名鉄「運賃改定」検討、10%程度値上げへ グループ全体で866億円の設備投資



名鉄は3月27日、利用者減少と経費増加を受けて運賃改定を検討すると発表した。来年2024年春頃の値上げを目指す。

知立駅付近で進む高架化工事。【画像:名鉄】

同社が公表した来年度2023年度の設備投資計画に盛り込んだ。それによると、全体の改定率は平均10%程度で、初乗り運賃は10円の値上げ(170円→180円)を想定している。通学定期券は家計負担を考慮して運賃を据え置くという。

名鉄によると、テレワークなど新常態の定着で輸送需要はコロナ禍前の水準に戻らない見込み。電力料金や資材価格の高騰による経費増加の懸念もあり、厳しい状況は今後も続くと予想される。その一方で安全確保や安定輸送のための設備更新が必要。不足する費用の一部を客に負担してもらうため、運賃改定の申請に向けた準備を進めるという。

2023年度の設備投資計画は総額307億円。名鉄グループ全体では866億円で、過去10年間では最大規模になる。鉄道事業(192億円)では、知立駅付近など4カ所の高架化工事や高架橋柱の耐震補強、AI画像解析装置の導入などによる踏切の保安度向上、車両の新造、金山駅の大規模リニューアルなどを実施する。

AI画像解析装置を活用した踏切監視システムのイメージ。【画像:近鉄】

車両は通勤型の9500系電車(4両編成3本)と9100系電車(2両編成3本)の合計18両を新造。金山駅の大規模リニューアルでは、中部国際空港駅の到着予定時刻や特別車の空席情報などを表示する専用案内装置の設置やウォークインタイプの改札の新設などを行うほか、ホームドアの導入に向けた実証試験の準備を進める。

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