JR北海道のキハ183系の定期運用終了から早1ヶ月が過ぎ、その後全てのラストラン運転も全て終了、もう本線上を走る事はないと思うとより一層寂しさが込み上げてきます…(涙)。
キハ183系ロスに苛まされている私、なかなかブログ執筆のモチベーションが上がらず沈黙を貫いてきましたが、ここでようやく『ラストラン運転』の記事をアップさせて頂きます。今回は3月25・26両日に札幌~函館にて運転された『キハ183系北斗』と『キハ183系ニセコ号』の2列車を簡単に紹介します。もう4週間も前の事で新鮮味が薄れてしまいましたが、何卒ご了承を…。
まずラストラン運転の皮切りとして運転されたのが、3月25日(土)に札幌→函館を片道のみ運転された『キハ183系北斗』。
札幌駅ではかつてのHMを忠実に表現したLEDアートをお目に掛かる事ができました(★がインベーダーみたいと言っていた方がいらっしゃいましたが…)。
9:22、HETカラーのキハ183-1555を先頭に、札幌駅8番線に入線したキハ183系北斗。
通常HETカラーのロール式HMは『HOKUTO』『SUPER HOKUTO』とローマ字表記しかセットされていませんでしたが、このラストラン運転のために往年の漢字表記マークが復活しました(※復刻塗装のキハ183-8565には既にセット済)。通常北斗で使用されていたキハ183形はグレースカートでしたが、青スカートというのも珍しい組み合わせかと?(ちなみにこの車両はサロベツ自由席用だった個体で、キハ183系サロベツ末期は北斗の車両不足を補うため函館に一時転属していた)
3月25・26両日のラストラン運転の編成表は下記の通り。
函館←①キハ183-8565 ②(G)キロ182-504 ③キハ182-7554 ④キハ182-7561 ⑤キハ183-1555→札幌(※全車指定席。①②号車は復刻塗装)
キハ183系は日本中の鉄道ファンの幅広い世代に親しまれてきただけあって、ラストラン運転列車の指定席争奪戦はそれはそれは熾烈なモノでした。えきねっとの事前受付は全然ダメで、札幌駅の10時打ち(しかも外国人向けデスクでの発券がレア!)でどうにかゲットした私の指定席は④号車山側(乗車券は2月17日で発売終了となった『HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス』を有効期間変更の上で使用)。
入線から発車まで28分と比較的時間がありましたが、札幌駅8番線ホームは撮影者で溢れ返っていたので、コチラ側からの撮影は諦めて9番線ホームに廻って編成写真を撮影。
側面方向幕は『特急北斗 函館』を表示しておりました。この復刻塗装に加えて国鉄様式の方向幕だったら完璧!
5号車側からも編成写真を撮影。
キハ281系デビューを控え、従来のキハ183系のイメチェンを図るためにデザインされた『HET183』塗装。元々はキハ183系で運転される北斗(グレースカート)のためでしたが、後におおぞらやサロベツ(青スカート)にも採用、N・NN183系の大部分がこの塗色となりました。思えばこの塗色の時代が圧倒的に長いんですねぇ(今年で30年)。
私が乗車した④号車キハ182-7561(1989年富士重工業製)の車内。
普通車はサロベツ用だった⑤号車を除く全車がこのグレードアップ指定席仕様で、N・NN183系デビュー当時から使われたR55Aリクライニングシートを装備する車両は連結されませんでした。
『キハ183系北斗』の途中停車駅は東室蘭と新函館北斗の2駅のみ(他に苫小牧、伊達紋別、長万部、森、駒ヶ岳、赤井川、仁山の各駅にて運転停車アリ)。
東室蘭駅出発後、乗客にはこの乗車証明書が配布されました。裏面デザインは各列車共通。
実は今回の旅も、旭川在住のらんちゃん女史がお伴
元々指定席は離れて取っていたのですが、双方のお隣様のご厚意で私のほうの席を移動させて頂きました。
写真は彼女が札幌駅で買った『ありがとうキハ183系記念弁当』(札幌駅構内立売商会謹製)。いわゆる『ラストラン運転』の日にちのみの限定発売だったようで、各日とも売り切れ続出だったようです。私は苦手な食材が入っていたので買いませんでしたが、らんちゃん女史も苦手な食材があったため双方でシェアしながら頂きました
今回乗車した④号車キハ182-7561の窓ガラス(ポリカ板)は透明度に欠け、車窓風景も満足に楽しめない程の曇りガラスになっていました…(涙)。
写真は大沼公園~大沼のセバット付近(小沼)。
新幹線工事が進む新函館北斗駅を過ぎ、七飯の車両基地には入場中のH5系が!
