JR山陽本線岩国ー下関間のワンマン運転開始から1カ月が過ぎました。利用客の立場ではこれまでとほぼ同じですが、運転士の動き方は大きく変わりました。省力化が進んだ運行形態を見てみました。

 

 

ホームに降りて目視を行う運転士。ヘッドライト点灯の先頭車両と以前は最後尾で見られた車掌業務の組み合わせは、省力化の象徴のように感じます=新下関駅

 

 

 

岩国ー下関間でメインで運行されているのは国鉄形の2扉転換クロスシート車の115系3000番台で、ワンマン対応改造を受けた上で引き続き活躍しています。車内に運賃箱を置かない都市型ワンマン方式で、全てのドアが開くため乗降方法はこれまでと同じです。

 

 

利用者の立場で一番変わったのは、車内放送の自動化です。発車・到着時に「ピンポーン」の大音量とともに始まります。ローカルを走るベテラン車両には似合わない英語も加わり、古いスピーカーから聞こえる今どきのアナウンスは、1カ月がたった今でも慣れません(117系改造の3500番台車はスピーカーが異なるため、比較的音質がきれいです)。

 

 

山陽本線岩国ー下関間に導入されたのは都市型ワンマン方式のため、全てのドアから乗降できます。写真は対応改造を終えて運用に復帰した2両編成の115系T-14編成。左窓上のワンマン表示が目立ちます

 

 

 

一方で大きく変わったのは運転士の動き方です。普段の運転業務に加えて、これまで車掌が担っていたホーム確認やドア操作などが加わりました。駅に停車すると運転席から離れてホームに降り、目視とモニターで確認してドア閉めを行い、急ぎ運転席に戻って発車という流れです。

 

 

運転士はこれら一連の業務を迅速にこなしていますが、私が見る限りでは、ワンマン運転開始前よりどうしても1駅で発車に10秒程度長くかかっている印象です。

 

 

ホームに設置されたモニター=下関駅

 

 

 

ワンマン運転開始後に何度も山陽本線に乗りましたが、無人駅も増えており省力化がずいぶん進んだ印象を受けました。また、日中の小月ー下関間の列車は乗客が少ないようで、今後運転本数にさらにメスが入りそうな気もします。

 

 

山陽本線は「本線」ゆえに、地方ローカル線のような「わがまちの鉄路」の感覚が、沿線自治体・住民とも乏しいように思います。しかし今後は利用を促進する手立てが必要になってくるかもしれません。今回のワンマン運転開始で2役に奮闘する運転士を見て、走ってくれているありがたみを強く感じました。

 

 

 

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