京急電鉄の運賃改定「10月1日」28年ぶり 近距離は「値上げ」、長距離は「値下げ」



国土交通大臣は4月21日、京急電鉄が申請していた旅客運賃の上限変更を認可した。これを受けて京急電鉄は10月1日に運賃を改定する。消費税率の引き上げによるものを除くと運賃改定は28年ぶり。全体では平均10.8%の値上げだが、距離の長い区間では値下げされる。

京急電鉄の列車。【画像:mofutetsu/写真AC】

普通運賃は初乗り(1~3km)がIC・切符とも150円で10~14円の値上げ。品川~金沢文庫の39.5kmはIC・切符とも510円で10~18円の値上げになる。一方、品川~三崎口の65.7kmは現行運賃がIC943円・切符950円なのに対し、改定後はIC・切符とも740円に。約200円の値下げだ。

普通運賃の現行額と改定額。41km以上の区間は値下げされる。【画像:京急電鉄】

一部の区間は上限運賃の認可額より安い特定運賃を設定する。品川~京急川崎は240円(IC8円値上げ、切符据え置き)、品川~横浜はIC313円・切符320円(それぞれ10円値上げ)とし、値上げ幅を抑えるか据え置く。通勤定期運賃は普通運賃と同様の形で値上げと値下げを実施するが、通学定期運賃は家計負担に配慮して据え置く。空港線の加算運賃(50円)と座席指定料金(300円)も変更しない。

京急電鉄は新型コロナウイルス感染症の影響などで、鉄道事業の営業収支は2020年度で123億円の赤字に。2021年度も52億円と赤字と2期連続で営業赤字を計上した。今後も沿線少子高齢化やテレワークの普及などによる通勤客の減少で、利用者数はコロナ禍前の規模まで回復しない見通しだ。

その一方、品川駅付近で実施している連続立体交差事業や防犯カメラの設置などの安全対策、ホームドアの整備などのバリアフリー対策、老朽化した施設や車両のリニューアルなどのサービス改善が必要なため、京急電鉄は運賃の値上げを決めた。ただし41km以上の区間では、新たな需要の創出と沿線の活性化を目指すとして値下げすることにした。

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