みなさんこんにちは。今日の話題です。



今月に入ってから、この「くずはモール」のCMをよく見かけるようになりました。



「京阪電車 樟葉駅(大阪府枚方市)」駅前の人気商業施設「くずはモール」。

改装が施され、新規テナントも合わせて4月21日、リニューアルオープンするというもの。


その同じ日、京阪電車でははじめての車両展示施設「SANZEN-HIROBA(さんぜんひろば)」もリニューアル。同じモール内にあるもの。


こちらにはもともと「テレビカー」の愛称で長年、親しまれていた「旧3000系特急車」が展示されていたところ。


それと対になる形で「5000系」という車両が、あらたに展示に加わることになっていました。

一昨年に惜しまれながら引退した、京阪電車名物の車両でした。


リニューアルされる「SANZEN-HIROBA」の内覧会が、昨日に行われた…というニュースでした。これは気になります。

テレビ大阪(TXNネットワーク)「やさしいニュース」2023(令和5)年4月19日放送より。


おー!「5000系」がついにお目見え。
それも、懐かしい旧塗装に復刻されてとは!

奥の「テレビカー」ともども、昭和時代の京阪電車が甦ったかのようで、たまりません。


さらに展示だけではなく、この「5000系」最大の特徴だった「ラッシュ用ドア」にまつわる、唯一無二のギミックの体験が出来るということも、話題になっていました。


京阪電車は昭和40年代に入ると、平日朝ラッシュ時に全国的にも激しい混雑度合を呈するようになり、その解決策のひとつとして「5扉」の車体を持つ、この「5000系」が開発されました。

「日本初の多扉車」として登場したこの車両。朝ラッシュ時にはすべてのドアを使用することで乗降にかかる時間を大幅に短縮させ、加えて車内の収容人数を増やす(→詰め込む)。


朝ラッシュ時以外は、第2・4扉(「ラッシュ用ドア」)を閉鎖。その部分へ、天井付近に収納していた座席を降下させ、3扉車として運用。


という、日本はおろか、世界にも例を見ない「座席昇降装置」を持つという、大変特徴ある車両なのでした。2021年に完全引退しました。


「ラッシュ用ドア」を含むカットモデルになったことがわかるのですが、これは間近で体験してみたいですね。

特殊で、貴重な機能を持つ車両ですから、さすがは京阪電車だと、拍手を送りたいものです。


余談ですが長年、京阪電車ファンを自称しておりますが、座席昇降の様子は、数回しか見たことがありません。


さらに、卵形の車体が特徴ある「2600系」も、あらたに展示されることに。

こちらは運転台のカットのようですが、昭和からラッシュ輸送に勤しんだ緑濃紺の車両たちが揃うということですから、うれしいことです。


しかし、本題のこの「5000系」。1970(昭和45)年にデビューした登場の姿に内外とも、見事に復元されています。「5551号車」です。


貫通幌に、向かって左側には行先表示板。デビュー時は現在のように、行先表示が機械式でなかった頃でした。板の字体は京阪独特のもので、色や形にもさまざまな種類がありました。

ちなみに黄色地の板は、天満橋発着を表すもの。そして中央扉には、これも「京阪電車ならでは」のものも復刻されています(赤矢印)。



「京阪特急」のシンボルは「鳩マーク」ですが、それが電照式になる前は、このように鳩の看板を正面に引っ掛けていました。



原型に近い、昭和50年代の様子を見てみます。

二枚看板というのもにぎやかなものですが、くだんの留め具は、これを臨時特急として運用する際に、看板の「鳩マーク」を取り付けるためなのでした。細かい再現!いずれも、出典①。


そして、引退当日を迎えた「5000系」。
後年に行先表示器も追加、平成に入り車体改修が施されたので、相当印象が異なります。この「5551号車」が今回保存されたもの。淀にて。


この「さよなら運転」イベントをもって、全車引退してしまいました。乗車記もどうぞ↑


ところで、ニュースではこのようなことにも触れていました。確かに、希少性のある車両というのは、引退しても貴重な財産です。




よくよく考えますと、隣で保存されている「旧3000系特急車」も、特別料金が不要な列車としては当時は破格の、豪華な設備の車両でした。


それが保存されていること自体、大変素晴らしいことだと思うのですが、さらに別の車両、それもこの「5000系」が加わるとなると、展示の層が厚くなるのは、言うまでもないこと。


これは、本当に楽しみなリニューアルです。

今日はこんなところです。


(出典①「カラーブックス日本の私鉄7 京阪」奥田行男・野村菫・諸河久共著 保育社刊 昭和56年8月初版発行)