安部駅【鳥取県】(若桜鉄道若桜線。2021年訪問) | 『乗り鉄』中心ブログ(踏破編)

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今回の【駅】コーナーは、
鳥取県東部、八頭町中央部の八東川流域に広がる山あいの集落沿いに位置する若桜鉄道若桜線の駅で、1991年に公開された映画「男はつらいよ 寅次郎の告白」のロケ地にもなった、
安部駅 (あべえき。ABE Station) です。
 
 
駅名  
安部駅 (駅番号なし) 
 
所在地    
鳥取県八頭郡八頭町 (旧・八東町)  
 
乗車可能路線  
若桜鉄道:若桜線  
 
隣の駅  
郡家方……隼駅  
若桜方……八東駅   
 
訪問・撮影時  
2021年4月  
 
 

 

 

安部駅は地平駅で、郡家方(西)の北側に駅舎があります。
南側に駅舎や出入口はありません。駅前の踏切を渡る必要があります。
1932年(昭和7年)の開業時に完成した木造駅舎が改修されながら今も現役で使用されています。冬季は積雪に見舞われるため、トタン屋根になっています。
出入口は駅前道路(国道482号)に面して西側と北側に開口しており、段差なく駅舎内に入れますが、駅舎とホームの間に階段があるため、車いすですと駅舎から直接ホームへ行けません。しかし、駅舎の東側にある駅前広場とホームを直結する段差なしの通路を経由すれば車いす利用時も自力でホームに到達可能です。
駅舎は出入口付近の一部が一般客用のスペースで、駅事務室だった残りの大部分には美容院が入居しています。安部駅はこの美容院による簡易委託駅ですが、美容院の休業日は無人駅扱いです。
そして、駅舎の右側にはトイレ小屋があり、男性専用です。元は男女共用だったと思われますが、後に女性用トイレが駅前広場に新設されました。女性用トイレのみ車いす対応で、車いす利用の男性が自力で利用できるトイレがありません…。
また、駅舎の奥(東側)にはアスファルト敷の駅前広場があり、女性用トイレと無料駐輪場もあります。
駅前広場出入口部分には飲料自動販売機があります。尚、現在は駅周辺を走るバス路線が存在しないようです。
上写真は南を、中写真は南東を、下写真は東寄りを望む。
 
 

駅前です。南方向を望む。左手に駅舎があります。
奥に延びる幹線道路は国道482号です。安部地区(日下部地区)の中心部(集落)は踏切の向こう側(南側)です。商店は少ないです。
直線距離で約250m南東の山中には日下部上神社が鎮座しています。
また、約800m西の山中には日下部神社が鎮座しています。
 
 

駅前です。北方向(北東)を望む。右手に駅舎があり、後方に踏切があります。
奥に延びる道路は国道482号線です。
駅北側には民家がほとんどなく、田園や梨畑が広がっています。若桜線と並行する八東川が写真奥を右から左へ流れています。
国道482号を550mほど直進すると、八東川を渡って国道29号に到達します(安井宿交差点)。交差点東側の国道29号沿いにバス停があります。
安井宿地区には集落が形成されており、山並みに沿って東西方向に広がっています。
 
 

 

駅舎内の様子です。2枚とも概ね南方向を望む。
右側と後方が出入口で、美容院とを隔てる左側の扉は業務用です(一般客が美容院に入るには駅舎外側の扉を利用する形になります)。
昔ながらの雰囲気が色濃く残っています。
改札口手前左側には窓口があり、きっぷを購入したい場合は呼び鈴を押せば美容院のオーナーが対応します。但し、簡易委託駅なので美容院のオーナーは出札業務しか行わず、改札・集札業務は行いません。
美容室の休業日や営業時間外などできっぷを購入できない場合、若桜鉄道は車内収受方式なので、乗車時は整理券を受け取り、降車時は運賃箱に運賃を投入します。車掌がいる場合は車掌に運賃を支払います。『ICOCA』などのICカードは利用できません。フリーきっぷは運転士または車掌よりお買い求め下さい。
改札口には木製のラッチがあります。自動券売機は設置されていません。
後方の出入口右側(上写真撮影地点付近)にはベンチがあり、駅舎内は待合室としても使用されています。駅舎内には時刻表や運賃表のほか、当駅にてロケを実施した映画「男はつらいよ 寅次郎の告白(1991年)」のロケ時の写真が飾られています。渥美清さんが写っています。
改札口の先はホームですが、段差があるため、車いすですとここから直接ホームへ行けません。駅舎外、東側の通路を利用する必要があります。結果として安部駅はバリアフリーに対応しています。
トイレは駅の外にありますが、駅舎前にあるのは男性用トイレ(バリアフリー非対応)で、やや離れた駅前広場内に女性用トイレ(バリアフリー対応)があります。
ちなみに駅前に売店、コンビニはありません。2km圏内にコンビニ自体が存在しません。
 
 

改札口を出て3段の階段を上るとホームに到達します。スロープは設置されていません。
写真奥の大木は線路の向こう側にありますが、そこが鉄道用地かどうかは不明です。
 
 