キハ183系との思わぬコラボとなりました(私は何度もこの区間を通過しているが、新幹線車両の入場を見たのは初めて)。
終着・函館駅8番線には14:15に到着。
2枚目写真の奥には10月のラストランで完全引退したキハ281系の姿が…(涙)。
熱狂と興奮の中、乗客を降ろしたキハ183系は函館運輸所へ向けて回送されていきました。
ホームには、翌日同じ編成で運転される『キハ183系ニセコ号』の特製乗車口案内札が…。
改札口を抜け、私はみどりの窓口で『いまこそ輝け!北のキハ183系記念入場券(メモリアルVer.)』を1枚だけ購入。『キハ183系北斗』に乗ったその日の記念として…。
私とらんちゃん女史は函館駅を離れ、翌日に運転される『キハ183系ニセコ号』に乗車するため東横INN函館駅前朝市にチェックイン(勿論部屋は別ですよ!)。らんちゃん女史はその後単独で函館観光(?)に行きましたが、私は体力温存のため自室に籠る事に…。ちなみに私が泊まった部屋は上層階のステーションビュー&ハーバービューという絶好の眺めで、2枚目写真左側にはたまたま停泊していたクルーズ船の姿が見えました。
そして翌日(3月26日)の函館駅。
前日、北斗として運転されたキハ183系5連が『ニセコ』のHM(ステッカー表示)を掲出して入線してきました。
今回私が乗車したのは、先頭⑤号車キハ183-1555(※ニセコ駅まで)。2020年シーズンにもニセコ号の①号車として投入された車両で、この年は3両全てが元サロベツ用車両で運転され、ファンの注目を集めました。
前日の折返し運用のため、当然②号車のキロ182-504ハイデッカーグリーン車も連結されていましたが、コレに乗れた人が羨ましい…。山線にグリーン車が営業運転するのは2000年の有珠山噴火による札幌~函館の臨時特急迂回運転以来でしょうか?
N・NN183系による臨時特急ニセコ号は2018年~2020年シーズンに運転されましたが、復刻塗装とニセコのHMは最初で最後の組み合わせで、ある意味新鮮ともいえます。
函館を発車し、七飯駅を通過すると2016年以来定期特急列車の通過がなくなった下り列車専用の藤城線を経由するというのがニセコ号のポイントです。電化された新函館北斗への本線をオーバーパスしながら東側を迂回して大沼駅へ至ります。通常ではなかなか見られない藤城線の景色を堪能してもらうため、運転士も徐行運転で通過してくれました。
今回乗務したベテラン車掌(函館運輸所所属)はマメに車内放送で要所要所の車窓解説など行っており(ちょっとカミカミな部分もあったがご愛敬…)、乗客にとってもなかなか楽しめる内容でした。
藤城線と本線が合流するポイントは小沼(進行左側)沿いのビュースポットで、名撮影地でもあります。この辺りでは(他の有名撮影地も)撮り鉄が多く群がりいわゆる「激パ」状態でした…。
大沼・大沼公園両駅を通過後、大沼と小沼の境目にある月見橋セバット(地峡部)付近で大沼が見えてきます。キハ183系から眺める大沼国定公園の景観もコレで本当に最後…(涙)。
そして道南の主峰・駒ヶ岳が見えてきます。残念ながらこの日はどんよりとした空模様でしたが、何とか頂上まで見渡す事ができました。
藤城線で徐行運転をしたため回復運転に努めており、車掌さんも「運転士もハッチャキこいて…」という道産子丸出しな放送にほくそ笑む私…さらには撮影マナー喚起のついでに「車内の案内板をカッパらわないように…」とか、とにかくざっくばらんな案内放送には好感がもてました
そして森駅から先は内浦湾沿いに進みます。キハ183系から眺める海の景色ももう最後だけに、存分に楽しませて頂きました…。
そして山線と室蘭本線が分岐する長万部駅にて運転停車(乗降は不可)。
コチラにて函館から乗務の運転士が交替、出発時には駅員さんらと共に手を振ってお見送りをしてくださいました。
いよいよ列車は山線区間に突入。実はキハ183系での走行はコレで最後ではなく、4月7日に運転された団臨(グリーン車3両付の5連!)が山線としてのキハ183系一般車最後の走行となりました。但し、下り列車としての走行は今回の『キハ183系ニセコ号』が最後です。
函館から久々の停車駅となったニセコ駅に12:38到着。約26分停車のため、乗客は思い思いに時間を過ごしておりました。
駅長犬のハーディー君もこの日はしっかりとお出迎え!
