東急新横浜線のポイント故障とその影響
2023年3月26日、開業から僅か8日しか経過していない東急新横浜線。そのうち東横線系統の列車が終日に渡って相鉄線との直通運転を中止するという事態に。
現場に行ったわけではないので正確な情報とは言えないんですが、ネットの情報を見る限りで「何がどうしてこうなった、そしてどうした」のかを纏めていきます。
1.発生箇所
今回、直通運転中止に至った理由としては「日吉駅でのポイント故障である」と公式から発表されています。東横線系統が直通運転中止となる一方で、目黒線系統は多少の遅延は発生しているもののほぼ通常通りに運行できているということを踏まえると、故障が発生したのは日吉駅の横浜駅寄りにある東横線が横浜方面と新横浜方面に分岐するポイント、又は東横線・目黒線が東急新横浜線に収束するY字ポイントであると考えられます。
また、昨日元住吉入庫であった4112Fが相鉄線内で、朝の特急小川町行に充当された4101Fが東横線内でそれぞれ姿を確認されていることを踏まえると、早朝の数本、少なくとも上り(相鉄→東横)に関しては直通運転を実施していたということになります。
ただ、4112Fに関しては渋谷5時23分発の57K運用に充当されたという正確な情報がなく、後から目黒線の線路を使用して元住吉から直接相鉄線内に送り込んだ可能性もあります。果たしてそんなことをするのか?という疑問はありますが。
2.影響
一番の影響は相鉄と東急の直通運転本数が半減していることでしょう。
相鉄線側は新横浜、東横線側は武蔵小杉でそれぞれ折り返すという運用になっているものの、13時時点では武蔵小杉~新横浜をつなぐ列車が運行されていないため、渋谷から新横浜、またはその先の相鉄線方面に向かう場合は有効列車が15分に一本のFライナー特急のみとなっています。
目黒線の運用に入っていない東急車を使って武蔵小杉⇔新横浜間のシャトル列車を運転すればとも思うのですが。東急もこのような事態は想定していなかったということなのでしょうか。
また、東急新横浜線の本数が毎時6本→毎時4本になったことによる東急新横浜線の混雑悪化も影響といえます。
もともと開業時から土休日に事実上の増発である臨時列車の運転を公表するなど混雑がある程度懸念されていた東急新横浜線ですが、本数は少ないものの10両という大きな輸送力を持つ東横線系統の運休は大打撃だったようです。
本来東横線系統の10両に乗るはずだった乗客が新横浜行の列車に殺到、一部列車は朝ラッシュ並みに混雑していたとの情報もあります。
新横浜でイベントが開催される日に限ってこの故障とは・・・という感じです。
この混雑に拍車をかけたのが臨時列車の運休です。当初の予定では、今日は臨時列車を運転することによって新横浜駅発の列車を毎時8本確保するということになっていました。
しかし、今回の直通運転の中止により東急の増発計画は完全に頓挫することとなってしまいました。
というのも、この増発列車というのは新横浜駅4番線を発着するダイヤが組まれていたのですが、直通運転中止による番線変更によって、4番線を相鉄方面に向かう新横浜始発の列車が使用することになってしまったのです。
この列車は新横浜駅4番線を17分に渡り占有することになったため、もともと営業列車の合間を縫うように運転していた臨時列車は運転する余裕がなくなってしまったというわけです。
その一方で、遅延がそこまで発生していないというのは評価に値する点ではないでしょうか。東横線内では3分程度の遅延は発生しているものの、改正初日のようにダイヤが崩壊するような事態にはなっておらず、横浜方面の東横線はほぼ通常運行という形にできているというのは東急も頑張ったと思います。
3.なぜ直通運転の終日中止を選んだのか?
この故障について、東急は午前中の段階で異例の「終日の直通運転中止」を発表していました。普通であれば、故障の復旧が完了次第再開など当日中の解決を目指すと思うのですが、東急は敢えて終日での運休を選びました。
これは、ポイント故障が発生した箇所が問題だったのではないでしょうか。先程該当箇所として考えられるものを二つ挙げましたが、これらの点検を実施するとなると、前者であった場合は東横線の武蔵小杉~菊名間、後者であったとしても新横浜線を完全運休にしたうえで目黒線の全列車を一線しかない日吉駅の引き上げ線で折り返させる必要が出てきます。こんなことをしようものならばダイヤが乱れるどころの騒ぎではありません。
そのため、東急は午前中時点で東横線系統の相鉄線との終日直通中止を決定したのではないでしょうか。
本数が減っているとはいえ、目黒線の急行が15分に1本は新横浜まで走るのもあるでしょう。新横浜止まりの急行も、新横浜で始発の相鉄線に乗り継げるというダイヤになっていますので。
4.見えてきた課題
今回の直通運転中止、見えてきたのはやはり「東急新横浜線の輸送力不足」だと思います。先週時点から土日の輸送力不足は指摘されていましたが、今回のでよりはっきりしたのではないでしょうか。
今回は東横線系統の直通運転中止ということでしたが、これが万が一目黒線系統の直通運転中止などという事態に陥ったならば・・・正直、考えたくもないですね。
ただ、個人的に懸念しているのが「現状以上に増発することの難しさ」です。今回の直通運転中止に伴って、新横浜駅では通常時
相鉄線方面行→1番線(直通)、2番線(始発中心?)
東急線方面行→3番線(始発中心)、4番線(直通、臨時始発列車)
となっているのを
相鉄線方面行→2番線(直通、本来は1番線発)、4番線(始発、本来の東横直通)
東急線方面行→1番線(始発、本来は3番線発)、3番線(直通、本来は4番線発)
という風に変更したうえで折り返し運転を行っていたといわれています。
こうなった場合、1,4番線は当駅始発の列車が長時間占有するため増発が難しく、2/3番線は上下両方向の列車が一本の線路で発着するため増発すると列車間隔の詰まりや最悪事故等に繋がりかねません。
これをどうにか解決する為には「現在新横浜行の急行を相鉄線内まで延長運転する」というのが手っ取り早いのではないか思います。現状西谷駅の留置線は日中30分に1本しか利用されておらず余裕があるため、西谷まででも延長できれば「新横浜駅での折り返し」という非常時にダイヤ上のネックとなるポイントを取り除くことができるはずです。
空いた中線で臨時の増発だったり直通運転中止時に当駅始発列車を運転したりとダイヤの流動性も増すでしょう。
ただ、これを実施するためには
といった課題点もあり、今すぐに可能かといわれるとノーと言わざるを得ません。
ただ、もしこれが叶ったならば
- 現在の東急頼りな走行距離調整の改善
- ダイヤ乱れ・異常時の運用柔軟性向上
などといった、今回のダイヤ改正で浮き彫りになっていた他の課題点について改善することも可能になります。
先日、東京メトロは長らく放置されていた南北線の8両化を遂に2023年度から開始することを発表しました。どうかこの工事と同時に相鉄直通改造が実施され、一日も早く東急・相鉄新横浜線が快適に利用できるようになることを願います。