!!と祈りながら近づくと営業していた。

ガソリンもだいぶ減ってきてそれも不安をあおっていたので迷うことなく入る。

そして店員氏に「この道まっすぐ行ったら大阪に行けますよね?」と聞くと「この先、土砂崩れで通行止めですよ」「もう、すぐそこです」と驚愕の返答が。「え?えぇ~~~~~~!?」

「一昨日通った時、ちゃんと通れましたよ?」と言うと「昨日の晩に崩れたんですよ。」

マジか~。

「大阪に行きたいんですけどどうしたらいいですかね?」と聞くと「田辺の方に出るしかないですね」

えぇ~また何時間もかけて海まで出るの???マジかよ~!?

こりゃもう塾がどうこうというより家に帰れるんか???そっちの方が不安になってきた。

村から北上する道が一本しかなくその道が土砂崩れで十津川村から脱出できない。

こりゃもう引き返すしかない。しかししくったなぁ~。現実から目を背け続けた結果がとんでもなく傷口を広げてしまった。

山で迷う人もこんな感じで遭難していくんだろうなぁ。

 

ちなみにこれが現場の写真である。

ひゃ~!なんじゃこりゃー!!!

これ、奈良県さんのHPからお借りしたんだが夜中にこれなら突っ込むよ。マジで・・・。

これテレビのニュース。

この国道168号って落石・土砂崩れの巣である。

しょっちゅう土砂崩れとか落石とかで通行止めになってる。

かつてはこんなことも。

これくらい厳しい山岳地帯なのである。

 

「やべぇなこりゃ。帰れるかしら。」と不安な気持ちで引き返す。

再びナビをセット。すんません、ナビさん。もうちゃんということ聞きます・・・。

 

すると見るからに怪しい道へと案内する。

「いや~・・・。これは嫌。頼むからもう普通の道を案内してくれよ。」とさっき謝ったばかりなのに再び無視する。

もうちゃんとした道で帰りたい・・・。しかし何度も何度も素通りした道へ進むようナビ子さんが案内する。

そして観念した。このままじゃ十津川村から脱出できん・・・。

 

ナビ子さんの案内する道へと入る。一応国道マークが入っているんだが明らかにヤバい雰囲気が漂う。

この十津川村役場のある168号線と169号線とを結ぶこの道が国道425号線である。

が・・・くっそ狭いわ、ガードレールはないわ、道に落石がゴロゴロ落ちてるわ、落石でガードレールがボコボコになってるわ、そのガードレールも路肩が崩れて浮いてるわともうぼろぼろになるまで神経が擦り減らされる。

そして確信した。

「これ、酷道だわ。」

もうね、まともに走れない。時速20~30kmで極限まで神経をすり減らしながら走る。なんちゅう道なんだこれは・・・。

そしてケータイの電波が圏外となる。これ、何かあったらどうするの???普通が恋しい・・・センターラインが恋しい・・・。

 

そして走ること1時間以上。やっとこさ地獄のような酷道425号線を抜けた。ホッとして涙が出そうになった・・・。

 

 

これね、家に帰って調べた結果、、、

この国道425号線は間違いなく酷道であった。しかもただの酷道ではなく

 

なんと「日本三大酷道」のうちの一つであり

 

酷道の典型例(国道425号奈良県下北山村

  • 国道425号 - 通称「シニゴー」。牛廻越をはじめほぼ全線(191.6 km)が難所。紀伊半島の中でも最凶の呼び声も高く、「転落・死亡」看板がある[41]

上記のようにWikiで紹介されるほどの凄まじい酷道であった・・・。(も~嫌。二度と通らんぞ!!!)

 

大台ケ原に行くときなんかに「山深いなぁ」「険しいなぁ」「ちょっと怖いなぁ」と思いながら走る国道169号線を「うわ~普通だ!」「うわ~センターラインだ!」と天国のように感じながら走る。

 

そして道の駅杉の湯川上にとうちゃこ。時刻はすでに13時過ぎ。こりゃ絶対に塾は間に合わん。というわけで塾には「すんまへん。土砂崩れで今日は塾休みます。」と言われた方は「え?何???何が起こってるの???」というような電話連絡を入れ、道の駅で暫し休憩。

 

アユの塩焼きを売ってた。いや~こりゃ買うしかないでしょう。

いや~旨そう!

旨し!!!

そして車の中でめはり寿司とさんま寿司を食べる。

旨し!!!

 

その後順調に川西に向かって走る。

途中

いつも裏山から眺める双耳峰の二上山を正面に。

今年は行きますよ。二上山からのダイヤモンドトレール。

二上山からの葛城山。「金剛山まで撮って」と愚息に頼んだんだが「どれかわからん」と志半ばの写真。(左に金剛山へのピークへ続く稜線で切れてる・・・)

 

というわけで無事に我が家へと帰還した。

 

その日の晩に書いたブログが

「ダフ」というタイトルの記事なんだが、その冒頭

「えらい目に遭ったわ」いうのは日中がこんなことになっていたからである。(10歳くらい老けた・・・)

 

というわけで今回の御朱印。

速玉大社。

那智大社(右)と本宮大社。

 

3月は金閣寺と銀閣寺、そして4月は熊野三山と有名な寺社を巡った。

しかし熊野大社はいろんな意味で思い出に残るであろう御朱印の旅になった。

 

てことでね、チビの入学式の時の旅を書き終わるのにひと月以上も要してしまった。

日々色々書きたいことがあるからね。しゃーない。   

 

というわけで春の珍道中が幕を閉じた。   おしまい