三井芦別鉄道キハ100形(→関東鉄道キハ710形→鹿島鉄道)の床下機器

 地方私鉄というだけでも鉄道趣味人の注目を集めないものですが、「地方私鉄」の「気動車」の「床下機器」に関してとなると、「注目されない」の3乗になります(世間一般では「全く注目されない」と表現します)。このような写真を撮影する人はほとんどいないので、それだけに貴重かなと思って記事を書いています。

写真1 キハ711の小さな空気溜

 写真1はキハ710形の床下機器です。ディーゼル機関の脇に空気圧縮機が取付けられており、Vベルトで駆動されます。ここで圧縮された空気は元空気溜に蓄えられますが、制御空気溜の下に小さな空気溜(青↑印)があるのが目に留まります。圧縮された空気をいったん膨張させてドレン(結露水)を除去するためでしょう。一般的に空気圧縮機から元空気溜の間にこのようなものはないのですが、北海道のように寒い地域では水分凍結による悪影響が出るかもしれない…ということで未然防止を図ったようです。

 誰も注目しない床下機器であっても、じっくり見ていくと地域性を感じておもしろいものです。

写真2 キハ711

写真3 キハ711(反対側面)

 写真2もキハ710形の床下機器です。四角い箱(機関予熱器)の右側に消音器が取付けられ、排気管が逆T字状に突出しています。写真3は同一車両の反対側面です。こちら側も同様になっています。つまり、車体左右両側から排気しているわけです。屋根上排気の場合、当時(1950年代)の国鉄キハ17形、キハ20形などでは車体左右両側から排気(排気管2本)というのが一般的だったので、それに倣ったのかもしれません。

写真4 キハ432

 ちなみに床下排気の場合、車体左右両側からという事例はそんなに多くありません。一般的には写真4のように車体片側から床下排気です。

 その後、1960年代になると屋根上でも1か所から排気するのが当たり前になりました。ディーゼル機関として排気管は1本なので、最終的な排気が1か所でも2か所でも本質的な話ではないはずですが、経験を積むことにより何が必要で何が不要なのかわかってきたということなのでしょう。

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さかてつでした…