さて…実は私このニセコ駅から復刻塗装車である①号車キハ183-8565に移動します。
眺望の関係での理由ですが、キハ183系の車窓(進行左側)から日本海(石狩湾)を眺めたいというワケでして…。
以下、ニセコ駅で撮影した何枚かを紹介。
当駅ではH100-1単行の長万部行2940Dと交換。
ニセコ駅を発車し、尻別川沿いに走行。本来ならば車窓右側に羊蹄山が見えるハズなのですが、この日は雲が多くて残念ながらほとんど見渡す事ができませんでした…。
ニセコ~小樽間にて、乗客に乗車証明書が配布されました。やはり表面は復刻塗装車をあしらったデザイン。
ここでいきなり飛びますが、余市駅(運転停車)から先は日本海側の車窓を眺める事ができます。写真は蘭島~塩谷にて一瞬だけ見える塩谷海岸。
2つ目の停車駅・小樽に到着も、停車時間は2分と短いためホームには降りずおとなしく車内に留まりました…。
石狩湾沿いに出ると、ニセコ号の旅もいよいよ終盤。
快速エアポートや普通電車から眺める景色とはまた違った魅力があります。
列車は札幌市内に入り、手稲駅を通過する辺りで懐かしのオルゴールが鳴り、終着を告げる車内放送が流れ、通常の放送の後にラストラン放送が流されました。
【車掌のラストランアナウンス】(※一部修正の上で要約)
車掌の私事でございますが、私は昭和52年に国鉄、元の青函管理局に入社、青函連絡船に乗務しておりました。1986年、昭和61年この183系が運行当時、船上、船の上から夜函館駅構内にオレンジ色の輝いてきました183系の進入した時の雄姿は今でも鮮明に憶えております。その私が車掌として183系に乗務するとは夢にも思いませんでした。183系、1月2月の厳冬期、最後部の車両の車内温度、入口と後では5℃程も違い、温度調整に大変苦労したのを憶えてます。また、この甲高い183系のディーゼルエンジンの音が私は大好きです。2018年、北斗の定期終了まで、大変苦労した事は今でも懐かしい限りです。本当にありがとう!183系、ご苦労様183(イチパーサン)系!
実はこの車掌さん、元船乗りだったんですね。旧青函船舶鉄道管理局(現JR北海道函館支社)で連絡船員から車掌などの転身はそう珍しい事ではないようですが、令和の現代において連絡船員だった方が現役の鉄道マンを務められているというのはとても感慨深いモノがあります。昭和52(1977)年という事はもう入社46年と大ベテランで、おそらく再雇用でなおかつ定年間近と思われますが、国鉄時代からのベテラン乗務員が急速に減っていく中で、名調子な語り口のアナウンスが聴けた事はとても喜ばしい事であり、そのノウハウが後身に受け継がれていく事を切に思う次第です。
キハ183系ニセコ号は函館から約5時間半の旅を終えて、多くのファンらが出迎える中札幌駅に到着。前日の北斗とは逆編成で戻ってきました。
またも熱狂と興奮が包み込む中、キハ183系は到着から約6分後に苗穂運転所へ向けて回送されていきました。
以上、3月25・26両日のキハ183系ラストラン運転の記事を紹介しましたが、北斗&ニセコ号が比較的平和だったのに対し、翌週以降に運転されたサロベツ・オホーツクに関しては乗り鉄撮り鉄共マナーの悪さが目立って残念なラストランとなってしまいました。私はいずれの列車にも乗車しているため改めてブログ紹介するつもりですが、サロベツの下りを除き通路側でしか席を確保できなかったため内容的には少々物足りなくなりそうです。予めご了承ください。