建植式駅名標です。電照式ではありません。
見事に国鉄タイプを再現したデザインです。文字は手書きではなく、定型の書体を使用しています。
若桜鉄道線に駅ナンバリングは導入されていません。
 
 

安部駅は単式ホーム1面1線の地平構造で、北西~南東方向にホームが延びています。
番線は未設定で、下り若桜方面、上り郡家方面とも同一ホームから発車しますので、乗り間違いにご注意下さい。
南側にもう1面1線設置できそうなスペースはありますが、隣の八東駅が2面2線化されましたし、設備が増強される可能性は皆無に等しいでしょう。また、左の駅舎側にもスペースがありますが、1面2線だった可能性もゼロです(貨物側線は若桜方からホーム反対側の待合室前迄または駅前広場方面へ延びていたと思われます)。
ホーム有効長は3両分です。現在の若桜線は最大3両での運転です。ホーム幅は全体的にかなり狭く、駅舎側の段差になっている部分にも柵がありませんので、要注意です。
上屋は全く設置されておらず、ホームで雨をしのげるのは待合室の屋根が張り出した部分のみです。雨天時の乗降は傘が必要になります。
そして、ホーム郡家寄り(駅名標の先)の左側に駅舎があり、ホーム若桜方の端近く(奥)の左側に駅前広場直結のスロープ出入口があります。
写真は若桜方を望む。
 
 

 

ホーム中ほどには1932年(昭和7年)の開業時以来使用され続けている木造の待合室があります。
ホームから逆方向(駅舎側)へ張り出す形で設置されています。そのため、ホームの駅舎側には駅を貫通する線路が敷設されていなかったと断定できます。
室内には木造のベンチがあり、昭和前半にタイムスリップした感覚に陥ります。

上写真は若桜方を望む。下写真は郡家方を望む。
 
 

 

2枚とも郡家方を望む。
郡家方の端近くには駅前広場直結のスロープ出入口があります。
線路と反対側には桜の木が植えられています。
桜の木の部分または右側にある駅前広場に貨物側線があったと思われます。
また、線路左側のスペースは、前述の通り鉄道用地かどうかは不明です。理論上、線路を増設する事は可能です。
写真奥の右側に駅舎があります。
 
 

ホームより改札口を望む。階段を下った先に改札口があります。
改札口の左側にはベンチがあります。
右側の駅事務室は現在、美容室として利用されています。
 
 

郡家方を望む。ホーム端のすぐ先に国道482号との踏切があります。
この先、左側に山並みと集落を、右側に田園と梨畑を見ながらローカル風景の中を走り、右カーブで進路を北に変えると左側に城山が迫ります。その後は左へカーブし、しばらく北西へ走ると左手に集落が見えてきます。そして最後は左へカーブして、進路を西に変えるとライダーの聖地にもなっている隼駅(はやぶさえき)へと至ります。
 
 

若桜方を望む。
いかにも若桜方からホーム反対側または駅前広場方面に貨物側線が存在したかのような用地の形状です。貨物側線は1971年に廃止されたそうです。
この先、左側に八東川が、右側に山並みがそれぞれ接近し、のどかな風景の中を南東へ走ります。そして八東川と山並みが遠ざかると左へカーブして進路を東に変え、農地と集落が混在した中を走るようになると八東駅(はっとうえき)へと至ります。
 
 
あとがき  
私が安部駅で下車(乗車)したのは……ありません。2021年に若桜鉄道を乗り鉄した際、ダイヤとスケジュールの関係でどうしても列車で訪問する事ができず、仕方なく自動車での訪問になりました。1面1線の小さな駅ですが、ホームとともに国の登録有形文化財に登録されている駅舎が残っており、中には1991年に当駅でロケが行われた「男はつらいよ 寅次郎の告白」の写真が飾られていました。駅前に民家は少ないですが、南側に集落が広がっています。北側の駅近くには八東駅が流れています。
  
東京からですと東海道・山陽新幹線で姫路駅まで行き、智頭急行線直通の特急『スーパーはくと』に乗り換えて郡家駅で下車。そして若桜鉄道若桜線に乗り換えて当駅で下車です。岡山経由で『スーパーいなば』に乗り継ぐルートもあります。若干タイトな日程になりますが、日帰り訪問可能です(最大滞在時間:6時間半強)。
一方、大阪からですと大阪駅から特急『スーパーはくと』に乗車して郡家駅で下車。若桜線に乗り換えて当駅下車です。こちらも岡山経由の方が早いケースがあります。じゅうぶん日帰り訪問可能です(最大滞在時間:約9時間半)。
  
食料・飲料について、駅前や駅近くにコンビニ、気軽に入れる商店・飲食店はありません。駅構内に飲料自動販売機はありますが、必ず事前に用意して下さい。
 
東京からの到達難易度は高いですが、若桜鉄道若桜線を乗り鉄の際は、ぜひ一度は安部駅でも途中下車してみて下さい!
 
(参考:若桜鉄道のHP、Google地図、Wikipedia)